2 請求の趣旨
 第一 遺骨26体を原告らに引き渡せ
第二 各10万円の慰謝料を支払え
 3 請求の原因(概要)
第一 盗掘と被告の占有
1928年から1929年、被告(旧京都帝国大学)助教授であった人類学者・金関丈夫が百按司墓等から少なくとも人骨59体を持ち出し、現在、京都大学は26体の遺骨を占有している。
 第二 対応拒否
③④は2017512日以降京都大学に対し、遺骨に関する情報の開示を求めたが、20183月以降、何らの対応もおこなうことはなかった。
 第三 百按司墓と琉球独自の習慣  
百按司墓は、沖縄・今帰仁村に存在する古墓であり、北山時代から第一尚氏時代の貴族とその一族の墓であると考えられており、今回の遺骨は、北山時代から第一尚氏時代の貴族とその一族の墓であると考えられている。琉球では祖先の霊魂が神となった「祖霊神」が子孫を守ってくれるものとして崇拝されてきた。この「祖霊神」は祖先の遺骨に宿ると考えられ、遺骨そのものが「骨神(ふにしん)」として崇拝の対象とされている。
 第四 法的根拠
憲法第20条による信仰の自由及び宗教的行為をおこなう自由
憲法第13条による宗教的自己決定権としての祖先祭祀に関する自由

〇「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)第27

 少数民族に属する者は、その集団と他の構成員とともに自己の文化を享受し、自己の宗教を信仰しかつ実践しまたは自己の言語を使用する権利を否定されない。

民法8971

系譜、祭具及び墳墓(遺骨も含む)の所有権(管理権を含む)は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。

 
左より、松島、亀谷、玉城、丹羽の各氏
 第五 国連自由権規約委員会等の所見

20081030日の国連自由権規約委員会による総括所見

 アイヌ民族と琉球民族を国内法で先住民族と明確に認め、継承文化や伝統的生活様式を保護、保存及び促進する特別な措置を講じ、土地についての権利を認めるべき。

2018828日の国連人種差別撤

廃委員会による日本政府への勧告

 琉球の人びとを先住民族として認識することに関して、締約国(日本のこと)は、その立場を再検討すること、および彼・彼女たちの権利を保護するための措置を強化するよう勧告する。

2007913日の「先住民族の権利に関する国連宣言」

 宗教的及び文化的な場所を維持し保護し、儀式用の物の使用と管理の権利、人間の遺骨などの返還に対する権利を認める。

 

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