ステンレスのボールを描く

光ものの描き方




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垂直線は天地を表し、水平線は広がりを示します。
その垂直線を基準にしてボールの底の円と、口の大きな円を決めます。
デッサンの出発は描こうとする物の構造を理解する事です。
その理解を画面に示します。
A
まず筆触法によって基本の形を把握します。画面は縦線よるボールの把握を終えたところ。
もっとも強い光のドラマに目を奪われないでボールの形だけを心に刻み込みます。
B
次に横線による形の把握です。
ボールの厚み、硬さなどをしっかり心の中に刻み込みます。
ボールの場合外径と内径の差(厚み)がほとんどありません。
C
実際のボールの見え方は、すでにとらえた基本の形の上に繰り広げられる光のドラマです。
凹面鏡の効果で、ボールの中に光が浮き上がって見えます。
それは明暗のコントラストの強さで表現します。
D
複雑な光のドラマを正確に描こうと考えてはいけません。もともと正確なものはないのです。よく観察して感じたままを鉛筆の先に使えましょう。
おおよその姿をとらえたら、床面との関係に描き進みます。
E
とらえたイメージをさらに強調していきます。鉛筆を加筆するほど明暗がはっきりしてボールに硬さがましてきます。
描きこみながらステンレスの質感をさぐります。その答えはあなたの心の中にあります。仕上がりを見てうれしくなった時、それがあなたの心の中にあるステンレスです。
F
デッサンにあまり完璧さを求めないように心がけてください。少しは不満が残ってもそれは次に向けてのステップと考えましょう。事実そうしてデッサンはあなた自身の心の世界を旅していく過程となって行くのですから。
下手と思えたらそれは次の世界の出発点です。どんなにつまらないと思えてもそんな自分を許して認めてあげること。
するとそこに誰にも真似の出来ないあなた独自の世界が生まれます。
あなたは世界の主人公なのです。