平成13年6月宝塚市議会
1 福祉行政
 平成13年度の新たな福祉の取り組みについて
(1) 児童福祉行政について
  ア 宝塚市の児童虐待防止の取り組みは
  イ 子育て支援の具体策は
(2) 介護保険制度について、質の高いサビスを提供し続けるために
  ア ケアマネージャーへの支援及び育成策は
  イ 市内介護指定事業者の育成は
  ウ 各事業者のサービス内容の自己評価制度と今後の取り組みは
2 道路・福祉行政
(1) 交通バリアフリーの取り組みについて
  ア 鉄道駅舎エレベーター、エスカレーターの設置は
  阪急電鉄
   中山、雲雀丘花屋敷、山本、売布神社、清荒神、宝塚、宝塚南口、逆瀬川、小林、仁川
  JR
   中山寺、宝塚、武田尾
(2) 市道1047号線の整備と阪急電鉄、山本変電所踏切道の拡幅の取り組みは
◆20番( 野尻俊明議員)  (登壇)
 皆さんおはようございます。野尻俊明でございます。去る6月8日に大阪府池田市の大阪教育大学付属小学校で起きました悲しい殺傷害事件は、幼い児童が御逝去され、慎んで哀悼の意をあらわしますとともに、心から冥福をお祈りいたします。
 また、たくさんの皆さんが被害に遭われ、お見舞いを申し上げます。
 この事案は非常に残念なことであります。心のケアの取り組みが開設されておられます。宝塚市も教育委員会、学校現場、そして市長部局、消防署、水道局、クリーンセンター、病院、議会等においてより一層の危機管理について総点検を行い、万全の方策を構築されることを要望いたします。
 さて、それでは、6月本会議一般質問を通告により始めます。
 1、福祉行政について。
 本市の福祉行政について、最近の新聞等、マスコミ報道の事例を見ながら、平成13年度の取り組みにつきまして児童福祉、介護保険及び障害福祉行政の基本的な考え方をお尋ねいたします。
 まず、連日、各紙で報道されない日がないくらい事件が発生しておりますのが、幼児・児童に対する虐待であります。事件の大半が、親がわが子を虐待し、死に至らしめる内容であります。事件の背景には、核家族により、適切なアドバイス者がいない社会状況が考えられております。幸いにして、本市では、死亡事件の報道は聞いておりませんが、児童虐待と思われるケースも年々増加していると聞いており、その対策として、本年から子育て支援担当体制が整備され、宝塚市児童虐待防止ネットワーク会議が発足したようですが、その役割及びメンバーについてお答えください。
 また、児童虐待防止のためには、子育てに自信がもてるような子育て支援が必要であると考えますので、子育て支援の具体策についてお答えください。
 次に、5月4日に和歌山市でケアマネジャーが引き起こした殺人事件は記憶に新しく残っていると思います。介護保険制度も2年目を迎え、さらなる制度の充実を目指して日夜努力を積み重ねているケアマネジャーや事業者がほとんどである中で、ごく一部の者のこのような事件は、介護保険制度の定着の上からも、非力であると言わざるを得ません。利用者の視点で質の高いサービスを提供し続けるために、ケアマネジャーへの支援及び育成が不可欠でありますが、本市での具体的な方策についてお答えください。
 また、介護保険指定事業者は、現在80者を超えたと聞いておりますが、各事業者間で公正な競争が質を落とさないサービスの提供につながると思います。そのためには、事業者が主体的に情報を交換し、提供に反映させるための指導や、組織の育成も不可欠と思いますが、具体的な取り組み内容についてお答えください。
 最後に、現在本市では施設利用者に対して、オンブズ制度を通してサービスの内容の維持向上に努めておられますが、各事業者がサービスの提供について利用者の信頼を得、サービスの内容について、利用者に満足されているかをみずからが評価する自己評価制度の今後の取り組みについてお答えください。
 2、道路・福祉行政について。
 (1)交通バリアフリーの取り組みについて。以前の議会委員会にも話は出ております。平成12年11月に交通バリアフリー法が公布されました。高齢者や障害のある人を含むすべての人にふさわしい鉄道施設となるよう、基本方針に基づき、重点整備地区における基本構想を作成して、市は阪急、JR、川西市等と積極的に取り組んでいただいていることに敬意を表します。阪急は中山駅を初め10駅あり、阪急電鉄は私鉄の中で市と協力して取り組んでいただいております。
 JRは中山寺駅を初め3駅あります。6月6日の朝日新聞によりますと、JR東日本、西日本とバリアフリー化に向けてさらに取り組むと記事がありました。そこで、阪急中山駅にエスカレーター等が設置されていますが、市民の小さな声として、上りも必要だが、高齢者になると下りもぜひ設置してほしいとの声があります。宝塚市として、駅舎のエレベーター、エスカレーター取り組みをお答えください。
 (2)市道1047号線の整備と阪急電鉄山本変電所踏切道の拡幅の取り組みについて。
 市当局は積極的に取り組んでいただいていることに敬意を表します。
 そこで、現在の整備状況と、市民よりの長年の願いであります阪急電鉄の踏切の拡幅についての取り組みをお答えください。
 これで1次質問を終わります。

○議長  市長。

市長  (登壇)
  野尻議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、児童福祉行政についてでありますが、本市の児童虐待防止の取り組みにつきましては、近年の都市化、核家族化、少子化などの社会の急激な変化に伴って、家族というものの基盤が危うくなり、子育てに不安や困難を感じる親が多く、それらが要因となって子供に対するいわゆる虐待が増加しているものと認識いたしております。
 このような状況から、本年4月に兵庫県弁護士会、宝塚市医師会や民生児童委員連合会等の代表者及び関係行政部門等の代表者13名による宝塚市児童虐待防止ネットワーク会議を組織化し、虐待防止に取り組んでいるところであります。
 その役割といたしましては、社会的に弱い立場にある子供たちに対する虐待の予防と早期発見、適切な対応、保護者や関係者への支援、指導を行い、よりよい養育環境を整えていくことにあります。今後とも、当該ネットワークを中心として、関係機関と密接に連携し、児童虐待問題に取り組んでまいります。
 次に、子育て支援の具体策についてでありますが、平成9年に宝塚市児童育成計画を策定し、種々の子育て施策を展開しております。具体的施策といたしましては、コミュニティの7範域ごとに地域児童館を整備し、遊びの場の提供や子育て相談を実施することとしており、既に高司児童館、中筋児童館を開設し、初期の目的を果たしております。
 また、現在引き続き、安倉南に平成14年度の開設に向けまして(仮称)安倉児童館の整備を進めており、他の地域でも順次取り組んでまいります。
 さらに、平成14年春には中・高生の居場所の提供、総合的な子育て支援センターや各地域児童館の調整・統括機能をあわせ持つ大型児童センターを売布東の町に開設いたします。
 また、公私立の各保育所では、地域活動事業の実施や、一部の保育所では、乳幼児の一時保育、病後児保育も実施しております。そのほかにも、ファミリーサポートセンター事業、家庭児童相談室での子供を取り巻く何でも相談や、健康センターを初め、女性センターや教育委員会でも種々の施策を実施しております。なお、これらの子育て支援事業を市民に広く活用していただくために、子育てマップを作成いたしております。
 次に、介護保険制度におけるケアマネジャーへの支援、育成策についてでありますが、和歌山市でケアマネジャーが自分の担当する要介護者を殺害し、預金を引き出した事件は介護保険に対する信頼を揺るがしかねない深い衝撃を与えました。ケアマネジャーは個人情報を知り得る立場にあるだけに、特に厳しい職業倫理が求められております。本市では、昨年から毎月ケアマネジャー連絡会を開催し、ケアプラン作成に必要な情報提供や、グループ研修を実施しておりますが、この事件についても、この連絡会で取り上げ、同種の事件の発生防止や利用者からの信頼を高める手だてについて、ケアマネジャー相互で意見交換していただく予定であります。
 また、高齢者の権利保護を目的とする権利擁護事業や、痴呆性高齢者等の財産管理等を行う成年後見制度についての研修も行っており、今後とも利用者本位のケアマネジメントが充実するよう支援してまいります。
 次に、介護保険事業者に対する指導、育成策についてでありますが、昨年から、市内で介護サービスを提供する事業者が連絡会を構成し、情報交換を行ってまいりましたが、より充実したサービスが提供できるよう、本年7月に宝塚市介護保険事業者協会が組織され、事業単位の専門部会及び広報や調査研究の委員会が設置される予定であります。なお、市としても、介護保険者の立場から、この協会に参与として参加し、市民福祉の向上のための事業者を支援してまいります。
 次に、自己評価制度の今後の取り組みについてでありますが、県が県内の介護老人福祉施設や介護老人保健施設に呼びかけ、自己評価した結果をインターネットで公表する制度を本年4月から始めましたが、現在参加しているのは県下全体で312施設のうち、約1割にとどまっており、市内では全く実施されていないのが現状であります。
 このため、市内の全施設がこの制度を取り入れて自己評価し、公表するよう指導してまいります。
 また、さきに述べました介護保険事業者協会において、在宅サービスも含めた自己評価に関する委員会の設置が予定されておりますので、市といたしましても、これを支援してまいります。
 次に、交通バリアフリーの取り組みについてでありますが、鉄道駅舎におけるエレベーター等の設置につきましては、鉄道事業者において整備が進められてきたところでありますが、平成5年度からは、国、県及び市の補助制度等を活用し、整備を進めているところであります。このような中、昨年11月には高齢者、身体障害等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、通称交通バリアフリー法が施行され、1日の利用者数が5,000人以上ある既存の鉄道駅においては、鉄道事業者によりエレベーターの設置等、バリアフリー化を推進していくことが努力義務として位置づけられました。市といたしましても、この法律の基本方針である高齢者、身体障害者等の自立した日常生活、社会生活の確保だけではなく、駅等公共交通機関を利用するすべての人にとって、利便性及び安全性の向上が図られるよう、鉄道事業者と協議しながら、鉄道駅舎等のバリアフリー化を進めてまいりたいと考えております。
 次に、鉄道駅舎におけるエレベーター等バリアフリー施設の整備についてでありますが、阪急電鉄につきましては、昨年度までに宝塚駅、小林駅、雲雀丘花屋敷駅にエレベーター等が設置され、バリアフリー化が図られております。今後の予定といたしましては、本年度逆瀬川駅校内に2基のエレベーターを設置することとしており、それ以降につきましては、平成14年度に仁川駅、平成15年度に中山駅にエレベーター等の設置に向け、協議を進めてまいります。
 また、既にエレベーター等が設置されてはいますが、完全にバリアフリー化が図られていない残りの駅につきましても、鉄道事業者とバリアフリー化に向け、協議を行ってまいります。
 次に、JR西日本につきましては、本年度中山寺駅構内に鉄道事業者において2基、駅構外の自由通路に市において2基のエレベーターを設置することとしており、残りの駅につきましても、鉄道事業者とバリアフリー化に向け、協議を行ってまいります。
 次に、市道1047号線の道路改良事業についてでありますが、現在中筋山手地区で歩道の設置工事を中心に整備を進めているところであり、本年度末には、概ね完了する予定となっております。
 また、懸案となっておりました阪急電鉄山本変電所踏切の拡幅につきましても、基本的な調整が整い、実現の方向で阪急電鉄と具体の調整が進められる状況となりました。
 今度は、当該踏切改良に伴う基本協定及び施行協定等の締結に向けまして、積極的な対応に努め、早期の完成を目指してまいります。
 以上であります。

○議長  20番野尻議員。

◆20番( 野尻俊明議員)  (登壇)
 ただいま市長より丁寧に御答弁いただきありがとうございます。
 それでは、2次質問を始めます。
 福祉につきまして。自己評価制度の実行が各事業所で早期に実現されるよう、市の指導を要望するとともに、事業者協会の市民への情報発信の具体策についてお伺いいたします。
 介護保険制度をより一層市民に定着させていくために、制度の啓発を初めとして、情報の発信を継続する必要があると思います。従来からの宝塚市健康福祉アカデミーについても、事業者協会の設立に合わせて、事業者の情報発信の中核的役割を担う組織として位置づけたらと思いますが、市のお考えをお聞かせください。
 2次質問を終わります。
 3次質問をいたします。

○議長  助役。

助役  (登壇)
  野尻議員の御質問にお答えいたします。
 宝塚市健康福祉アカデミーに事業者協会の中核的な情報発信の役割を持たせてはどうかというお尋ねでございます。
 宝塚市健康福祉アカデミーは、市や市内の医療保健福祉の関係団体により構成されておりまして、相互の連絡強化や市民の健康、福祉への関心の高揚を目的に、平成9年から毎年事例発表会や市民フォーラムの開催を行っております。
 7月設立予定の介護保険事業者協会は、団体としてこのアカデミーに参加する見込みでございますので、各関係機関が一体となって研究、研さんをされ、介護や医療、あるいは福祉等に関する情報を発信していただきたいと考えてございます。
 以上でございます。

○議長  20番野尻議員。

◆20番( 野尻俊明議員)  (登壇)
 3次質問は、要望を含めて私の意見を述べさせていただきます。
 福祉行政について。児童虐待の防止についてはて、その早期発見、早期対応が大切であります。そのためには、民生委員、児童委員を初めとする市民の協力が不可欠であります。市民への啓発、不幸にして児童虐待が発生したときは、児童の保護者はもちろんのこと、虐待者のケアも大切であり、発足した児童虐待防止ネットワーク会議を有効に活用し、対応されるよう期待しております。
 一方、虐待を未然に防ぐために、子育て支援の充実に努められ、実効ある施策の展開を要望いたします。
 次に、介護保険制度の定着に関しましては、従来のケアマネジャー連絡会及び介護保険事業者連絡会の組織を統合、改編し、新たな介護保険事業者協会を発足するとのことですが、今後の協会の取り組みに期待するとともに、本市のより一層の指導、育成を要望いたします。
 また、子育て支援として、待機児童の解消のため、保育所の新設等の取り組み、児童虐待センター等の設立を取り組まれるよう要望いたします。
 2、道路福祉行政について。
 交通バリアフリーの取り組みは、鉄道駅舎のエレベーター、エスカレーターにつきましては、積極的に取り組むとのお答えをいただき、うれしく思います。引き続き、阪急清荒神、JR武田尾駅にも取り組んでいただきますよう、そして交通アクセスとして山手地区の仁川、売布地区のミニバス運行にもぜひバリアフリーの実現に向けて、早期に実現に努力していただくよう要望いたします。
 また、国道176号線にJR中山寺方面の表示板の設置をしてほしいとの声がありますので、ぜひ県へ強く要望していただくよう要望しておきます。
 阪急電鉄山本変電所踏切拡幅も基本的な協議が行われ、実現に向けて進めておられることはうれしく思います。ぜひ早期実現を要望いたします。
 最後に、最近のNHKのテレビの話題から、私の思いを述べてみたいと思います。
 まず福祉。イギリスでは、働くための福祉へ改革であります。失業者等へのきめの細かいサービスが行われています。
 環境では、諸団体がチョモランマに登ってごみを見ると、日本人のごみが大半であり、恥ずかしい思いをしたというお話があります。自分のごみは自分で持ち帰るということ、モラルの欠如であります。日本人とは、自分に問い直してみたいと思います。
 地域医療では、大阪の主婦が36歳で大学の医学部に入学して、医師になり、辺地医療のために北海道の襟裳町立襟裳岬の診療所に家族と分かれて1人で6,000人もの町民の医療に11年間献身的に努力されたこと。このことし4月からは淡路島の診療所で、家族そろって医師として人生を捧げる女性の生き方を見て、情熱と家族の理解と、人のために何ができるのかという優しい気持ちを見たとき、感動を覚えました。
 「米百俵」の話は、やはり目先のことより、将来国を背負っていく子供たちのための教育、人材の育成が大事であり、それに取り組む信条はすばらしいものがあります。私が常に思っていることは、安心して生活できるまちづくりと、まじめな者が報いられる社会づくりを構築しなければならないと思っております。また、市民の負託を受けている者として、責任を感じております。
 これをもちまして、6月本会議一般質問を終わります。ありがとうございました。