「バトる?3」
シャカシャカシャカ・・・・・
鹿目は黙って水の入ったペットボトルを振っておりました。
「・・・・そこに居るのは鹿目くんかな?」
そこにサーベルを持った牛尾がやって来ました。
牛尾は少し離れた所で立ち止まりました。
「・・・牛尾。お前カバンはどうしたのだ?」
鹿目の指摘通り牛尾の荷物は手に持ったサーベルと首から下げている地図とコンパスだけで、皆が持って出たはずのボストンバックがありませんでした。
「ははは、それが揉み合いになっている内に崖下に落としてしまってね」
「ドジなのだ」
「手厳しいね」
そう言って2人は少しの間笑い合いました。
「・・・・で、その揉み合いになった奴はどうしたのだ?」
牛尾は鹿目の質問には答えず少し笑いながら、
「やっぱりぬるぬるべたべたした物は嫌いだね」
と言いました。
鹿目はそれ以上何も言いませんでした。
シャカシャカシャカ・・・・・
また暫くの間ペットボトルの水音だけになりました。
「さてと、どこかで食料を見つけないとね。鹿目くんまたね」
「ちょっと待つのだ」
そう言って去ろうとする牛尾を鹿目は呼び止めました。
そしてボストンバックからビスケットの包みを取り出すと牛尾にほりました。
「武士の情けなのだ。持っていくのだ」
「ありがとう」
牛尾は笑って礼を言いました。
「牛尾、飲み物は要らないのだ?」
鹿目は手に持ったペットボトルを高く上げて言いました。
それを見て牛尾は苦笑して言いました。
「止めておくよ。毒でも入ってそうだから」
そして手を振って去って行きました。
シャカシャカシャカ・・・・・
鹿目はペットボトルを振りながら反対の手でカバンを開けると、もう1本のペットボトルを取り出し一口飲みました。
それから振っていた方にナイフで印を付け、まとめてカバンに仕舞いました。
そして呟きました。
「勘のいい奴なのだ」
そうしてその場を後にしました。
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