「2018年お正月」

12月某日。如月家の居間にて、大量の年賀状を前に龍麻、壬生、如月、御門が一生懸命作業しておりました。

龍麻「……なんでもっと早く年賀状を作っておかんのや!」
如月「まったくだ」
御門「原稿で手が一杯だからですよ」
龍麻「ちょっとはすまなそうな顔しろよ!」
如月「ここでドヤ顔が御門だ」
壬生「あの、お二人とも手を動かしてください」

机、床、床の間、所せましと乱舞する年賀状に御門が主線を入れ、壬生が色を塗り、如月と龍麻が住所を書いています。

龍麻「そもそも何で手書きやねん。プリンターでちゃっちゃとせいや」
御門「プリンターは冬コミ向けのコピー本大量印刷で逝きました」
龍麻「ヨドで買え」
如月「今のヨドは即日到着なしだぞ」
龍麻「なんでや!……と言いたいとこやけど、それは今までが便利すぎただけやから許す」
壬生「そもそも即日配達って凄いよね」
如月「昔は一週間くらいかかっただろ」
龍麻「本の通販も個人でしとったよな?」
御門「「宛名カード」「無記名定額小為替」「返信用封筒」と聞いて懐かしいと思うのはジジイらしいです」
龍麻「マジか!?」

昔は同人誌の後ろに作者の住所氏名が載ってたんだぜ、と言ったら驚かれますかね。


とりあえず、もくもくと年賀状を作っていきます。

龍麻「今ってハガキ62円やん?年賀状は52円でええんか?」
壬生「年賀状だけ52円らしいよ」
龍麻「じゃあ、年賀状沢山買っておいたら得なんちゃう?」
如月「残念だが、52円で使えるのは1月7日までだぞ」
龍麻「……セコイな」
如月「まったくだ!」
壬生(如月さんも考えたのか)
御門(セコイ二人ですね)

壬生「そう言えば……」
壬生が龍麻をこいこいします。
壬生「ほら、お年玉番号の所に隠しで犬のイラストがあるよ」
龍麻「おお!!」
如月「ほー」
壬生「あと、ここに小さく「あけましておめでとう」が……」
龍麻「小さッ!!!!」
如月「細かッ!!!!」
御門「……貴方達いい加減作業に戻ってくれませんか」

友人に教えてもらった年賀状のマイクロ文字が本当にマイクロでした。


さらにもくもくと年賀状を作っていきます。

如月「そうだ。ちょっと待ってろ」
如月が何かを思いついたのか、席を外します。

龍麻「如月、どしたん?」
壬生「さあ?」
御門(もくもくと年賀状を描く)

少しすると如月戻ってきました。
如月「見つけてきたぞ」
その手には、昭和生まれの家には必ず存在した。
年賀状作りの強い味方「プリントゴッコ」がありました。

龍麻「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!懐かしい!」
御門「よくありましたね!」
如月「捨ててはないからあると思ったんだ」
壬生「これってシルクスクリーンでしたっけ?」
龍麻「原理はようわからんが、絵書いてピカッとして絵の具のおっきいのをぬたーっとして上からギュッとしたら年賀状が出来た」
如月「語彙が酷いが意味はわかる」
御門「確かにそんな工程でした」
龍麻「途中で絵の具が薄くなった時の絶望感」
御門「赤とか金とかおめでたい色がすぐ減るんですよね」
壬生「ピカッとした時に電球が割れるのが怖かったような」
龍麻「あ、僕も小さい頃は怖かったわ」
如月「バチンみたいな音が鳴ってたな」
御門「……で、その電球はどこです?」

プリントゴッコはフラッシュライトの熱で線画を転写します。

如月「…………」
龍麻「…………」
壬生「…………」
御門「…………」
如月「さ、作業に戻れ」
龍麻「電球ないんかい!」
壬生「あれ、一回のみの使い捨てでしたよね」
御門「最初のバチンで割れたはずですよ」
如月「龍麻、さっさと手を動かせ」
龍麻「お前の所為で停滞したんや!」

2008年に本体販売終了、その後2012年に消耗品の販売も終了したそうです。

龍麻「何気に2012年まで売ってたのにびっくりした」
壬生「わりと最近まで売ってたんだね」
御門「その時に買っていれば……」
如月「そもそもお前の所為だぞ」


さらにさらにもくもくと年賀状を作ります。

御門「……そう言えば、貴方達は年賀状大丈夫なんですか?」
御門の問いに、
龍麻「僕は今年喪中やから」
壬生「元々出す人が少ないので既製品で出してます」
如月「顧客用だから業者に依頼してる」
御門「卑怯な!」
龍麻「なんでや!」
如月「さっさと手を動かせ」
壬生「とりあえず、出来たものから投函してきましょうか」

御門は会社関係、同人仲間、その他学友等でひたすら数が多い。
そして己の手描きイラストで出すのが御門のこだわり。


今年もよろしくお願いします。



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