「チョコの海に沈め 2007」
同刻、新宿の某マンションの一室。
「壬生。ハッピーバレンタイン」
「ありがとう龍麻」ホモの同棲カップルがチョコの交換をしておりました。
「失敬な」
「龍麻どうしたんだい?」
「いやいや」
それはそれとして机の上には龍麻の力作チョコが並んでおります。
「相変わらず上手だね」
作者もよく忘れますが、ウチの龍麻は料理上手です。
「おう、今年はバラエティに飛んで色々作ったぞー」
ご満悦の龍麻が机の上のチョコをひとつひとつ指さして説明します。
「これが、シャンパンガナッシュとコアントローガナッシュ」
「こっちが生チョコで、右から抹茶、ミルク、ビター、塩キャラメル、ストロベリー」
「こっちも生チョコやねんけど、こっちは酒メインな。ブランデー、コニャック、ラム、焼酎、赤ワイン」
「あと、シンプルな板チョコ。今年はカカオの%表示が流行だからそんな感じで数枚」
「あの細いのは、シトロンピールとオレンジピール。変わり種で伊予柑ピールも作ってみた」
「さあ、好きな物を食るがいい!」
楽しそうな龍麻の説明をにこにこと聞いていた壬生は、にこにこと笑ったまま聞きました。「で、一服盛られて無いチョコはどれ?」
龍麻がにこにこと返しました。「あるわきゃねーだろ。そんな物」
壬生はにっこり笑って、冷蔵庫からアポロを取り出すとそれをポリポリと食べました。
龍麻は、チッと舌打ちをしてチョコレートをタッパーに詰め込みました。
騙されそうな他のメンバーに配る為です。