一合升を描く(立方体から出来た単純なかたち)


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まず升をどんな大きさで描くかを決め、水平線と垂直線を入れてその中心を定めます。
下書きは消す必要のない微弱な線で描きます。
鉛筆の持ち方はデッサン教室2参照
A
升の底を決めます。もちろん奥の方は見えませんが、想像して描きます。見えなくても意識の中でそのかたちをしっかりとらえておくことが大切です。
B
決定した底から垂線を延ばして升の上の部分を決定します。作例のように線は何度も引きなおしてかまいません。かたちが大きくそれなければ消さずにおきます。
これで升の外形が出来ました。
C
升の形が決まったら板の厚みを描いていきます。
板のつなぎ合わせの部分は少し複雑ですので今は描きません。
升の中も先に描いた底の線に対して板の厚みを描き加えます
この線は実際に見えている線です。(
升の高さを意識するために、筆触方を使って少し垂直線を入れてみます。
D
升の中に意識を向けます。
形がつかめたらしっかりした線で形を整えます。
ただしこの線は完成した時に消えるような鉛筆の濃さにしておくことが大切です。
升の中は影が出来ているので強く描いてもたいがい消えますが注意する事。
輪郭線は補助的なもので、作品の完成時にはなくなるものと理解してください。
E
升の形がはっきりしてきましたので、いよいよ筆触方を用います。
上の図は筆触方によって升の表面をくままく描き終わったものです。高さを感じながら縦線を描きついで拡がりを意識して横線を加えました。
鉛筆の強さは全体が光の当たっている面と考えて加減します。強く描きすぎると光の部分が死んでしまいますから注意してください。

G
完成を意識して影の部分を描き進めます。
床は水平線を使って、升との関係を表現していきます。もちろんそこにも影を描きこみます。
Eで示した輪郭線は升の板と空間の境目です。輪郭線は描き進むにつれて空間の方に消えていきます。奥の輪郭線は完全に消えて逆に白く浮き上がりました。
これは光の反射による効果です。
H
完成です。
ここまでに、デッサン教室2で触れた基礎がすべて使われました。
特に遠近のとらえ方について復習しておいてください。
作品が完成すると升が画用紙の上だけでなく、自分の心の中にしっかり形を作っていることに気付いてください。それは筆触方によってくまなく升を味わい尽くしたために生まれる効果です。

F
Eからかなり進んだように見えますが実際はその3分後、描き加えたのは升の中の影、板の接合部と床にあたりをつけただけです。
接合部分は複雑ですが、全体の形が出来たところで描けば単なる模様と考えてもいいでしょう。
升の中に影を入れると、Eの強すぎると思えた輪郭線が消えているのにきずきましたか。
まだ手前の輪郭線が残っていますが、ここはあとで重要な働きをします。(