lesson1

風景画の描き方(鉛筆デッサン)

風景画を描くには、まずその場所が好きになることです

描く前にその場所に立って、いろんな角度から眺めてその変化の様子なども確かめてみましょう。
実際に見えるものすべてを描くのではなく、心惹かれるものだけを描くように心がけましょう。
そうしないと風景の複雑さに、まず誰もが挫折してしまいます。真っ白な画用紙をそのまま家に持って帰ることになるでしょう。

風景に圧倒されて、木の葉一枚一枚まで描かなければ気がすまない人は、まずゆっくりと風景に向かい合って対話してみましょう。すると必ずあなたの心に響いてくるものが見えてくるはずです。

その響いてくるもの、自分の気に入ったものだけを描いて、後はそっくり省略します。
風景画を描ききる一番大事な秘訣です。

前置きはこのくらいにして、さっそくはじめましょう。

1、水平線を入れます

水平線は目の高さを表します。

まず風景を前にして一番遠いところを見てください。水平線を実感するには海に行くのが最適ですが、それが出来なくてもその代わりに地平線が見えます。それも見えない山の風景では水平線を空想します。

水平線を見ながら立ち上がったり座ったりしてみましょう。

あなたの目の高さにあわせて水平線が上がったり下がったりするのが分かりますね。

水平線はあなたの目を、まっすぐ前に向けたときに見える一番遠いところなのです。


2、水平線の中に自分の立っている位置(集点)を示しましょう

上の水平線の図で、中央に点がありますね、
これは自分が立っているところからまっすぐ進んでいったら行き着くところを示しています。

つまり、画面の中で自分のいる場所を表しています
これは大変重要なポイントですから、風景画を描くときには必ず、自分はどこにいるのかをチェックしましょう。

周りの風景は遠くになるにつれてみなこの点に集まっていきます。
線路を前から見ているのを想像すると分かりますね。線路の幅や電柱は遠くに行くにしたがって小さくなっているでしょう。

どんどん小さくなって最後にちいさな点になるところ、そこが自分のいる位置だと考えてください


3、水平線の集点からすばやく稲妻を描きましょう

力を入れずに水平線の集点からサッと、いなずまを描いてみましょう。
すると、あっという間に絵は一番遠いところから自分の立っているところまでつながった広がりになったことが分かりますね。

そうです、風景画を描く舞台が出来上がりました。
どんな風景も、この舞台の上に描かれるのです。
一番近いところから、視界が消える一番遠くの地点まで、なんて気持ちのいい広がりをしていることでしょう。

この自然の大きさと、その中にいる自分の心をじっくり確かめてください。風景画で大切なことはこの感動的な空間をしっかり体験することから始まります。

もう何も要らないぐらいきれいだと思いませんか。


4、舞台の上に心をひきつける風景を乗せていきましょう

描き始める前に「2」で説明した、中心に向かって集まっていく線をうすく描いておいたらいいと思います。

さて次に大事なことは、似せるという考えを持たないことです。
なるべく下手に描いてやると思うぐらいがちょうどいいでしょう。
似せる絵は写真に任せておけばいいのです。
あなたにしか描けない、世界に一つしかない絵を描きましょう。

見ている風景を写し取るのではなく、
目にしている風景を参考にして、舞台の上に自分の風景を作り出すのだと考えてください。
間違っても見える家や樹など全部描こうと欲張らないこと。

描こうとしている風景が、自分の場所からどれだけ離れているのかを考えながら遠いものは小さく、近いものは大きくはっきりと描くようにしましょう。



さあ、これでlesson1は終わりです、思い切り楽しんできてください