サクラ大戦歌謡ショウ帝国歌劇団・第４回花組特別公演『アラビアのバラ』／短評

　さて、『愛ゆえに』と同じ内容になるが、出来るだけ客観にするつもりだが、先に書いておく、独り善がりの短評になろう事を。また、普通によい点などは敢えて書かないので、批評が多くなりそうだが、それに対する苦情のメールは一切受け付けないので念のため。
　尚、星マーク（最高五ツ星）は点数ではなく、単なる目安。☆は★の半個分。
　追記。星の数は全体を見て割り出しているつもりだが、どうやら歌に思った以上に重きを置いていることが判明。でも軌道修正はしない。

・大帝国劇場舞台　　★★★☆

挿入歌‥‥イッツ・ショウタイム
　　　　　心は砂漠のように（薔薇組版）

　今年もレビュー服が新調されている。今回は燕尾服（のようなもの）だ。やや練習不足の間があるが、爽やかにオープニングを飾っている。織姫のパンツルックもなかなか拝めないので必見。
　幕間劇は薔薇組が８分にも及び披露している。ここまでくるともはや幕間ではないと思うのだが。歌は本家と全く別物になっている。個人的には本家よりもこちらの方が好きだ。

・第一幕１場　大帝国劇場前　　★★★★

挿入歌‥‥劇場へ行こう！

　ここにもオープニング曲が！何とも贅沢な作りだ。ストーリー展開が少し強引なところもあるが、概ねまとまっている。特にすみれと竜神会の殺陣は今までの中で一番上手く仕上がっている。
　幕間は親方と大神中尉。花林糖が本物のアレなら、なお一層面白かったかも？

・第一幕２場　大帝国劇場舞台裏　　★★★★

挿入歌‥‥スキャンダルはダメよ

　金棒に重量感がないことを除けばそれなりに良かったとは思う。
　歌はストーリーをそのままメロディーに乗せているので、舞台を見ずに歌だけ聴いた時は場面を全く想像できなかった。舞台用に作られているのだから、当然あり得ることなのだが、それにしても実際のところ、見事にとけ込んでいる。
　幕間は新聞記者のすみれをネタにしたコント。

・第一幕３場　大帝国劇場ロビー　　★★★★

挿入歌‥‥スター輝く星

　この歌謡ショウ唯一のワンピース姿で登場のさくらが、紅蘭発明のびっくりそっくりでしょうくんロボットに扮して登場。ノリノリのダンスナンバーの中でもさくらのロボットダンスは超必見。尚、ＴＫＤ（帝国歌劇団）のロゴがここで初登場する。
　幕間では初めて見せる建造物になるラビアンローズ。大神達に西村・武田も加わる。

・第一幕４場　竜神会事務所　　★★

挿入歌‥‥これがレビュウ！（一部）
　　　　　花組を潰せ！

　全作につつき、Ａｎｎａのタップを見ることが出来る。
　螢雪次朗は前回は金田金四郎のような役をしてたのに、対極にあるようなやくざの親分を演じている。スタッフロールを見ても気付かなかった。
　内容としては悪くないのだけど、如何せん舞台とは、浮き世を忘れて華やかさなどを魅了させることだ、と少なくとも私は思っている。しかし、ネガティブな雰囲気漂わすこの場面には、評価が厳しくなってしまう。
　幕間はさくらを出迎えた大神達。

・第一幕５場　大帝国劇場ロビー　　★★★

挿入歌‥‥あなたのお気に入り（カンナの妄想２）

　カンナ・アイリス・紅蘭のトリオ漫才を中心に話が展開する。
　カンナの妄想は‥‥インパクトは前回の方があった。

・第一幕６場　大帝国劇場舞台裏　　★★★

挿入歌‥‥ダンディー（一部）

　幕間という枠を越えて舞台袖で演じられている。劇中劇の補足説明的な内容も上手く織り込んでいる。

・第一幕７場　土手場。桜の木の下で　　★★☆

ＢＧＭ‥‥花咲く乙女

　殺陣は今回は回数が多いせいか、コンパクトになっている。それはそれで構わないが、それ以上に大団円のはずなのに何か物足りない。恐らく幕の終わりを歌で盛り上げていた前２作に慣れてしまったせいではないだろうか。　

・第二幕　劇中劇『アラビアのバラ』オープニング　　★★★★

挿入歌‥‥私のお気に入り

　あらすじというよりも、前知識のような内容を歌詞にまとめ歌い上げている。３人のハーモニーとアラビアンな音色に振り付けが物語に期待感を与える。舞台配置などの関係上難しい問題だったかも知れないが、下手袖の方が使用頻度が高い。上手袖側に不公平感がある。

・第二幕１場　酒場　　★★★★☆

挿入歌‥‥いざ立ち上がれ！

　横山智佐の別の顔を見せた。このあとドラマＣＤでは娼婦の役も演じてるので、それに比べたら朝飯前だとは思うが。この酒場女という役柄にあった曲も素晴らしい。思わず感動してしまった。
　ただ、このあとの出来事は少しいただけない。勧善懲悪で倒されるのは構わないのだが、罪のない者の死。手軽にお涙頂戴出来る手段なのだが、そうではない別の結末もあっただろうに。

・第二幕２場　月の砂漠　　★★☆

挿入歌‥‥心は砂漠のように
　　　　　アラビアのバラ
ＢＧＭ‥‥砂嵐のダンス

　ダンスや歌など贅沢に使っているが、内容に乏しい。歌詞からも読み取れないところも痛いところだ。
　アラビアのバラに関しては岡本麻弥としては素晴らしい曲であるが、織姫の特性にマッチしていないため、違和感をぬぐえない。
　幕間は市民の反乱軍集結の場面。

・第二幕３場　宮殿広間１　　★★★

挿入歌‥‥悲しみを越えて

　重厚なストーリーの中で唯一の道化役を演じたカンナ。おまけに劇中歌も無いし。
　ここで唄われている『悲しみを越えて』は『新・歌謡全集II』（『アラビアのバラ』歌謡集）に収録されていない。因みに、全曲集にはスペシャルボーナストラックとして収録している。

・第二幕３場　宮殿広間２　　★★★★☆

挿入歌‥‥新しい未来へ

　『悲しみを越えて』が劇中劇でのエンディングとすれば、エピローグを挟んで、『新しい未来』は劇中劇のグランドフィナーレにあたる。個人的には裏メロパートがお気に入り。結局、織姫は劇中劇一歩も動かない。

・グランドフィナーレ　　★★★★

挿入歌‥‥夢見ていよう
　　　　　ゲキテイ（檄！帝国華撃団）

　テレビシリーズを放映中ということもあり、『夢見ていよう』がグランドフィナーレに。そういう意味では池田勝の友情出演（声のみ）なのも納得のいく話しだ。
　ゲキテイは振り付けなどを含め、以降これに定着する。台詞部分はさくらのみに戻っている。尚、テレビシリーズはソロパートがあるが、歌謡ショウは無し。

・総評

　劇中劇の時間が大幅に増えて見応えはあったが、消化不良気味なところが少なからずあった。歌は前回同様高い完成度を見せている。最初の方にテンションが高い部分が固まっていたのが難である。

曲数‥‥１５曲