CD再生の問題点


0.はじめに

CD登場後はや四半世紀を数えるに至りました。その間CD-Rの普及などもあって、最近でこそ固体メモリに圧され気味ですが、旧いリニアPCM録音のフォーマットである点が逆に特長となって、当面録音メディアのスタンダードとしての地位は揺るがないようです。ただ、私達が感動したり、時に涙したりする演奏が、たかだか16ビットの単なる「情報」に過ぎない、ということには割り切れなさを覚えざるを得ませんが...
しかしながらその再生には意外と問題点が多いのも事実です。一頃「CD音痴論」なども出て相当ヒートアップしていたのですが、その頃から問題は全く解決してはいない。特にミニコン・ラジカセ等のジェネラルオーディオよりも、本来よりHi-Fiでないといけない筈のコンポーネント・ステレオの方に問題が多く見受けられます。これも一時はやった「ハイエンド・オーディオ」でも問題は何ら変わらず、実質的内容のないこの表現は廃れてしまいました。
初めに結論から申しますと、CDないしディジタル・フォーマットであること以上に、以前からのアンプ側の「伝統的」不平衡アナログ入力の処理方法が、ディジタル機器の音声を入力するようになって、致命的な欠陥を暴露したというのが最も実態に近い。

予め断っておきますがここに取り上げるのは純粋に技術的な問題であり、単なる好みや好き嫌いではありません。又音楽ジャンルにも全く無関係の現象を扱います。
以下に記す小論のうち、4,5節はかつて「ラジオ技術」誌上「クロストーク」欄に発表・掲載されたものを元に加筆したもので、他はレコードを常日頃聴いていて気付いた事を記しました。


1.製盤の仕上げの問題

前記「CD音痴論」で取り上げられたのは、「CDの音は悪い」といった短絡論というより同一マスター・テープから起こされたLPとCDの再生音のパフォーマンスの差が中心的なテーマだったように思います。この場合再生技術以前に問題になるのはレコード(今では音楽ソフトとかパッケージ・メディアとか言うそうですが本質的には同じです)自体の製盤技術で、例えばLPは石油ショックの際に原材料費の高騰でペラペラになり、音も重心が軽くなったり、LP終末期の’80年代にはレーベルによってはやや粗悪になって音がザラついたり、エコーが目立ったり、針飛びする盤にしばしば当るといった事が現実にありました。
一方CDでは初期のRVC盤で、原因は不明ですがラクロワがエラートに入れた「ラモー・クラヴサン曲集」を買ったら音がやたらギスギスしていて、もう全く聴くに堪えなかった事がありました。こういった状態では、「CDは音が悪い」と誤解されるばかりで、根本的に再生技術を検討する前提条件がなく、注意しないといけない事です。

今考えると’80年代というのはLPもCDもフォーマット本来のパフォーマンスを発揮できておらず、ちょうどその頃盛んだった「アナ=ディジ」論争の客観性もかなり損なっていた恐れがあり、当然のように水掛け論に終わりました。


2.入出力インピーダンスとNFBの問題

1につづき2もLP,CD共通の問題です。民生用のコンポーネント・ステレオでは、アンプと周辺機器との信号のやり取りに当って、信号レヴェルと入出力のインピーダンスの規定のみでその互換性を担保している為に、いわゆる「相性」の問題がしばしば発生していました。現行PCに使われている規格がIBMやらMS社等が事細かに規定しているのと比べると、RCAが作ったピンジャックとDINコネクターのみというのは、余りにアバウトなものがありました。しかも¥何十万もするような高級機に至るまでそうだったのですから呆れるばかりです。
そして可聴帯域をカバーする増幅器単体の周波数特性やS/N比を確保するために周知のようにNFB(負帰還)が基幹技術として今日まで使用されており、それには

@.出力直列、入力並列帰還
A.出力直列、入力直列帰還
B.出力並列、入力並列帰還
C.出力並列、入力直列帰還

の四つの方法があるのですが、インピーダンスの見かけ上のマッチングをとって(いわゆるロー送りハイ受け)伝送するために大半のケースでCの方式が使われています。ところがこの「出力並列、入力直列」によって得られた出力信号の定電圧性というのが、前段の増幅器の出力の定電圧性に依存している為に、このタイプの増幅器を連ねた伝送系というのは、より前段にオープンループ時の低い出力インピーダンスを要求して、ツケ回しする傾向があります。
実際に安価なOPアンプ等しか内蔵していないプリメイン・アンプにセパレートのプリアンプを外付けしたら、レコードの再生音が一回りスケールアップする事が良くありますし、出力インピーダンスの低いMCピックアップが定評を得ていたり、CDプレーヤーの高級機で、D/Aコンバータを多数搭載したものとか、ディスクリート構成のものが聴感上良かった、というのもこういった事から説明できそうです。同じパワーアンプ、SPシステムを使っていたとしても、
A級出力段に数百mAのアイドリング電流を流したイコライジング・アンプによるLP再生と、ヴォルテージフォロワ動作をしたOPアンプ出力のCDプレーヤーの再生音を比較するのはフェアとは言えません。

「ラジオ技術」誌の常連ライターだった故・富田嘉和氏は、そのような考えのもとに通常使われるソースフォロワでなくドレインフォロワのFET一石による無帰還ラインアンプを’84年に発表、オーディオクラフト社からPL-1000名で市販もされました。


3.ディジタル=アナログ変換の問題

この問題は’80年代末から’90年代前半のオーディオ界にあって最もホットな話題だったので記憶されている方も多いでしょう。「オーバーサンプリング・ディジタルフィルタ」にはじまって「ビットストリーム方式」とか「スレッジハマー方式」とか後のIT時代を先取りするような難解な用語が乱れ飛んでいました。’90年代後半にそれら全てがより大きな概念であるコンピュータ技術の発展の中に飲み込まれた形となり、まともな総括もなされていない現状が残念でなりません。
’90年当時盛んに聞かされたのは、リニアPCMと言うのは、動作原理上マイナス側の最大振幅をD/A変換の基準にしているため微小信号の再現に根本的に難があり、当時主流だった抵抗ラダー型のコンバータではMSB調整が狂うと残響音等が消えてしまう、といった議論でした。そして究極のフォーマットこそ=舶マ換によるフル1ビット・オーディオであり、それまでは次善の策として従来の方法で作られたCDのディジタル信号を多段ノイズシェイパーで1ビット・パルスに変換し、ローパス・フィルタによってアナログ信号化するのが最も有望とされていました。
手持ちのCDプレーヤーを開けてみるとBBと書いたICの横にMSBと書かれた頼りない半固定抵抗があり、こんなもん温度変化でも狂うだろうし、これじゃダメかもしれないなと率直に思いました。
その後ご多分に漏れず色々なプレーヤーを買わされる羽目に陥ったのですが、何台か買った1ビット方式※ではいずれも、それまでのCDのネックだった残響音こそリアルですが、肝心の直接音のアタックが腰砕けになる現象が共通して見られました。又、アコースティックでない音楽(ロック等)でも概ね綺麗事に終始します。しかしなぜかヴァイオリン・ソロだけは一見蠱惑的な音色で、エンジニアはピンポイント的にこの音色だけの為に開発したのだろうと思わせました。
※ここに指す1ビット方式とはNTTが開発した純国産のMASH方式で、よそで聴いたフィリップスのビットストリーム方式は、アナログ的なノリのよさが印象的でしたし、又初期のソニーが採用していたとされる積分型コンバータは、当時プレーヤー自体非常に高価だったため未聴である事を申し添えておきます。又Wadiaに代表されるDSP方式も未聴です。しかしCDプレーヤーの一方のパテント・ホルダーであるソニーが全面的にMASH方式を採用した為、国産CDプレーヤーはそれに牛耳られたも同然でした。
その後車載用に買ったナカミチ社のMB-600というプレーヤーは18ビット処理による抵抗ラダー・コンバータを採用していたのですが、音色がやや冷たく、肌裡が粗い感じはしたものの、CDに記録された情報がそのまま出力されている感じで、特にチェンバロの再生はこれでなければ、と思わせるものがありました。「大まかな情報」でも「間違った情報」よりはまし、という事でしょうか?又80分収録したCD-Rはソニーのプレーヤーではいつも尻切れになってしまうのに、ナカミチでは涼しい顔で全曲再生するなど、両者の技術力の差は明らかでした。国産では少数ながら他にもティアック=エソテリックとか、PCM録音を早くから行なっていたコロムビア=デンオンなども抵抗ラダー方式への拘りを見せていました。最近CEC社のCD-3300という今時珍しい据置型のCD専用機を買ったのですが、搭載されているBB社のD/Aコンバータには部分的に1ビット処理も併用されているらしく、事実そのような(折衷的な)音がします。
それでも多くの場合以下4.に記す問題が解決しなかった為に音は一向に良くならず、やれディジタル信号にジッターが出ているの、サーボ電流の変動を抑えるにはターンテーブルにCD盤を乗せたほうがいいだの、ピックアップを固定しろだの、CD盤の縁に緑のインクを塗れだの、ディジタルフィルタのスロープ特性を可変してみたり(ソニー)挙句の果ては20KHz以上の音を生成、付加しろという主張が出て混乱は極点に達した観がありました。
’90年代中葉になると、上記のいわゆる「ハイエンド・オーディオ」の世界では不毛で虚妄の開発競争と、それへの際限ない「お布施」に嫌気が差し、MCピックアップによるLP再生に回帰していく動きも見られるようになりました。「ディジタル」や
「ハイエンド」が取れて只の「オーディオ」に戻ったというわけです。
当HPの目玉であるレコード目録も、そういった流れの上にあることは言うまでもありません。「コップの中の嵐」と言おうか、個人的な感慨ですが...

4.コモンモード・ノイズ問題

電気的ノイズには大きく分けて正負極の間に差分として発生するディファレンシャルモード・ノイズと、同相成分によるコモンモード・ノイズがあって、普通ノイズと言うとオーディオでも耳に聴こえやすい前者を指すのですが、(真空管全盛の’60年代の本を読むと「ハムを制するものはアンプを制す」などとのんびりした事を言っています。私見ですがその後’70年代まではアンプ技術が長足の進歩を遂げた為に、アンプ技術者の側にstraight wire with gainとか言って、「アンプ様がこれだけ正確に増幅してやっているのだから、SPはそれをそのまま音波に変えれば良いのだ」的な驕りが感じられました。少なくとも「SPの性能を引き出してやろう」的な思想はあまり感じられなかった)後者も主にオートメーションや工業計測畑で問題視されてきました。
民生用のオーディオの世界では、配線法としてアースにループを作らず、ディファレンシャルモードさえ抑圧されておればそれで良し、と言う感じで、細部はケースバイケースで、大手メーカーのアンプでもアース周りは経験則的に処理していたようです。ただ、時折大きい電源トランスを搭載した低歪のパルスカウント検波のFMチューナより、安いシスコンのチューナの方がDJ嬢の声が生々しく聞こえたりして、不思議がる程度でした。
ところが’70年代も末になると、オーディオシーン全体の中で、伝送系の性能を示す従来の周波数特性、ダイナミックレンジ、歪率等の指標は完成に近づいたとされ、より細部に目が向けられるようになり、江川三郎氏が「オーディオアクセサリー」誌上等で、いくつかのイシューの一つとして、電源プラグの差込方向で音が変わると言う、今日では割と良く知られた問題を提起されました。そしてその原因がそれまで無視されてきたコモンモード・ノイズである事を突き止められたのです。

その後程なく’82年のCD登場と相成ったのですが、当初の喧騒がクールダウンすると、それまでLPによる高度の再生技術を持っていた人の中から、CDプレーヤー(当初据置型しかなかった)の音はやはり生とは異質であるとの声が漏れるようになり、その後の混乱の火蓋が切られました。そんな中で又しても電源トランスの小さいローコスト機の音が意外に良かったり、やがて出たポータブル型のバッテリ駆動は良いとか、否ライントランスを積んだ業務用が良いとか、その後のDATこそ真のディジタルサウンドだ、等の感想も出てきました。それに対して当時大メーカーが示したのは(特にヤマハ)D/A変換精度の向上一点張りの対応だった。(それに費やされた技術とエネルギーには脱帽せざるを得ませんが)
2の問題に一応の解決策を示した富田嘉和氏でしたが、この問題には早い段階で江川氏とともにコミットされていた為か、満を持した形で、亡くなる直前の’90年初頭に「ラジオ技術」誌上に「私のアンプ論」として、「CDの音が悪い」等ディジタルオーディオ機器の問題のほとんどがコモンモード・ノイズである事を明らかにすると同時に、アナログ・ディジタルを問わないいくつかの解決策を示されたのです。(同誌2003年9月号巻末に復刻あり)

イ.ソース機器かアンプのいずれかをバッテリ駆動する。もしくは共通の電源回路で駆動する
ロ.電源トランスの巻線を二重シールド゙し、巻線間のストレイ・キャパシティをキャンセルする
ハ.アンプの入力を(グランドと縁の切れた)真の差動入力とする
ニ.アンプの入力並列抵抗のコールド側をアンプのシャシーに落とさずソース機器にリターンする


電源トランスの小さいローコスト機の「逆転現象」はロ.にやや近い、小論冒頭に掲げたジェネラル・オーディオのケースは、図らずもイ.の後半の解決方法を実現している事に容易に気付かれることと思います。(但し多くの場合SPがプアですが)
又後年「MJ」誌上で行なわれた自作アンプコンテストで準コンプリメンタリ出力段を持つミニアンプがCDを送り出しソースとしたヒアリングテストで高い評価を得る、といった一見些細な出来事があったのですが、その「音」の秘密は準コン出力にあったというよりは、写真で見る限り異例に小さい(従ってストレイ・キャパシティの小さい)電源トランスにあったのではないでしょうか?
論文発表当時個人的にイ.前半のバッテリ駆動を行っていたため(江川氏推奨のソニーD-88。このプレーヤーの音質はかなり優秀でした。その際内蔵バッテリを入れたままでACアダプターを並列に繋いだ際、胸のつかえるような独特の音の変化を確認しました)おいおい試してみようと思っていたのですが、数年たって使用不能となり、当時出たばかりのCDチェンジャに手を出してからが大変でした。好きなオルガンの再生がD-88比で全くダメ、音量を上げるとうるさいわ、絞ると演奏のニュアンスが聴き取れないわ(従って最適な音量すら設定できない!!)、返品する度胸も無いわで途方に暮れました。富田氏が述べられた通りタムラの業務用ライントランスも気休めにしかならず※、いよいよニ.の方法を試すしか無くなったのです。この手法は、工業計測の世界では遅くとも’87年(「定本OPアンプ」で有名な岡村 廸夫氏の著書に載っています。余談ですが本書はオーディオ回路への言及も豊富で、アンプの自作などされない方にこそ読んでいただきたいです。8N電線がどうのといった本よりよほど為になります。オーディオはオカルトでなく、電気を扱うものです)か、或いはもっと以前から知られていたと思われますが、国内外を問わずオーディオの世界でこれを提起したのは富田氏が最初で、国内メーカー品での抜本的な対策例も数年後に出たソニーTA-ER1と言うプリアンプしか見当たりません。又最近ワーナーから出ているエラートの復刻CDのジャケ裏に"Remastered by Floating Earth"などと書いてありますが、もしかすると似た事をやっているのかも知れません。
※2015.11追記;'90年代中葉当時、ライントランスはフローティング状態にしてテストしたのですが、パキラ様よりコアと一次側コールドを接続してソース側機器のアースにリターンし、別のアース線でソース側機器と受け側機器のアースを結ぶことで好結果が得られたとのご報告を戴きました。考えるとフローティング状態ではストレー・キャパシティを通じてつながっていますし、シールディングの理論からいうとコアは巻線の電位に固定するのがセオリー通りのようでもあり、信号の受け渡しにあたってどこが基準なのか分からない状態(単純にトランスを噛ましただけではこの状態は解消できなかった)ではなく、受け側の信号取り出しの基準点をソース側機器のアース電位に固定する事で、正確な増幅が行えるようになったと考えられます。パキラ様のご報告に感謝致します。

実験台?にしたのはオンキョーのシスコン用アンプで、プリ部はJRC4558三段増幅,パワー部はサンヨー厚膜ICと言う構成でしたが、DC電源のバスラインが入っていたりして、意外と凝ったものでした。現在と違いコスト管理がやかましくなかったのでしょう。他社のシスコンにも時折こういうオーヴァークォリティがあったようです。ともかく原状でもまあまあの音はしていました。何より良かったのはヴォリューム、バランスVR類がサブ基板にマウントされていた事で、A点を容易にフローティングすることが出来たのは幸いでした。E点は最初電源近くのアースポイントに落とそうとしたら盛大にハムが出て、慌てて基板の入力近くに落とし直し、アース線の引き回しを変えてやっとディファレンシャルモード・ノイズは出なくなりました。(アンプが理想的な一点アースならそこに落とせばよいのですが、恐らくそんなケースはほとんど無いでしょう)
処置後はCDチェンジャの音が、ライントランスよりも圧倒的にバッテリ駆動に近づいたのと、他のソースでも小音量なのに演奏の細かいニュアンスが聴き取れるようになったという余禄までつきました。一言でいうと、アンプの表現力が数割方アップした感じで、暫くは自分が実際に耳にした変化が信じられない有様でした。
十年後に上記CEC CD-3300と画像左下に写っている差動ニ段ドライブの森川式静電型ヘッドフォン・ドライバの組み合わせで追々試しましたが結果は全く同様でした。

なお、図中のB.アース線は2sq mmもあれば十分で、使っていないソース機器のACプラグは原則抜くようにします。本来は入力抵抗のコールド側A.もホット側同様ソース機器切り換え時に接・断しないといけませんが当面CDプレーヤーを優先させてアース線がCDプレーヤーのシャシーにつながっておれば実用上差し支えないようです。(繰り返しになりますが入力抵抗のリターンがアンプのシャシーから浮いている事が最も重要なのです)それよりも各機器のACプラグの差込方向を、接続前にDMMでシャシーと人体アース間に発生した漏れ電位が低くなる向きにして下さい。

5.再生の自由度の問題

CD登場当初、そのハンドリングの良さはまさに画期的で、特にLP時代はほとんど例を見なかったリモコン操作、アルバム全体にわたるランダムアクセスやプログラム再生に人々は熱狂しました。その後数年を経てみると当初あったインデックス機能はソフトの方で普及せず、タイムサーチも無くなったのでトラック途中からの再生はかなり面倒になりました。LPならどんな安物でも出来たのに..ダンス教室などでは、後々までLPが使われていたそうです。
個人的に最も痛かったのはピッチコントロールがついた機種がほとんど見られない事で、’80年代以降バロック音楽でも新発掘のレパートリーが相次いだのですが、どうしたわけかピッチの低い楽器による録音が多く、LPなら物の数ではない事がなぜCDだと困難なのか、未だ納得いきません。(私事ですが十数年前に買ったバッハ「ノイマイスター・コラール」他のアルテ・ノヴァ盤CDは上記の理由でお蔵入りとなっています。あんなピッチが全音低いようなレコード作る方も悪いが..)

私は元々九歳の時に親が家を建て替えた際に電気に興味を持ち、当時全盛だったオーディオをやるようになった人間で、日本橋の電気屋街とか「ラジオの製作」「初歩のラジオ」等で育った意識を持っています。従って音楽は素人で、当HPのレコード目録にも専門的なことは一切記していません。しかし取っ掛かりは電気でも、その後何年もの間に音楽が無くてはならないものになりましたし、冒頭に音楽ジャンルに無関係とは述べましたが、アルヒーフ(DGG)のバウディスとかエラートのウィルモースらの名エンジニア(ジャズのヴァンゲルダーらに比べ知名度は低いですが)の録音に親しんでいなかったら、以上のような事を書けていたのか...?という気もしています。
「オーディオはスピーカーに始まり部屋に終わる」というのもわかりますが、ヘッドフォンでより長く聴いてきたせいもあり、「生演奏に始まりレコードに終わる」というのが私の偽らざる実感です。


参考文献;富田嘉和「音と音楽の増幅に関する私見」1982「ラジオ技術」
同 「私のアンプ論」1990初出「ラジオ技術」
江川三郎「オーディオ研究ノート」音楽の友、1990
斉藤彰英「オーディオ回路とNFB」日本放送出版協会、1972
岡村 廸夫「解析ノイズ・メカニズム」CQ出版、1987


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