公式ルール

日本ドッジボール協会の公式ルールが存在することを知った私は、このまま大会に出場すれば大変なことになると悟りました。
そこで大会数日前にメンバーを我が家に集めて公式ルールの説明会を開きました。ルールはインターネットでJDBAの公式ホームページから初心者用ルールをプリントアウトして調べました。
我が家の8畳の子供部屋に集まった10数人の子供たちを前ににわかルール講義です。
「いいか、ここが内野コート、この部分が外野コート。外野でも外野コートから出たら反則や。」
「なんや、こんな形のコート、学校でもやったことないわ。」
いつも、隣の空き地でやってる棒切れを3本並べただけのコートとも違います。
「内野同士、外野同士のパスは禁止や。これは、強い子に投げてもらおうと、ボールを手渡すのもあかんで。自分で受けたら自分で投げるんやで。」
「ふ〜ん。」
このルールには、いつも強い子にアタックを譲っている子が、にんまり喜んで見えたのは気のせいかな。
「それからパスは4回までや。5回パスするまでにアタックすること」
「よっしゃ、パスはあんまりせんとこ」
巧みなパス回しで相手の守備を乱れさせて攻撃、というような作戦を露ほども考えてない証拠です。
また、パスとアタックの厳密な基準は、講義している監督もそのときは知りません。
つい最近まで、アタックとは本人が「アターーック!」と思いこんで投げたボールがアタックだと思っていたらしいです。
「あっ、それからボールが外に出たりファールがあって、試合が止まって再開するときは、ボールを頭の上にあげて、審判の笛を待ってから投げるのやで」
「え?いつボールを頭にあげるって?」
「そやからな、ボールが外に出たときとか・・・・まあええ、とにかくそれらしい時は全部頭の上にボール持っていき」
監督もかなりいいかげんです。
この後もボールデッド後のボールの支配権についてちんぷんかんぷんになりながら、公式ルールの説明会が終わりました。
この公式ルールの説明会が、我がチームの最初の活動でした。
また、初の公式試合を前にしての1度きりの活動でした。
私はその時思いました。
「公式ルールの説明会をしてよかった。子供達はなにも知らんかったな。これで試合ではなんとかなるかな」
なにも知らないということは恐ろしいことですが、その時本人だけは幸せ。
公式ルールの恐ろしさを身をもって味わうのはいざ本番になってから。
そのお話しはまた後日。

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