ティーバッグという紅茶スタイル

リーフティーがすっかり定着した今でも、紅茶といえばやはりティーバッグが主流です。
20世紀の初めに発明されたティーバッグは、誰でも簡単に淹れられる手軽さと価格の安さを兼ね備えていますが、それゆえに粗末に扱われがちなのも事実。
ところがティーバッグには、リーフティーにも勝るとも劣らない奥深さがあるのです.......


ティーバッグがいつどこで誰によって発明されたのかについては、専門家によって諸説があり、詳細についてははっきりわかっていません。
しかし20世紀の初めにアメリカ人の紅茶商人によって偶然発明されたという説が最も有力です。

ニューヨークの紅茶卸商、トマス・サリバンは、見本用の紅茶を絹の小袋に入れて整理していましたが、1904年のある日、レストランを経営している客が彼のもとを訪れた時、その小袋をそのままティーポットに入れることを思いつきました。
英国流の伝統的なリーフティーの淹れ方に比べると、それは非常に手軽な淹れ方でした。
これがティーバッグの起源だといわれています。

その後、紅茶の成分をうまく抽出できる袋や効率よく茶を袋に詰める機械等、多くのアメリカ人による試行錯誤が繰り返されました。
袋には絹に代わってガーゼが用いられるようになり、G.Hフォード女史によって巾着型のティーボールが作られましたが、商品としてのティーバッグが急速に普及したのは透過率に優れた特殊な紙が、アメリカのデクスター社によって開発されてからの事でした。
水に浸しても破れず、優れた抽出能力を持つ紙。
その画期的な紙の登場によってティーバッグは一気にポピュラーな商品になっていったのです。

紙の開発と同時に進行したのが、茶葉の改良でした。
初期のティーバッグにはリーフティーがそのまま使われていましたが、抽出を良くするためにやがて茶葉が細かくカットされるようになりました。
こうしてほぼ現在見られるティーバッグの形へと近づいていったのです。

英国をはじめとする西欧中心に綴られてきた紅茶史にあって、ティーバッグはまさに異端とも言える経緯をたどって誕生したといえるでしょう。

参考 : 紅茶の辞典

[紅茶の豆知識]