平成12年12月宝塚市議会

1 福祉・教育行政
 (1) 県立病院リハビリテーションセンターの誘致を
     宝塚・伊丹・川西・三田・猪名川として
 (2) 地域リハビリテーションを市としてどう考え展開するのか
2 コミュニティー行政
 (1) エコマネーの実験結果は
 (2) エコマネーの本格導入に向けて
   ア まちづくり協議会への支援は
   イ エコマネーの推進役である宝塚NPOセンターへの支援は
3 交通・観光行政
 (1) 宝塚とユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪)間のバス便の誘致を
◆9番( 野尻俊明議員)  (登壇)
 野尻俊明でございます。今世紀最後を締めくくる市議会となりました。激動の20世紀から新たな21世紀を迎えるわけですが、新しい世紀が人命を尊び、ヒューマンな志に満ちあふれた世界になりますことを願いながら、宝塚市議会平成12年12月の一般質問を始めたいと思います。
 1、福祉・医療行政。
 (1)県立病院リハビリテーションセンターの誘致を。宝塚・伊丹・川西・三田・猪名川として。
 (2)地域リハビリテーションセンターを市としてどう考え展開するのか。
 本年4月から、実施された介護保険制度は、多くの先進国が高齢社会を迎えようとする世紀の変わり目にふさわしい社会制度の改革であったと思います。介護保険制度は、開始されてから大きな混乱もなく、サービスの利用も徐々に伸びてきているとお聞きしており、解決するべき課題は多々あると思いますが、一応予定の軌道に乗ったのではないかと感じております。
 介護が必要な高齢者とその家族にとっては、十分ではないかもしれませんが、一応安心できる社会制度が用意されたと言えるのではないでしょうか。10年前のことを思い浮かべれば、デイサービスセンターは安倉が1つ、特別養護老人ホームは宝塚栄光園だけ。老人保健施設や訪問看護ステーションはありませんでした。今日の充実ぶりを見れば、本当に隔世の感があります。
 そこで、残された課題について考えてみたいと思うのですが、介護のシステムには3つの原則があるそうで、それはその人なりの生活を継続すること、継続性の原則。生活のやり方を自分で決めること、自己決定の原則。できる限りのことは自分ですること、残存能力の活用。というふうに言われています。その原則から、介護保険サービスの現実を見てみますと、在宅の重視や契約によるサービスの活用など、最初の2つについてはある程度前進しているように思われるのですが、残存能力の活用は、これからの課題ではないかと思われます。
 介護保険で行われる通所リハビリや、訪問リハビリだけではなく、自立支援や介護予防といった目標もあわせてサービスのあらゆる場面でリハビリテーションの考え方と取り組みが必要なのではないでしょうか。今申し上げたようなリハビリテーションを具体化するには、技術的支援や人的支援を行う公的機関が必要でありますが、総合的なリハビリ施設として、現在西神戸に県立リハビリテーションセンターがあるだけであります。
 そこで、宝塚市・伊丹市・川西市・三田市・猪名川町の北阪神4市1町で県立病院リハビリテーションセンターの阪神版を誘致してはどうかを提案いたしますが、どのようにお考えでしょうか。
 加えまして、宝塚市でもゴールドプランや障害者計画で地域リハビリテーションセンターの考えが出されていると思うのですが、最初に述べました考えに照らし合わせて、宝塚市としては具体的にどのような施策、事業を考えておられるのか、市長のお考えをお聞かせください。
 2.コミュニティ行政について。
 (1)8月10日から10月10日の2カ月実施したエコマネーの実験結果についてお尋ねいたします。
 宝塚市では、今、地域通貨として非常に注目を浴びているエコマネーの実験を宝塚NPOセンターと共同で実施されました。この実験に関しては、21万人の人口を擁する都市部でまちづくりの手法として、全市的に実施されるということで、時事通信社、地方行政等でも取り上げられるなど、各地の自治体からも注目されております。テレビ、新聞等のマスコミ各社が取材し、報道されましたことは、記憶に新しいところであります。
 11月2日からは毎日新聞で連載もされました。宝塚市や事務局を担当した宝塚NPOセンターには視察の申し込みが相次いでいると聞き及んでおります。このように、全国から関心を寄せられている実験の結果について、宝塚市としてはどのように評価し、今後の本格導入や施策に反映させていかれる考えか、お伺いいたします。
 (2)エコマネーの本格導入に向けて。
 1、エコマネー実験の運営主体となるまちづくり協議会に対する支援について。
 今回のエコマネー実験は、宝塚市全域への導入を図る手がかりとして、まちづくり協議会を地域の窓口等で実施されました。地方分権時代にあって、今後まちづくりの総合調整役または住民自治の推進役としての役割が求められております。しかし、その活動は地域によって温度差があり、活性化が課題であります。エコマネーの循環による効果の1つには、コミュニティの再生、活性化が上げられます。私も一市民として、中山台コミュニティ連合会を窓口とする今回の実験に参加いたしました。実験終了後も引き続きエコマネー循環を推進していくことを参加者で話し合われ、今後の推進役を引き受け、まち協の部会としてエコマネー部会の設置を要請するに至っております。
 これを例に引きましても、エコマネーは地域住民の自主性、主体性を引き出し、宝塚市が目指しております住民による自治を支える手法としての可能性が多大であります。
 今回は、2カ月という短期間の実験でありましたが、IT関連設備に伴う回線設置、印刷等の経費は発生しております。地域においては、事務局機能としての人材、通信、印刷機材等の整備が急務と痛感いたしました。幸い、私の参加しました中山台コミュニティ連合会には、コミュニティセンターが整備されており、また今回の実験では、宝塚NPOセンターが事務局として機能しております。しかし、今後の本格導入では、参加人数の増加に伴い、発生する事務量も膨大な量となると推測されます。ちなみに、北海道栗山町での試験流通では500人余の参加者で、サービスメニューリストは700ページになっているとのことであります。常設の事務局機能の設置が地域での推進には不可欠であります。このような状況にかんがみ、今後の本格導入に向けて、まち協の機能強化整備に向けて具体的な支援策をどのように考えているのかお尋ねいたします。
 (2)エコマネーの推進役である宝塚NPOセンターに対する支援について。
 今回の実験では、宝塚NPOセンターが事務局として参画し、まち協と共同してその推進に当たっております。NPOセンターも、まち協も21世紀のまちづくりにおいては、行政のパートナーとしての役割が期待されております。9月に発表された日本経済新聞による行政サービス調査においては、市民参加評価で全国の671市と東京23区を合わせた中で、武蔵野市に次いで箕面市とともに、宝塚市が同ポイントで第2位となっております。
 これからの市民参加においては、これまでのように行政が全面で旗振り役をしていくのではなく、総合調整機能を持つ機関が推進役となることが地方分権社会の実験にとっても肝要であります。このような観点からも、今回の実験における宝塚NPOセンターの役割は重要であると考えます。当センターには、1998年4月から向こう3年間という期限つきの補助金が執行されておりますが、今回のような大がかりな実験による臨時雇用職員の賃金や諸経費を自己財源から捻出するのは非常に困難であろうと推測いたします。今後、本格導入に向けた実験は、回を重ねるごとにその事務量も増加し、従事する専門職員の人件費、機材費の整備に係る経費も比例して負担が大きくなると推測いたします。エコマネーの推進役としての同センターにかかわる経費の補助が必要ではないかと考えます。
 宝塚市の今後のまちづくりのパートナーとして不可欠であります宝塚NPOセンター、まちづくり協議会に対する基盤強化の支援策の考え方をお伺いいたします。
 次に、交通・観光行政についてお聞きいたします。
 私は、平成12年9月市議会一般質問におきまして、来春オープンされるユニバーサル・スタジオ・ジャパンに関連して、本市における広域的な観光誘客やユニバーサル・スタジオ・ジャパンとの連携策について御質問をさせていただき、市としては兵庫県来客誘致促進委員会にUSJを活用し、誘客促進策検討ワーキンググループが設置され、広域的な観光誘客の対策について調査研究がされていることから、その結果を参考にして、市国際観光協会とともに、誘客のあり方を検討していくと御答弁をいただいております。
 私は、今回それに関して具体的な提案としまして、本市とユニバーサル・スタジオ・ジャパンを結ぶバス便を新設し、これによってユニバーサル・スタジオ・ジャパンと宝塚観光とを有機的に結びつけ、新たな観光客を本市に誘致することができるのではないかと考えております。この件につきましては、既に市国際観光協会など、関係団体と連携しつつ、市でも取り組みを進めておられると聞いておりますが、現在の進捗状況と、今後の見込みについてお聞かせいただきたいと思います。
 これで1次質問を終わります。

○副議長  市長。

市長  (登壇)
  野尻議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、県立リハビリテーションセンターの誘致についてでありますが、現在県内には高度で専門的なリハビリテーションを総合的に実施する県域での中核施設として、県立総合リハビリテーションセンターが神戸市西区に設置されております。同施設では、福祉のまちづくり工学研究所が併設され、福祉機器の開発と、都市施設や住宅などのいわゆるバリアフリー化の研究を行っており、リハビリテーションの概念の広がりにも対応する先駆的機能を備えております。しかし、阪神間の市民が利用するには遠隔地にあり、専門的リハビリの必要性も高まっていることから、阪神間にも総合的な県立リハビリテーション施設が必要との認識も高まってきております。このような、現状を踏まえて、阪神北部広域行政研究会では、中・長期的な検討課題として、県に対して高齢者リハビリテーションセンターの設置を共同して誘致することを掲げております。
 次に、地域リハビリテーションを市としてどう考え、展開するのかについてでありますが、地域が対応するべきリハビリは、日常的生活動作や社会的活動に重きを置くものであると理解しており、これらを身近なところで日常的に受けられる体制づくりが必要であると考えております。
 今後の展開につきましては、老人保健施設における通所リハビリの内容を多様化することや、機能訓練事業の充実あるいはデイサービスセンターのプログラムにリハビリの要素を加えるなどの取り組みが必要であることから、今後在宅介護支援センター及び地域保健活動を通じて、地域リハビリのニーズを把握するとともに、介護保健サービス各事業者への働きかけを行います。
 また、将来的には、住宅改造や福祉機器の利用支援なども行える総合的支援機能を備えた地域リハビリテーションセンターの整備について研究してまいります。
 次に、コミュニティ行政についてでありますが、まずエコマネーの実験結果につきましては、宝塚NPOセンター等と共同で、本年8月10日から10月10日までの2カ月間、中山台コミュニティ連合会等4地域2団体の計189人の方々が参加されました。この実験は、パソコンの使い方や買い物、植木の水やりなど、市民ができることと、してほしいこと等、貨幣では評価しにくいサービスを個人間で提供し合い、今後の地域における相互協力や共助の仕組みづくりとして、非常に有用なものであったと考えております。
 実験の成果としましては、エコマネーに対する理解がある程度浸透し、新たな人間関係が生じたり、既存の組織間でつながりが生まれるなど、人と人とのネットワークが拡大したものと評価しております。
 今後も、エコマネー循環の効果として、コミュニティのさらなる活性化が期待されており、宝塚NPOセンターや多くの協力者及びまちづくり協議会等々とともに協議を重ねながら、本格導入に向け、エコマネーの実験を続けてまいります。
 次に、まちづくり協議会への支援につきましては、エコマネーの実験にはコミュニティ活動拠点としての事務所及び印刷機、ファクシミリ、電話、パソコン等の事務所機能が必要であると考えております。小学校のクラブハウス等をさらに活用するとともに、順次まちづくり協議会活動のための施設を整備してまいります。
 また、宝塚NPOセンター及びまちづくり協議会に対するエコマネーの実験に要する経費への支援策につきましては、エコマネーの流通には運営する人材の育成、費用負担の問題などの課題もあり、宝塚NPOセンターが主催するエコマネー活動の展開などを対象にした総合的な支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、観光行政について、宝塚と大阪ユニバーサル・スタジオ・ジャパンとのバス直行路線の開設についてでありますが、本年8月から3回にわたり国際観光協会、商工会議所とともに、関係バス会社2社に協議要請を行っているところであります。しかしながら、USJにおけるバス受け入れのターミナルが4カ所で1時間16便、1日にして70便が限界であり、現在100系統路線以上の申請があるため、既に機能がオーバーする状況であること。また、宝塚からの直行便については競合する交通機関との関係で、料金面、所要時間において事業の採算ベースからして大変厳しい状況にあります。このような状況から、現在のところ見通しは立っておりませんが、既存のバス路線の延伸、接続による方法も含めて、直行便路線の開設について今後も引き続き協議を行ってまいりたいと考えております。

○副議長  9番野尻議員。

◆9番( 野尻俊明議員)  (登壇)
 市長より丁寧な御答弁をいただき、ありがとうございました。
 2次質問は、提案と要望をいたします。
 1.医療・福祉行政について。
 県立リハビリテーションセンターの誘致につきましては、広域行政研究会で検討課題にされているとの御答弁をいただきまして、北部阪神の広域の取り組みが前進しているとの印象を強く受けました。
 さまざまな行政分野が県域から市町村を単位とする地域化が図られて、いよいよ地方分権の勢いが増している中で、特に福祉の分野はこの10年間の間に分権化が進み、介護保険が市町単位で実施されることは大きな変化であったと思います。しかし、リハビリテーションも専門的なものは、ある程度広域的事業となることはやむを得ず、人口密集度及び県立リハビリセンターの現在の位置を考えれば、阪神間、特に北部阪神地区に設置されるべき時代が来ているのではないかと考えます。宝塚市民がどのような場合でも生き生きとした暮らしを自分のものにしていく力を備え、地域でのリハビリが多様なバックアップを受けられるようにするためにも、ぜひ宝塚市が先頭に立って誘致に取り組まれるよう強く要望いたします。
 2.コミュニティ行政については、まちづくり協議会の支援として、パソコン、ファクシミリ等、事務所機能の充実について、エコマネーの実験としてしている地域には早急に整備されるよう要望します。
 宝塚NPOセンターはエコマネー実験及び今後の本格導入に中心的な役割を果たすことが期待されています。エコマネーを成功させるために、宝塚NPOセンターに対する財政的援助をぜひとも必要であり、不可欠であることから、強力な支援を強く要望いたします。
 次に、コミュニティビジネスの育成に対する取り組みを提案いたします。
 一昨年のNPO法、特定非営利活動促進法の施行により、NPOがビジネスとしての事業活動を行い、いわばボランティアと企業の中間領域に位置するものとしてコミュニティビジネスなるものが注目され始めてきております。コミュニティビジネスとは、地域住民がよい意味で企業的経営意識を持ち、生活者意識と市民意識のもとに活動する住民主体の地域事業のことです。これらの動きは、いずれも地域という限定された市場で、地域に密着した事業活動を行うことにより、地域における内発的な発展を目指そうとするものであり、また戦後日本の会社中心の社会が崩壊しつつあり、人々が地域社会に戻り、自己実現を目指すための新たな受け皿として注目されております。
 その効果としては、住民の自己実現、地域特有の社会問題の解決、地域文化の継承や創造などが図られることにより、特徴としては、住民主体の地域密着型、利益追求を第一の目的としないビジネスであり、企業活動とボランティア活動との中間的な存在と言えます。
 また、このコミュニティビジネスを可能とする条件としては、行政、企業、市民との間を仲立ちする中間支援機関といった組織が必要であり、行政や企業と協力しながら、地域コミュニティでの問題解決や、住民の生活の質の向上を目指して、専門家の派遣やノウハウの提供、先進事例の紹介などの業務が求められております。私はまさに宝塚NPOセンターがその役割を担っているものではないかと考えております。今後、NPOがコミュニティビジネスを行うようになれば、財政的にも行政に依存することなく、自立的なコミュニティの中核部隊として、行政のやれない領域や行政の不得意の領域において、もっと独自の社会的な役割の貢献を果たし、地域のまちづくりの主体たることができるのではないかと考えております。
 本市においては市民との協働のまちづくりを第4次総合計画のテーマとして掲げ、21世紀における新しいまちづくりを目指そうとしていることをかんがみれば、このようなNPOによるコミュニティビジネスの育成を今後のまちづくりに生かせるような取り組みに努められるよう要望いたします。
 3.交通・観光行政につきましては、新聞発表によりますと、伊丹市長がJR中山寺へのバス導入を推進したいとの考えを表明されましたが、本市市民並びに伊丹市民がバス路線導入により、便利で快適な市民生活を送られることと思いますので、ぜひ本市も協力して実施できるよう配慮していただきたい。また、USJとのバス便も引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、宝塚市が平成12年度地域づくり自治大臣表彰として、今回、住民参加のまちづくり自治大臣表彰を団体として11月末に受賞しました。これは、全市域にまちづくり協議会というネットワークが網羅されたのは、全国的にも初めてのケースということであり、また女性ボードや市民100人委員会の活動を通じた人材の育成、さらにまちづくり協議会による地域づくり活動の活発化など、さまざまな成果が見られていることが表彰される要因であったと思います。まさに、本市における市民との協働のまちづくりの成果であり、大きく評価できるものであります。これを契機に、より一層の市民のための行政が行われるよう期待をいたしております。
 また、日本経済新聞社と日経産業消費研究所が全国の671市と東京23区を対象とした行政サービス調査において、本市は総合計画審議会での一般公募委員の参加やNPOへの支援などが評価され、市民参加ランキングで大阪府、箕面市と並んで第2位となっています。これにつきましても、これまでの本市の市民との協働のまちづくりを先導的かつ積極的に進めてこられた成果のたまものであると考えております。議員の一人として、今後のまちづくりに対する役割や責任を強く感じております。
 さらに、21世紀を迎えて、地球環境や福祉の観点から、クリーンで低負荷である風力発電や太陽光発電といった自然エネルギーの普及を地域の活性化につなげていく取り組みについて、本市でも研究されることを願いつつ、21世紀最後の私の一般質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。