岩国児童文学研究会の紹介


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内容:最近の読書会で取り上げた作品、会の紹介

最近の読書会で取りあげた作品 


『ルーム・ルーム』 ロドースキー作 金原瑞人訳 金の星社

 表紙に The loom room とあったので、てっきり原題かと思いましたら、原題は訳者が「くるり屋」と訳している THE TURNABOUT SHOP なのですね。原題もTHE LOOM ROOM の方がよかったのではと思いました。

 アメリカでは離婚が多いのですからリビィのように片親を失って孤児になるケースは多いのでしょう。この物語はそのような境遇の子ども達に希望や勇気を与えるという効果もあるでしょう。もっと大きく考えれば、他人がどのような環境でどのような悩みを持ちながらどのような生活をしているかを知り、自分はどのように生きていこうかと考えることの大切さをおしえる本だと思います。もちろん現実はこの物語の設定よりももっと厳しいことが多いのではないかと思いますが、リビィのサイドからの1人称の物語形式をとって、リビィの心の動きをよくとらえているとおもいます。

 212-214ページのところでは、涙がにじんでしまいました。

 さて、例によってインターネットで Colby Rodowsky を調べましたら、彼女自身が書いた文章が見つかりました。本書の巻末の作者紹介以外のことをご参考に紹介します。

 「私がが夫と共に住んでいるボルチモアの赤煉瓦の家は私が幼い頃住んでいた家の、通りをへだてた真向かいにあります。少し前、その真向かいの家に、一人の女性と9歳の女の子がすんでいたことがあり、その子はのっぽのやせで髪が黒く、私が同年代のときとよく似ています。その女の子が庭の芝生で犬と遊んだり雪で城を作ったりしているのを見ると、まるで自分がタイムトンネルの本に足を踏み入れたような気がします。

 私は大学では英語を専攻し卒業後3年生を教えその後特殊教育をしました。弁護士(現在は裁判官)と結婚して5人の娘と一人の息子をもうけました。彼らは全て結婚し今では13人の孫がいます。

 一番下の子どもが2年生のときに、前からやりたいと思っていた<子どもやヤングアダルト向けに本を書く>チャンスを得てそれ以来書き続けています。

 よく『本の中のキャラクターに自分の子どもを使うか』と聞かれることがありますが、私の答えはNOです。作品中のキャラクターは、これまでに会った人たちの性格の断片に多分の想像をかき混ぜた物です。

 現在、私は毎日自分の書斎で執筆をします。犬のポンゴがそばにいて、私がパソコンの画面を見つめてピッタリとした言葉や言い回しを作り出したり、私のアイデアを可能な限り最善の本にするのにつきあってくれます。」(部分的意訳)                               以上

PS:ドイツ駐在時はよくアンティーク市へ出かけましたので、アンティークのことは懐かしく思い出しました。アメリカ出張時にもアンティーク店でキルトを見たことがあります。このごろカミさんが良く行くリサイクルショップの店の名は「くるりん」です。「くるり屋」と似ていますね。

7月 「ルーム・ルーム」コルビー・ロドースキー作 金原瑞人訳 金の星社
6月 「ティディベアの夜に」ビリアン・アルコック作 金の星社
5月 「イスカンダルと伝説の庭園」ジスベルト作 宇野和美訳 徳間書店
4月 「風のささやきを聞け」チーワ・ジェームズ/編 めるくまーる
3月 「12歳たちの伝説」後藤竜二/作
2月 「アンモナイトの谷」バーリー・ドハティ/著 新潮社
2000年
12月「バッテリー」あさのあつこ 著 教育劇画
11月「ビート・キッズ」風野 潮 著 講談社
10月「リズム」 森 絵都 著 講談社 
9月 「穴」 ルイス・サッカー作 幸田敦子訳 講談社
8月 「恋のダンスステップ」 ウルフ・スタルク著 菱木晃子訳 小峰書店
7月 「モンスーン あるいは白いトラ」 クラウス・コルドン著 大川温子 理論社
6月 「カレジの決断」 ワイマン著 瓜生知寿子訳 偕成社
5月 「ハリーポッターと賢者の石」ローリング作 松岡佑子訳 静山社
4月 「冬の入江」マッツ・ボール著 徳間書店
3月 「ストライプ」デヴィッド・シャノン著 セーラー出版
2月 「魔法の贈り物」C・アドラー著 金の星社

1999年
12月 「すももの夏」ルーマー・ゴッデン著 徳間書店
11月 ヤングアダルト向けリスト作成
10月 「彼の名はヤン」イリーナ・コルシュノフ作 上田真而子訳 徳間書店
9月 「どっこい巨人は生きていた」メアリー・ノートン著 猪熊葉子訳 岩波書店
8月 「絵船 狩野探幽の暗号」川村たかし作 ポプラ社
7月 「オーブンの中のオウム」ヴィクター・マルティネス著 講談社
6月 「地下脈系」マーガレット・マーヒー作 青木由紀子訳 岩波書店
5月 「鬼の橋」 伊藤 遊著 福音館書店
4月  絵本研究
3月 「がんばれセリーヌ」ブロック・コール著 戸谷陽子訳 徳間書店
2月 「その時ぼくはパールハーバーにいた」グレアム・ソールスベリー著 さくまゆみこ訳徳間書店

1998年
12月 「蒙古の波〜白狐魔記」 斉藤 洋著 偕成社
11月 「お父さんの足音」岩崎京子著 ポプラ社
10月 「グリーン・アイズ」森 忠明著 小峰書店
9月 「夜行バスにのって」ウルフ・スタルク著 遠藤美紀訳 偕成社
8月 「だれかがドアをノックする」アン・メリック著 斉藤倫子訳 徳間書店
7月 「乱世山城国伝」後藤竜二著 新日本出版社
6月 「屋根にのるレーナ」ペーター・ヘルトリング著 上田真而子訳 偕成社
5月 「歌う木にさそわれて」マルガレータ・リンドベリイ著 石井登志子訳 徳間書店
4月 「はるかニライ・カナイ」灰谷健次郎著 理論社
3月 「いつかこの闇をぬけて」インゲブルク・マイヤー著 天沼春樹訳 ほるぷ出版
2月 「少年H」妹尾河童著 講談社


△左から「さて、ぼくは?」、「父がしたこと」(原本)、「星条旗よ永遠なれ」(原本)


1997年
12月 「さて、ぼくは?」モニカ・フェート著 松沢あさか訳 さ・え・ら書房
11月 「サイレント ビート」泉 啓子著 ポプラ社
10月 「父がしたこと」ニール・シャスターマン著 唐沢則幸訳 くもん出版
9月 「めぐりめぐる月」シャロン・クリーチ著 もきかずこ訳 講談社
8月 「闘牛の影」マヤ・ヴォイチェホフスカ著 渡辺茂男訳 岩波書店
7月 「ディダコイ」ルーマ・ゴッデン著 猪熊葉子訳 評論社
6月 「星条旗よ永遠なれ」アヴィ著 唐沢則幸訳 くもん出版
5月 「狼とくらした少女ジュリー」ジーン・クレイグヘッド・ジョージ著 西郷容子訳 徳間書店
4月 「精霊の守り人」上橋菜穂子著 偕成社
3月 「トウシューズ」ルーマ・ゴッデン著 渡辺南都子訳 偕成社
2月 「クリスマスの魔術師」マーガレット・マーヒー著 山田順子訳 岩波書店

1996年
12月 「翼ひろげて」 ロビン・クライン著 坂崎麻子訳 偕成社
11月 「私を置いていかないで」 インゲル・スコーテ著 今井冬美訳 金の星社
10月 「夏の丘、石のことば」 ケヴィン・ヘンクス著 多賀京子訳 徳間書店
9月 「ラヴジョイの庭」 ルーマ・ゴッデン著 茅野美ど里訳 偕成社
8月 「白狐魔記 源平の風」 斎藤 洋著 偕成社 
7月 「パパとのぼった木」 C.S.アドラー著 岡本浜江訳 文研出版
6月 「ざ・ギバー 記憶を伝える者」 ロイス・ローリー著 掛川恭子訳 講談社
5月 「グフグフグフフ」 上野 瞭著 あかね書房
4月 「壁の向こうからきた男」 ウーリー・オルレブ著 母袋夏生訳 岩波書店
3月 「Tバック戦争」 E.L.カニスバーグ著 小島希里訳 岩波少年文庫
2月 「潮風のおくりもの」 パトリシア・マクラクラン著 掛川恭子訳 偕成社

1995年
12月 「ぼくたちはそこにいた」 リヒター著 上田真而子訳 岩波書店
11月 「グエンの旅だち」 R.E.ハリス著 脇 朋子訳
10月 「真夜中のパーティ」 フィリッパ・ピアス著 猪熊葉子 冨山房
9月 「ふたりの老女」 ヴェルマー・ウエリス著 亀井よし子訳 草思社
8月 「わたしにはパパだっているもんね」 ネストリンガー著 松沢あさか訳 さ・え・ら書房
7月 「忘れ川をこえたこどもたち」 マリア・グリーペ著 大久保貞子訳 冨山房
6月 「顔のない男」 イザベラ・ホランド著 片岡しのぶ訳 冨山房
5月 「運命の馬ダーリング」 ペイトン著 掛川恭子訳
4月 「時の旅人」 アリスン・アトリー著 小野 章訳 評論社
3月 「時の石」 那須正幹著 文渓堂
2月 「ディア・ノーバディ」 バーリ・ドハティ著 中川千尋訳 新潮社

1994年
12月 「キャミーの8月」ヴァジニア・ハミルトン著 掛川恭子訳 講談社
11月 「イリリアの冒険」ロイド・アリグザンダー著 宮下嶺夫訳 評論社
10月 「カナディアンサマーKYOKO」村中李衣著 理論社
9月 「シロクマたちのダンス」ウルフ・スタルク著 菱木晃子訳 佑学社
8月 「女トロルと8人の子どもたち」グズルン・ヘルガドッテル作 ブリアン・ピルキングトン絵 山内清子訳 偕成社
7月 「その時がくるまで」マーサ・ハンフリーズ著 槇 朝子訳 ほるぷ出版
6月 「クレージー・マギーの伝説」ジェリー・スピネッリ著 菊島伊久栄訳 偕成社
5月 「リトル・トリー」フォレスト・カーター著 和田穹男訳
4月 「銀の匙」 中 勘助著
3月 「エミリー」マイケル・ビダート文 バーバラ・クーニー絵 掛川恭子訳 ほるぷ出版
2月 「雪原の果てに 14才のシベリア探検記」ユーリイ・クルトゴーロフ著 田辺佐保子訳 佑学社


会の紹介 


本会は昭和43年5月に、岩国市立図書館内で当時児童室担当だった稲生 慧さんを中心として発足した。
最初の1年は、そのころ岩国市内に在住されていた児童文学者 沖井千代子さんの指導を
受けながら日本および世界の児童文学史の中で重要な作品を読むことから始めた。その後は
読む――内外の長編を読む。短編は(創作雑誌)「びわの実学校」を読む
書く――習作集をつくり研究し合う
話す――ストーリーテリングの練習
を三本柱として息長い活動を続けた。現在は毎月の読書会が活動の核となっている。
今まで在籍した会員は主婦、幼稚園・小中高校の教諭、牧師、画家、図書館員、会社員など多様であり、
レギュラーは常に10名前後を保っている。

私は岩国にいたときに読書会に出ていましたが、最近はe-mailで感想文を送る形で参加しています。


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