・はじめに

 自動車保険って言うのはどんな物なのだろうか?
 仕組みをよく知っている人はこう答えるだろう。
 「使えない保険だ」と。

 では本当に使えないのか?
 その疑問から簡易計算プログラムを組んだのだが、
 その結果予想を遙かに超えた使えなさを実感じた。

 等級の高い人はともかく、低い人、
 例えば十代で自分の車を買って初めて保険に加入した人なんかは、
 保険料が高いのにいざ事故を起こして保険を使えるのか?
 結論から言うと、とてもおいそれとは使えない。

 例えば、六等級で車両保険抜きで十万の保険料を払ってる場合、
 事故を起こしても三十万の保険金が支払われなければ
 変に保険料が上がり、後々の保険料の支払いでメリットが無くなる。

 更に、車両保険を含み二十万の保険料を払ってる場合は
 なんと六十万以下の補償しか受けられないのに
 保険を使ってしまうと損をしてしまう。
 もっとも、車を全壊させたらその限りではないが。
 そこまでいかなくても、車両部分が三十万以上あれば
 その部分はメリットがあるのだが。

 更に更に言っちゃうと、どーせ車両保険なんて
 高いだけで使えないんやから一層のこと止めたらどないなるか?
 と言うと損益分岐点は八十四万にまで跳ね上がる。
 もうこうなってしまうと保険料だけで新車が買える勢いがある。
 それに、この計算では車体の残存期間を五年としているので、
 実際もっと長い場合は更に保険料が上がるし、
 保険そのものも継続されるのであればやはりトータルの保険料は上がる。

 ついでに言わせてもらうと、ここに書かれている金額は
 免責金額は含まれていない。
 つまり、相手への補償額が三十万であっても免責額が十万であれば、
 保険会社から支払われるのは二十万と言うことになる。

 まあ、事故後車を封印するのであればこの計算は無意味なんだが。
 あと、等級プロテクト特約などを付けてたりする場合は
 実際の損益分岐点は下方修正される。