泡沫戦史研究所/ドイツ治安警察部隊史/警察装甲車/戦車部隊(1936年~1942年)
警察連隊「中央ロシア-2」の装甲車
Polizei Regiment 2 Rusland Mitte
1942年6月10日から12日の間、Kirov~Kostnichki~オリサ川(Olsa)~ベレジナ川(Beresina)~Dimanovchshina~ボブロイスク(Bobroisk)街道~モギレフ(Mogilev)地区において第51及び第122警察大隊を中心とした「ポツダム(Potsdam)作戦」が実施された際の戦闘報告の中にロシア製重装甲偵察車が登場しています。
それから少し後の1942年7月7日、治安警察長官の命令により警察連隊「中央ロシア-2」が第51及び第122警察大隊を中心にモギレフにおいて編成されました。
警察連隊「中央ロシア-2」
Polizei Regiment 2 Rusland Mitte
連隊本部
第1大隊(第51警察大隊)
第2大隊(第122警察大隊)
第3大隊(ウクライナ人シューマ大隊)
重装備中隊
重装備中隊の装備内容についてはわかっていませんが、それから2日後の1942年7月9日付けの通達により警察連隊「中央ロシア-2」は第14警察連隊へと改編されることとなり、第51警察大隊、第122警察大隊及び重装備中隊が新連隊へと編入されました。
第14警察連隊(1942年11月)
Polizei Regiment 14
第1大隊(第51警察大隊)
第2大隊(第122警察大隊)
第3大隊(第313警察大隊)
第13(重装備)中隊:重装備中隊より
第14(戦車)中隊:第2警察戦車中隊(1942年10月7日より配属)
第15(通信)中隊:第72警察通信中隊
第14警察連隊は高級SS及び警察指導者「中央ロシア」(HSSPF. Rusland-Mitte)の管轄下に配属され、モギレフ(Mogilew)に駐屯してパルチザン掃討作戦に従事しており、重装備中隊もモギレフに駐屯していました。1942年7月16日から17日の戦闘報告によると重装備中隊は次のような装備を保有していました。
・装軌式装甲車(戦車)×3両
・装軌式牽引車×2両
・装甲偵察車(軽及び重装甲偵察車)×4両
・歩兵砲×2門
・対戦車砲×2門
重装備中隊は1942年8月8日までに第13(重装備)中隊と改称され、9月8日の時点で次のような装備を保有していました。
・装甲車両(戦車?)×2両
・重装甲偵察車×4両
・軽装甲偵察車×1両
・歩兵砲×4門
・対戦車砲×2門
中隊の兵力は将校2名と下士官・兵90名でしたがドイツ人基幹要員のほかはウクライナ人義勇兵で充足されており、例えば中隊の運転手はすべてウクライナ人義勇兵で賄われていました。
第14警察連隊は1942年7月から11月の間、下記のようなパルチザン掃討作戦に参加しました。
・Adler作戦 1942年7月19日~8月2日、モギリョフ(Mogilev)~ベレジノ(Beresino)~バブルイスク(Bobruisk)の三角地帯を結ぶ街道を確保するためのパルチザン掃討作戦
・Greif作戦 1942年8月14日~8月26日、ベラルーシのオルシャ(Orsha)~ビテブスク(Vitebsk)地区の街道を確保するためのパルチザン掃討作戦
・Brarslaü作戦 1942年9月2日~9月7日、重装甲偵察車1両が地雷により損失、重装甲偵察車1両が歩兵火器によりエンジンに被弾、軽装甲偵察車1両がエンジン故障
・1942年9月23日~ Kolichenko北西地区でのパルチザン掃討作戦
・Regatta作戦 1942年10月4日~10月9日、中央軍集団後方地域のGorky~スモレンスク(Smolensk)地区でのパルチザン掃討作戦
・Nürunberg作戦 1942年11月20日~11月26日、ミンスク北方のGlebokie(現フィルボーカエHlybokaye)地区でのパルチザン掃討作戦
1942年11月27日、第14警察連隊は第13(重装備)中隊の装甲車両のみを留守部隊としてモギレフに残し、連隊主力の3個大隊、第13(重装備)中隊の対戦車砲小隊、第14中隊(第2警察戦車中隊)及び第15(通信)中隊は前線に緊急輸送されることとなり、ヴェイデラフカ(Veydelavka)から直ちに鉄道輸送が開始されました。
1942年~1943年の冬季戦において連隊はドン河~ハリコフにかけての防衛戦で壊滅的な損害を被っており、連隊の残余はモギレフに帰還し残留した重装備中隊に総合され再編作業が開始されましたが、帰ってきたのはたった1個中隊規模(!)にすぎませんでした。
モギレフに残留していた第13(重装備)中隊の装甲車両のその後の運命はわかりませんが、同じ時期にモギレフに駐屯していた第12警察戦車中隊に編入された可能性があります。
2009.7.20 新規作成
2019.7.6 追記