人種差別のあやまち
ダウン症は、正式な名前をダウン症候群といいます。
この名前は、1866年、イギリスの ジョージ・ラングドン・ダウン という医師がはじめて研究論文を発表した
ことに由来しています。もっともダウン医師のこの研究には、いくつもの間違いがありました。
そのもっとも大きなのが、人種差別によるものです。
ダウン医師は、発達の遅れを持つ子供のなかに、両親はちがっていても、兄弟のようによく似た
子供たちがいることを発見しました。顔は、彫りが深くなく、頬がまるく、目じりが上がっていて
まぶたの肉が厚いこと、また、身体は小柄で、やわらかく、髪の毛もカールではなくまっすぐで
うすいことなどです。それがアジア人、とくにモンゴリアン(蒙古人)と似ているとして、
ダウン医師はヨーロッパのなかに能力の劣った蒙古系の人種が生まれてきた、と考えました。
そしてモンゴリズム(蒙古症)という名をつけたのです。
しかし、これは間違いです。ダウン症は人種のちがいではありません。
蒙古人やアジア人に多い障害でもありません。世界中どの国にも、どの人種にも、ほぼ同じ割合で
現れる障害なのです。
ダウン症とは
人間の染色体は46個であるが、卵子や精子をつくる減数分裂の際、23個ずつに分かれないで、
24個と22個になるという染色体が一個過剰な赤ん坊がうまれます。
このような現象が21番染色体におこた場合を、ダウン症といいます。
ダウン症の染色体異常のタイプは大きく分けて3つあります。
・21トリソミー型・・・21番染色体が3つある。ダウン症の約95%。
両親は一般的に正常な染色体を持っており、偶発的にトリソミーになります。
・転座型・・・:・・・・・過剰な21番染色体が転座しています。約4%。
4%のうち半分の両親の染色体は正常。あと半分は遺伝性転座で片親に転座染色体保因者が見られます。
この家系には同じタイプの保因者が見つかる可能性があります。
・モザイク型・・・・・・正常の染色体細胞と21トリソミー細胞が混在しています。約1%. 通常、両親の染色体数は正常です 。
出生頻度
ダウン症児の出生頻度はほぼ1000人に1人といわれています。
日本では、毎年1300人から1500人のダウン症がうまれていることになります。
身体の特徴
頭囲は小さく後頭部が扁平で、髪の毛は少なめで荒い。
顔と特徴としては、斜めにつりあがった目、耳の奇形、厚い舌、口からでた舌等。
指は短く、第5指短小、第5指内湾があり、掌紋では猿線などの特徴があります。
全身の体系は胴にくらべ手足が短いずんぐり型です。
皮膚は乾燥しています。
合併症
ダウン症の合併症で一番多いのは心臓疾患。約3割から4割を占めます。
高頻度にみられるのは、心室中核欠損症、心内膜欠損、動脈管開存など。
発達の特徴
ダウン症の運動発達にかかわる要因のうちで最も特異的なのは筋緊張の低下です。
生まれたときから筋肉は柔らかくて抱いた時、くにゃくにゃした感じがあります。
首の座り、一人で座る、歩行、ジャンプ、階段昇りなどは遅れがちです。
また、運動機能と肥満もかなり関係している考えられます。