キング編


決定盤!中世・ルネサンスの音楽シリーズ


ロンドン(英デッカ社)は、アンセルメ、ショルティ、ミュンヒンガーらを擁するメジャー・レーベルですが、わが国での窓口のキングは実は戦前から、デッカの提携レーベルである独テレフンケン社とつながりの深い会社でした。(現在のテルデックの窓口はワーナーで、下記のダス・アルテヴェルクは復刻していません)戦後のバロックブーム期には、系列レーベルのダスアルテヴェルク、アーゴなどの音源を散発的にリリースしていたのですが’70年代になってそれらの中の古楽アンソロジーともいうべき以下のラインナップを再発しました。

番号 曲目 演奏者 原盤レーベル
SL7001 グレゴリオ聖歌 ガジャール神父、クレール神父
ソレーム修道院修道士
SL7002 フランス吟遊詩人
サルタレッロ、ドゥラアール「ロバンとマリオンの愛の戯れ」他
T.ビンクリー指揮
ルネサンス合奏団
ダス・アルテ
ヴェルク
SL7003 ドイツ吟遊詩人とカルミナ・ブラーナ T.ビンクリー指揮
ルネサンス合奏団
SL7004 十字軍の音楽
「王のエスタンピー」「パレスチナの歌」「新しき五月」他
D.マンロウ指揮
ロンドン古楽コンソート
アーゴ
SL7005 ノートル・ダム楽派の音楽 A.デラー指揮
デラー・コンソート
SL7006 14世紀仏(アルス・ノヴァ)の音楽
トゥルネのミサ、P.ヴィトリの作品
K.ルーラント指揮
ミュンヒェン・カペラアンティクァ
ダス・アルテ
ヴェルク
SL7007 中世イタリアの音楽 D.マンロウ指揮
ロンドン古楽コンソート
SL7008 中世イギリスの音楽 ハリソン及びドブソン編 アーゴ
SL7009 ルネサンスの祝典音楽
J.チコーニア、G.デュファイ、H.イザークの作品
K.ルーラント指揮
ミュンヒェン・カペラアンティクァ
ダス・アルテ
ヴェルク
SL7010 百年戦争時代の音楽 K.ルーラント指揮
ミュンヒェン・カペラアンティクァ
ダス・アルテ
ヴェルク
SL7011 G.デュファイの作品
「めでたし、海の星」「めでたし、天の元后」他
K.ルーラント指揮
ミュンヒェン・カペラアンティクァ
ダス・アルテ
ヴェルク
SL7012 ジョスカンデプレ、J.ダンスタブルの作品 A.バージェス指揮
パーセル声楽コンソート
SL7013 ルネサンスの精華T
英仏独西篇
T.ビンクリー指揮
ルネサンス合奏団
SL7014 ルネサンスの精華U
仏伊篇
T.ビンクリー指揮
ルネサンス合奏団
SL7005 J.オケヘム/レクィエム M.ヴェンホダ指揮
プラハ・マドリガル合唱団
ダス・アルテ
ヴェルク
SL7016 ジョスカンデプレ/「いざ歌え、わが舌よ」
3つのモテトゥス
M.ヴェンホダ指揮
プラハ・マドリガル合唱団
SL7017 16世紀バイエルンの宮廷音楽
ラッスス、ゼンフル他
K.ルーラント指揮
ミュンヒェン・カペラアンティクァ
SL7018 G.P.パレストリーナ/「来たれ、キリストの花嫁」
カンツォネッタ
G.ゲスト指揮
ケンブリッジ・聖ジョーンズ大合唱部
アーゴ
SL7019 フランス・ルネサンスのシャンソンT
アテニャン、ジャヌカン、デュファイ他の作品
C.ラヴィエ指揮
ORTFパリ・ポリフォニークEns.
バークレイ
SL7020 フランス・ルネサンスのシャンソンU
セルミジ、ルジュヌ、アルカデルト他の作品
A.バージェス指揮
パーセル声楽コンソート
アーゴ
SL7021 スペイン・ルネサンスの音楽 T.ビンクリー指揮
ルネサンス合奏団
SL7022 T.L.ヴィクトリア/レクィエム、レスポンソリウムとモテトゥス G.ゲスト指揮
ケンブリッジ・聖ジョーンズ大合唱部
アーゴ
SL7023 ヘンリー8世の宮廷音楽 G.バージェス指揮
パーセル声楽コンソート
アーゴ
SL7024 J.ダウランド/パヴァーヌとガイアルド T.ダート指揮
フィロムジカ・オブ・ロンドン
ワゾーリール
SL7025 C.モンテヴェルディ/「オルフェオ」序曲、L.マレンツィオ/
インテルメディオ、T.モーリー/「起きよ、目覚めよ」他
S.ベケット指揮エリザベス朝ヴィオールコンソート、G.バージェス指揮パーセル声楽コンソート
SL7026 ドイツ・ルネサンスの戯れ唄 T.ビンクリー指揮
ルネサンス合奏団
ダス・アルテ
ヴェルク
SL7027 ルネサンス舞曲集
イザーク、ホフハイマー、マレンツィオ他の作品
B.クレーベル指揮
ウィーン・アンサンブル・ムジカ・アンティクァ
ハルモニア・ムンディ


民俗音楽の紹介でも知られるキングだけに、ビンクリーら比較音楽学系の演奏を丹念に拾い上げています。ただ、割とメジャーな曲目(例えばケンブリッジ大のパレストリーナ「マルチェルスミサ」「聖母被昇天ミサ」バードの三声ミサなど)は入ってなく、あくまで落穂拾い的な企画だった事が読みとれます。それでも好評だった為か同社の「アンセルメの芸術」などと同様’80年代に一部のタイトルがジャケ写もそのままに再々発されました。LP時代の有終の美を飾った形です。
’70年代のリスナーは、これらのレコードを直接或いはFM放送で聴いて「古楽」という概念を体得していったものと思われます。CD復刻がないからと言って、駄目なレコードという事にはなりません。

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