帝国歌劇団・花組 2004年新春歌謡ショウ『歌え♪花組』/短評

 さて、早速短評を書くが、出来るだけ客観にするつもりだが、先に書いておく、独り善がりの短評になろう事を。また、普通によい点などは敢えて書かないので、批評が多くなりそうだが、それに対する苦情のメールは一切受け付けないので念のため。
 尚、星マーク(最高五ツ星)は点数ではなく、単なる目安。☆は★の半個分。
 追記。星の数は全体を見て割り出しているつもりだが、どうやら歌に思った以上に重きを置いていることが判明。でも軌道修正はしない。

・花組新春口上  ★★★

 3年ぶりに復活した口上。今回は自己紹介時にキャラクター名ではなく、自身の名前をダジャレで入れている。伊倉一恵は上手く出来ているのに対し、折笠愛と横山智佐はちょっとばかり手を抜きすぎているのではないだろうか。

・第一部 春与恋蕎麦屋歌曲  ★★★☆

挿入歌‥‥カモナ浅草(両国バージョン)
     つばさ(ショートバージョン)

 最後までそば屋の息子には馴染めなかった。今後再びヤクザな世界に戻るような気がしてならないからだ。どうやら印象づけるための性格付けを間違えたようだ。
 歌が2曲挿入されていてそれぞれ短いのだが、アレンジが良い塩梅に施されていて、新春歌謡ショウの劇だなぁと再認識させられる。因みにカモ南の由来は南蛮人たちが好んでネギを食べたことから、転じてネギを入れた料理を南蛮と称するようになったといわれている。因みにマリアの説は俗説として実際にある。また、「ボクはネギ」とは全く関係はない。
 島崎藤村の初恋の一節が詠われていたが、中学二年生の時に必至で覚えた記憶がある。今でも曖昧ながら暗記している唯一の文だ。(徒然草や春はあけぼのすら覚えていないのに)

◆第二部 歌え♪花組

・お国自慢ゲキテイ  ★★★☆

挿入歌‥‥ゲキテイ(お国自慢バージョン)

 日替わりで花組のメンバーが出身国の言葉でゲキテイを唄うという、ある意味無謀な挑戦をするコーナー。努力の割に一人一回しかお披露目できないというのは報われない気がするが、それでもちゃんと練習している。まぁ、その回があってDVDでは全員分が収録されているわけだが。
 もしすみれが残っていたなら果たして唄えただろうか?唄ったとしても通常バージョンと何ら変わりないし。
 さくらの仙台弁はイントネーションで勝負しているところがあり、サビの部分も皆で唄っているなど滑稽で面白いが、やはりアイリスの可愛らしさには負けるだろう。歌詞をとちった挙げ句、ラヂオ体操並に覚えているはずのフリも間違えてしまい、身も心もぼろぼろ状態に。それでもそのコーナーが成立するキャラクターというのも今までの積み重ねのたまものだ。‥‥ひょっとしたら他の役者がとちっても成立する?

・花組大喜利  ★★★★☆

 大爆笑受け合いの大喜利も日替わりだ。こちらも計7公演分のネタを個々に捻り出していくので、ある意味夏の公演より大変だ。因みに私のお気に入りは「可憐だ」と「呆けたなぁ」だ。‥‥って、両方ともカンナのかえでに対するネタだ。
 それにしても、このアドリブだらけの大喜利を見ていると、特に紅蘭は咄嗟に関西弁でツッコミを入れるなど、役者がキャラに成り切っている様がよく判る。

・カンナの妄想ヒットパレード  ★★★★

挿入歌‥‥子供の夢は(ショートバージョン):カンナ(アイリス)
     流れる:マリア・親方・紅蘭
     大ダコの唄:レニ・さくら
     うそつきオウム:さくら・大神
     勇気リンリン:紅蘭・カンナ・織姫
     笑って死ね:かえで・親方
     海の女王(ショートバージョン):レニ
     赤ワニダンス:大神・さくら
     野生の雄叫び(ショートバージョン):織姫(マリア・カンナ)
     宝島 〜勇気の旗を〜(ショートバージョン):かえで・アイリス他

 自分をかっこよく見せたいと始めたカンナの妄想スペシャルだが、結局のところ自分の道化ぶりをアピールした挙げ句、他の人に自由に持ち歌交換&仮装される始末。
 『勇気リンリン』では織姫の手袋だけ大きさが変わっていたけど、衣装を破いてしまったのか、それとも髪を出すために敢えて作り直したのか、どっちだろう。
 『野生の雄叫び』はマリアにしまうまをやらせたり、赤鮫が乱入するなど、カンナの妄想の真骨頂だ。しかし、赤鮫は誰もしてくれないのだろうか。
 この妄想パレードは『新宝島』の第二幕から選ばれているが、個人的には『海賊稼業』や『トランプの裏表』もラインナップに欲しかったところ。尚、夏の歌謡ショウを見ていなくてもそれなりに楽しめるが、当然見ているともっと楽しめるのは言うまでもない。

・愉快な夜(歌謡4)  ★★★

 劇中の曲ではないため、少し印象が薄い。しかし、かえでと大神の組み合わせは非常に多い‥‥ような気がしたが、デュエットは実際には2曲しかない。持ち歌交換などで一緒になることが多いからだろうか。

・花組ヒットメドレー前半  ★★★☆

挿入歌‥‥ひらめきの歌(歌謡3)
     もしも…(歌謡2)
     お花畑(TV)
     都の花ぞ(歌謡2)
     チャンバラブギ(ドラマCD)

 ヒットメドレーは全てショートバージョン。
 『お花畑』のTV版はアイリスを除く花組のメンバーがアイリスのために歌った曲だったので、次の機会があるなら、そういったシチュエーションで唄って欲しい。
 『都の花ぞ』からはかえでを含む8人でお送りする。

・花組ヒットメドレー後編  ★★★★☆

挿入歌‥‥お祭りダンス(歌謡2)
     イカルスの星(歌謡2)
     赤いカチューシャ(TV)

 『お祭りダンス』ではカンナのバカ殿だけでも笑わされるのに、「アイアーイ♪」の箇所でアイーンをするもんだから、さくらも吹き出しそうになっていた。あなたは二枚目役をしたいと仰せになってませんでしたか?
 『イカルスの星』では真面目にコーラスとは裏腹に、全員で寒いダジャレを演出し、それを次の曲に繋いでいるしで、そのギャップも楽しめる。

・さくら  ★★★★★

 この歌は完全アカペラで、8人の息がピッタリとハーモニーを奏でている。誰かがでしゃばるでもなく、完璧に歌い上げるメンバーも凄いが、この楽譜を起こした伊倉一恵も凄い。途中に応援団歌もあるが、これはこれで二面性があって良い。
 

・カーテンコール  ★★★☆

挿入歌‥‥ゲキテイ(檄!帝国華撃団)
BGM‥‥さくら
     花咲く乙女

 最近この部分が流れ作業的になっているような気がするが気のせいだろうか。でもあまりそういう感じを起こさせないのは、おそらくその前の場面に良いシーンが多いからではないだろうか。

・総評

 アレンジャーとしての伊倉一恵の姿をまざまざと見せつけられた感がある。それだけに『さくら』の完成度が高かった。
 花組大喜利や妄想ヒットパレードで時間を割いたせいか、『歌え♪花組』が副題にもかかわらず、曲数は多いが、唄っている時間の割合はかなり低い。しかし、良いものを見せて貰えたので、そこはあまり気にしないことにしよう。ただ、DVDの花組大喜利ダイジェスト版はもっと拡大して欲しかったところだ。
 特典映像は『新宝島』の時に比べると半分の1時間50分にスケールダウンしているが、あれは『サクラ祭り』があったので、それを除くと同じくらいだろう。

曲数‥‥24曲