※このページはFZ10用に作成しましたが、FZ20でも適用されますので、記事中のFZ10をFZ20と読み換えてご覧下さい。
オリンパスのマクロコンバーションレンズMCON-40、RAYNOXのDCR-150とDCR-250の性能についてまとめました。FZ10への取り付けは、MCON-40はブタバラアダプター55mmを使用、DCRシリーズはブタバラアダプター55mm+付属のフリーサイズアダプターを使用しています。→取り付けに関する詳細はこちらを参照、→取り付け写真はこのページの最下部にあります。
マクロコンバーションレンズとは?(クローズアップレンズとの違い)
マクロコンバーションレンズ(マクロコン)とは接写用のレンズで、マクロ機能を持っていないカメラでもマクロ撮影ができるようにするためのものです。またマクロ機能を持っているカメラはより近づけて撮影することが出来るようにしてくれるものです。つまり近いものをより近くに引き寄せて大きく写すことができるレンズです。同じ機能を持つレンズとしてクローズアップレンズがありますが、クローズアップレンズは簡単に言えば虫眼鏡のようなもので、1枚のレンズで構成されています。それに対してマクロコンは、一般的に、レンズによるゆがみなどを補正するために複数のレンズから構成されています(MCON-40の場合は2群2枚の構成)。ただし、クローズアップレンズという名前が付いていても複数のレンズ構成から成る製品もあり、厳密な区別ができるというわけでもありません。非常に大雑把に言えば、クローズアップレンズは安価だがゆがみが生じる、マクロコンは高価だがゆがみが少ない、ということです。ただし、クローズアップレンズのゆがみを利用して、マクロコンでは出来ないような表現が可能な場合もありますので、一概にマクロコンの方が優れていると決め付けるわけにも行きません。撮影意図によって使い分けが必要です。→クローズアップレンズについてはこちら(準備中)
ピントが合う範囲とケラレる範囲
※この項目はFZ20での検証は出来ていませんが、使えることは確認しています。
FZ10にそれぞれのレンズを取り付けた場合、ピントが合う範囲とケラレる範囲に注意する必要があります。以下の表は、それぞれの倍率において、レンズ先端からどれくらいの距離の範囲内で被写体にピントが合うか、またケラレるかを調べた結果です。倍率も距離もおおよその数値で、厳密ではありません。
倍率 ピントが合う被写体との距離の範囲(単位はcm) MCON-40 ケラレ DCR-150 ケラレ DCR-250 ケラレ ワイド端 0-∞ 0-21 ★ 0-19 ★ 2倍 1-70 0-23 ★ 0-14 ★ 3倍 5-40 4-23 ★ 4-13.5 ★ 4倍 16-40 10.5-22 ★ 7.5-12 ☆ 5倍 22-38 14-21 ★ 9-12 ☆ 6倍 29-38 17-21 ☆ 10-12 ☆ 7倍 29-36 17-21 ☆ 10.5-11.5 ☆ 8倍 28-36 17-21 ☆ 10.5-11.5 ○ 9倍からテレ端まで 28-35 17.5-20.5 ○ 10.5-11.5 ○
★・・・明らかにケラレます。
☆・・・周辺減光があります。
○・・・ごくわずかな周辺減光があります。実用上は問題ないと思います。
この範囲を超えたところにある被写体にはピントを合わせることが出来ません。また、倍率によってはケラレが発生します。各レンズの特徴は以下のようになると思います。MCON-40・・・被写体から約30cmのところにカメラをセットすればズーム全域でピントを合わせることが出来、カメラ側の操作で画角を決めることが出来ます。ケラレはズーム全域でありません。DCR-150・・・被写体から約18cmのところにカメラをセットすれば9倍以上でほぼ周辺減光なく使用できます。DCR-250・・・被写体から約11cmのところにカメラをセットすれば8倍以上でほぼ周辺減光なく使用できます。
参考(クローズアップレンズも含めたテレ端でピントが合う範囲)
レンズ 距離(cm) FZ10 FZ20 MCON-40 28-35 DCR-150 17.5-20.5 DCR-250 10.5-11.5 クローズアップNO.1(marumiの場合) 63-96 74-130 NO.2 38-50 40.5-45 NO.3 27-32 28-31 NO.4 21-24 16.5-19 NO.5 18-20 14-15.5
どれぐらい大きく写すことが出来るか
以下の画像は、FZ10のみの場合とそれぞれのマクロレンズを使った場合の、それぞれ最大に大きく写したものをリサイズしたものです。写る大きさの差はこれくらいとなります。
FZ10のみワイド端マクロモード被写体から約2cm FZ10+MCON-40テレ端マクロモード被写体から約30cm FZ10+DCR-150テレ端マクロモード被写体から18cm FZ10+DCR-250テレ端マクロモード被写体から11cm
下の画像は、それぞれ「昭和」の部分をピクセル等倍で切り出したものです。
FZ10のみワイド端マクロモード被写体から約2cm FZ10+MCON-40テレ端マクロモード被写体から約30cm FZ10+DCR-150テレ端マクロモード被写体から18cm FZ10+DCR-250テレ端マクロモード被写体から11cm
ボケ具合の違い
次に示す画像は、MCON-40を使用した際のボケ具合をわかりやすくテストしたものです。DCRシリーズはMCON-40の傾向がより強くなります。
FZ10のみ FZ10+MCON-40 左の箱にピントを合わせ、右の箱を1cm後ろにずらしたものです。どちらも文字がボケています。ボケ具合に大きな違いは感じられません。
FZ10のみ FZ10+MCON-40 今度は右側の箱を10cm後ろにずらしたものです。MCON-40を使用した場合は、右側の箱のディディールは完全に失われ色合いだけが残りました。ボケ具合に大きな差が生じています。
写りこむ背景の範囲の違い
下の画像は、メインの被写体をほぼ同じ大きさになるように写した時に、写りこむ背景の範囲にどの程度の違いがあるかを、FZ10のみとMCON-40使用の場合との比較したものです。後ろにある乾電池は、どちらも被写体から同じ距離にあります。FZ10のみの場合は、MCON-40を使用した場合に比べて背景がより広い範囲で写っていることがおわかりいただけると思います。クローズアップ写真を撮るときは背景の処理をどうするかで印象がずいぶん変わります。この差を理解しておくと、意図どおりの作品を撮るのに役立つと思います。DCRシリーズの場合はMCON-40の傾向がより強く出ます。
FZ10のみ FZ10+MCON-40
MCON-40の絞りによるボケ具合の変化
MCON-40を使用してテレ側で撮影した時に、絞りの変化によって被写界深度がどのような変化するかを検証したのが以下の画像です。2つ折り携帯電話のダイヤル部分のだいたい4.5cmの範囲を斜め下側から撮影したものです。F8.0で前後に約1cm、F5.2で前後に約0.5cm、F2.8では前後に約0.2-0.3cmがしっかりピントが合う範囲となります。
F8.0・・・ピントが合うのは前後に約1cmの範囲 F5.2・・・ピントが合うのは前後に約0.5cmの範囲 F2.8・・・ピントが合うのは前後に約0.2-0.3cmの範囲
画質について
画質は、どのレンズもかなり良いと思いますが、周辺部に行くに従って色収差が出ています。形の歪みはほとんどありません。いずれも十分に実用的なレンズだと私は思います。
以下の画像は、それぞれのレンズで撮影した画像の中心部をピクセル等倍で切り出したものです。
MCON-40 DCR-150 DCR-250
そして周辺部をピクセル等倍で切り出したものが以下です。
MCON-40 DCR-150 DCR-250
テレ端における周辺減光と形の歪み
周辺減光が大きいように見えますが、実際のマクロ撮影では周辺部をぼかすことが多いですし、ほとんど影響はないと思います。形にゆがみはほとんどありません。
MCON-40 DCR-150 DCR-250
RAYNOX社のWEBサイトの検証画像
DCR-150(RAYNOX社のサイト内)
DCR-250(RAYNOX社のサイト内)
参考・・・MNS-200(RAYNOX社のサイト内)
MCON-40による作例
実際にMCON-40を使用して撮影した写真です。アルバムの方にも苺彩々、花マクロという作品を掲載していますのでご覧下さい。
紫の花の大きさはだいたい6-7mmでした。
このページで使用したほとんどの画像はテスト用アルバムでピクセル等倍でご覧いただくことが出来ます。
取り付け
ブタバラアダプター55mmにフリーサイズアダプターを取り付けた状態 更にDCR-150を取り付けた状態(DCR-250も同じです) フリーサイズアダプターの裏側。スプリングを縮めて取り付けます。 スプリングを縮めた状態。スプリングが開く力でアダプターに固定されます。 MCON-40を取り付けた状態
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2004/3/18作成
2004/3/22追記
2004/4/5追記
2004/4/7追記
2004/8/2追記
2004/8/17改定
2004/9/6追記