「バトる?5」

 あの時何が起こったのか司馬はよく解りませんでした。
 ただ自分の目の前の森がガサガサ言って、そこから猿野が出てきて、あ、猿野だと思った途端何かが弾けて、走って行く兎丸が見えて、

 そして目の前にはケチャップにまみれた自分が居りました。

 もしかして自分は死んだのか?
 司馬はやっとそう思いました。
 そう言えば猿野が何か言っていたような。
 思って周りを見渡しましたがもう猿野は行ってしまったようで誰も居ませんでした。
 とりあえず司馬は自分の死体を眺めました。
 弾のほとんどは体の正面に当たったようで、胸から腹にかけてがズグズグになっておりました。
 でももう血は止まっていました。
 顔は口から血が出てる以外は無傷で、口の血さえ拭いてしまえば生きてる頃とそう大差はありませんでした。
 もっとももう死んでいるのですから生きてるように見えても仕方が無いのです。
 司馬はしばらく自分の死体を見てましたが、やがて飽きてしまいました。
 でもする事もなく、仕方がないので自分の死体と向き合うようにして座りました。


 
 しばらくそうしていて、司馬はある事に気づきました。

 (周りの景色が明るい)

 
 そこでやっと司馬は自分がサングラスをつけていない事に気づきました。
 足下を見れば、サングラス越しの黒い草で無く、緑の草が見えました。
 前を見れば自分の死体ともたれてた木が見えました。
 全部初めて見る色をしておりました。

 司馬は嬉しくなってキョロキョロそこらを見回しました。

 (凄い凄い)

 
 そしてそのまま大の字に寝ころびました。

 (青い)
 (初めて見た)

 生まれて初めて裸眼で空を見ました。

 そして死んでるのに生まれて初めてって何だろうと思い笑いました。
 今の自分の状態がおかしくてまた笑いました。
 寝たまま笑いながら司馬は、

 兎丸を許してあげようと思いました。

 そして生き残ると良いなと思いました。


 
 青空の下で笑っている死人が一人おりました。


 

 二日目はまだ続きます。
 
   

呑気な死人・司馬
死んでも性格は治らないという事で・・・・
司馬は変な子なので死んでもその場におります
とりあえずコレで納得して下さい

書きたかったのは死んで初めて空を見た司馬太郎
死んでからの方が楽しそうな人間というのも嫌なものだ
兎丸を怒ってはいません
猿野の事も気にしていません
とりあえず今は自分の状況を楽しんでおります

死人(幽霊?)司馬はも少しこのまま
てな訳でこのシリーズもも少しだけ続きます

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