Keyless
カタナのヘルメットホルダーは、シートをはずしてフックに引っ掛けるタイプの物です。
これは、シートロックキーで開錠し、シートをはずしてからでないと使用できないという、急いでいるときに非常に厄介なものでした。
初めは、「SUZUKI チョイノリ」のヘルメットホルダーを買って、ハンドルにでも取り付けようかと考えたのですが、それも「ひねり」が足りないし、また、2本のキーを使い分けるのに大変だと感じました!
「どうにかこのシートロックを簡単に開錠できるものがあれば。。。」と考え、たどり着いたのが、このキーレスSYSの製作の始まりでした。
まずは同じするならリモコンでという発想から、どうにかリモコンキットを探すことにしました。ところが、リモコンを一から作り上げるスキルは到底持ち合わせておらず、すでに完成品として流用できるものはないかとさがしついたのが、自動車用アフターパーツであるキーレスエントリー後付キットなるものでした。
キーレスエントリーは、最近は軽自動車でも持ち合わせている機能のひとつですが、旧車、外車、一部グレードにはついていないものもあり、その後付キットとして汎用品が販売されているものがあるのです。
試行錯誤を繰り返し、やっと入手したのが、このキットです。
リレー内臓のリモコン受信機、ジャックナイフ型リモコン×2、配線のセットです。
ヤフオクでは5000円くらいで取引されているようですが、性能によっては、2000円台でも十分利用可能です。
ちなみに←は、アンサーバックや一番大事なトランクオープナーの開錠機能付なので、4600円でGETです。
1
ここで、少し使用したリレーと、その配線(回路)についての説明をします。
すでにおわかりの方は、読み飛ばしてください!
←のリレー(模式図)は、4極(a接点)リレーといって、1〜2間のコイルに電流が流れると、3〜4間の接点が入るものです。
逆に接点が切れるものを、b接点リレーといいます。
2
また、←のリレーは、5極(c接点)リレーと言って、A〜B間のコイルに電流が流れると、C〜D間の接点が入り、同時にC〜E間の接点が切れるといものです。いわば、上のリレー(a,b接点)の機能を両方持っているリレーともいえます。
D、Eの配線を非接続とすることもできます。
3
ここからは、実際に使用した回路の説明です。
左の回路図は、一般的には「自己保持回路」とも言うらしいですが、僕のバイクには、ヘッドライトのON/OFFスイッチにも採用しています。
また、市販の「モトイージー」って商品もこの回路を利用したものだと思います。
4
まず、a接点リレー(c接点リレーでも可)を使い、3の回路図のとおり製作します。
途中▲マークがありますが、これはダイオードで、三角のとがった方向にしか電流を流さないというものです。逆流防止に使用します。
先の説明のとおり、1〜2間に電流を流すと、3〜4間の接点がつながります。(赤線は電流の流れを示します。)
5
説明が遅れましたが、このリレーは1、3からは電流が、また2、4はアースあるいはマイナスとし、1から2へ、また3から4方向(逆も可能)に電流は流れるようになっています。
1〜2間に電流が流れ、3〜4間の接点が閉じると、3から4を経て1さらに2に電流が流れていくのがわかると思います。
4〜1間、1のダイオードの向きに注意が必要です。(反対なら4から1には流れないし、1には逆流します。)
6
5の回路で何をしているかというと、3〜4間の接点は、1〜2間の電流の供給が途絶えると、接点が離れてしまい、3〜4間の電流は流れなくなります。
そこで、一旦3〜4に供給された電流を1に送ってやることによって、1〜2間に電流は流れ、結果その繰り返しで、3〜4間の接点が常に自己保持された形になるのです。
また、左のように3〜4間にももちろん流れています。
7
その回路を応用すると、左の回路が出来上がります。
5の回路のみだと、常にONになってしまい、OFFすることができないので、5の回路の4〜1間にさらにb接点(左図はc接点リレー)を設けることにより、OFFを可能にしてます。
つまり、A〜B間のコイルに電流を流すと、C〜E間の接点が切断され、回路の自己保持ができなくなり、結果OFFとなるのです。
8
基本的なON/OFFの回路の仕組みがわかれば、今度はキーレスエントリーのキットと組み合わせていきます。
上記左側にある四角い部分が、キーレスユニット部で、そこに3で説明した回路をはめ込んでいきます。なぜ、7の回路をいれないかというと、すでにキーレスユニット内には、複数個のリレーが組みつけられており、そのリレーを利用することによって、OFFの部分は流用できたからです。
回路図の中央にあるリレーが自己保持回路用のリレーで、そこに白/黒、橙/黒の配線で接続されているユニット内のリレーが自己保持回路のOFF用リレーです。
さらに、ユニット内の白、黄の配線で接続されているリレーは、自己保持ON用(コイル起動用)リレーです。
もうおわかりですね!ユニット内にある2個のリレーでそれぞれON、OFF用の電流を流しているのです。
あとは、アンサーバック用の配線はウインカー用、中央上のリレーはシートオープナー用です。
シートオープナーは、リモコンから信号を受信すると、リレーにワンショットの電流を流し、さらに電磁スイッチをONする機能を利用しています。
また右上のリレーは、ユニットで電源をONしている間のみ常時マイナス電流が流れ、コイルに電流が流れるのでリレーの接点がつながります。この配線をセルモーター用電源に割り込ませることにより、リレーでON時のみセルが回るようにできるのです。
さらに、中央の自己保持回路用のリレーをあらかじめc接点リレーにすることにより、リモコンスイッチOFF時(イグニションOFF時)にのみ電流を流すことができるので、駐車時のセキュリティアラームを振動センサーで作動させる回路が組みつけられます。
これら出来上がったリレーたちをひとまとめにして、自己保持用のON/OFFの配線をイグニションキーの配線に割り込ませると、キーレスON/OFFキットの出来上がりとなります。
このキットはリモコンで電源をONにするため、もし万が一バッテリーが上がってしまったときにはイグニションONとすることができません。そこで、キースイッチも利用できるよう配線に割り込ませる形で使用しています。
しかし、リモコンでONしないとセルモーターがまわせない事に気づき、どこかに隠しスイッチが必要となることがわかりました。よって、この配線は今のところまだ行っておりません!
リモコンで、自己保持回路にワンショットの電流を流すと、3回ウインカーを点滅させた後に、イグニションがONとなります。
OFFは同様にして、リモコンスイッチを押すと、リレーの接点が切れイグニションがOFFとなります。
シートオープナー機能です。
リモコンのONボタンを長押しすると、シートオープナー用のリレーが作動し、電磁スイッチをONすることにより、シートが開きます。
僕は「パカッとシート」と名づけました。
汚いのはご愛嬌として、リモコンスイッチでワイヤーが引かれることがわかります。
キーシリンダー用のワイヤーを途中から引っ張るようにつなげています。
動きが円滑になるよう、網戸用の戸車を利用しています。
戸車は、前後2箇所にあります。
このキーレスキットのもうひとつの機能。ハザード点滅機能です。
車では駐車場でどこに停めたかわかるようにとの機能ですが、僕のようなバイクは探さなくってもわかるって!
IMPRESSION
シートオープンを手軽にしたいという思い付きから発展したこの企画。
大半が市販キーレスエントリーキットのお世話になっていますが、その大半が目的外使用のため、是非自分にもと思われる方は、自己責任で取り付けを行ってください。
配線、回路の説明はわかりにくい場合はご連絡ください。
これで、イグニションON/OFFが楽になり、さらにシートオープンまで!
セキュリティや簡易イモビ機能、ハザードスイッチまでできるなんて、大満足です。
ただ、駐車時にもバッテリーを消費するので、常に乗っているか、シーズンOFFはバッテリーをはずさないと大変なことに。。。