lesson3

遠景、中景、近景を把握する

風景画に深さ(奥行き)を出すために大事なことは、遠景、中景、近景をしっかりとらえることです。
特にルールはありませんが、あなたが始めて絵を描くのなら、
中景にピントを合わせる絵をおすすめします。


1、中景にピントを合わせる

まず言葉から整理しましょう。

遠景とは、自分から見て一番遠いところ、左の絵では後ろの山並とその周辺がそうです。

中景とは左の絵の船小屋の周辺。
近景とは手前の草むらあたりをいいます。

この絵は明らかに船小屋に興味を持って描いたものです。この絵を中心にして、遠景近景を描きこめば、絵に奥行きが表現されるのです。

描きたいのは船小屋ですから、近景だからといって手前の草むらを丁寧に描きすぎると絵が不自然に重くなりますし、遠景についても同じことが言えます。
つまり、ピントを中景に持ってくるなら、中景をしっかり描いて、近景遠景は奥行きをあらわす添え物と考えて、描き過ぎないように気をつけましょう。

下の絵は、遠景中景近景と区切るには難しいほどいろいろなものが見えます。
中景に2段階、遠景にも2段階あるように見えて戸惑うかもしれません。
こんな場合は、遠景郡、中景郡というように、自分でまとまりを見つけて区分して見ましょう。
その区分の中にさらに遠いところ、近いところを意識して描き進めていけば画面に深い奥行きが表現できるようになります。

ようは描こうとするものの位置関係をしっかりつかまえることです。
そのためにはじっくり風景を眺めることですね。
風景の中に重なりや大小をを見つけて、それらの遠近を確認していくのです。

中景にピントを合わせるのはもっとも一般的な構図のとり方だと覚えておいてください。


2、遠景にピントを合わせる

特殊な絵になりますが、ピントを遠景に持ってくるような絵があります。

左図でも分かるように、中景近景に特に注目するものがない風景がそれに該当します。

砂漠や草原など、目線を遠くに持っていくことで暗にその広がりを表現するのです。
もちろんこの絵でも、中景に石や人などはっきりしたものを描きこんで絵を仕上げることは出来ます。
その場合は、ピントが中景に移って上の絵と同じ、普通の落ち着いた絵になる
でしょう。

つまり、遠景にピントを持ってくる絵は、構図の上で、強い表現意思を表す方法といえます。
絵になれたころに試してみたい方法です。


3、近影にピントを合わせる

この絵も特殊な構図といえましょう。

どんな姿勢でこの絵を描いているのかまず考えてしまいますよね。
そう思わせる意外性がこの絵にはあります。

普通私たちが風景を見るとき、興味のあるものを中心にすえて見ますね。
すると、どうしてもその前後に遠景近景が出来てしまうのです。
ですから、遠景もそうですが、近景もそこにだけピントを合わせるということになると、普段とは違うインパクトの強い絵となる訳です。

この絵は彼岸花を描いた絵で、風景は添え物という感じを受けますよね。
しかし現実にこんな風景は存在するのです。
常識にとらわれず、意外性を求めるのは、絵を描く次のステップとしては魅力的なアプローチですよ。


lesson3はこれで終了します
このレッスンで、
風景の遠近を通じて目の前の風景と自分の関係を
理解することが出来れば合格です