「座敷牢」

 「もしかして、これってピンチ?」
 やあ、いつも元気な緋勇龍麻です。えっ何がピンチかって?
 今、僕は両手両足を縛られて座敷牢(初めて見た)の中に転がされているのさ、
 バリバリピンチだね。
 はい?誰が縛ったのかって?
 それは・・・あっ来た。
 「やあ、龍麻。目が覚めたかい?」
 「よお、如月。人生最高の目覚めだよ」
 「それは良かった」
 ・・・・・イヤミだよ。
 「ところで、何でこんなステキな事に?」
 「ああ、それは・・・・

 三十分前・如月宅
 『やほー、如月。茶ァ飲ませてー』
 そうそう、今日は帰りに如月の家に寄ったんだよな。
 『やあ、龍麻。今日は良いお茶が手に入ったんだ。お茶うけもあるよ』
 そーそー、それで遠慮なくごちそうになって・・・
 何か色々しゃべって、
 『今日は珍らしく一人かい?』
 『ああ、皆用事が有るんだってさ』
 『それは、好都合・・・』
 この時、何か如月の目が輝いてたんだ、今思うと・・
 ―で、どうしたっけ?

 「それから、僕の秘薬入りのお茶を飲んでこうなっている訳だよ」
 「何でそこで一服盛るかな・・」
 確かにあのお茶は紫色してて怪しかったけど。
 「ついで、これは何?僕が何かしたか?」
 「した」
 だから、何を・・・
 「僕という者が有りながら。よりにもよって壬生と付き合うだなんて」
 はい?
 「玄武は黄龍と共に居てこその玄武。なのに君は壬生と・・・」
 別にいいだろーが。
 「だったら、醍醐とかマリィとかアランとかと居ろよ。四神だろ」
 「それはできない。僕はアランが好きじゃない」
 ・・・・こんの亀が・・
 「だいたい、玄武がどーのってんなら、壬生と僕は双龍の関系だぞ」
 具体的にどんなのかは知らんけど。
 「そんな事は関系ないさ」
 テメーが言ったんだろーが!
 「ふふ、でも今、君は僕の手の中」
 正確には牢の中な・・
 「これからはこうしてずっと守ってあげるよ」
 イってますね、如月さん。ストーカー入ってるぞ、オイ。
 しかし、ピンチだ。何かこの縄外せないし。如月イってるし。
 「龍麻。怖がらなくていいんだよ」
 めっちゃ怖いです。
 「さあ、龍麻・・」
 さて、どうしようかな。まあ、いいんだけどな初めてでもないし。
 しかし、その後、開放してくれんのか?ずっとはイヤだしな・・・

 ドオォォン

 「は?」
 「なに?」
 座敷牢の入口が壊されて立っているのは・・・
 「おおー壬生。」
 「壬生!」
 「・・・如月さん、何をしているんですか・・・」
 壬生・・マジギレ?
 「真・龍神翔!」
 「クッ、不覚」
 ホントにな。しかし、容赦無しだな、死ぬんじゃないか如月・・
 「大丈夫かい?龍麻」
 「まだヤられてねーよ」
 何だその傷ついた目は!ヤられてねーって言ってんだろ。
 「・・・僕はどんな君でも好きだよ」
 もしもし、どういうイミだそれ?確かにキレイな体とは言えんが・・
 (ま、色々あってね)
 「とりあえず、ほどいてくれ」
 その前に如月の回複か?マジで死にそうだし・・
 「・・・・・・・」
 「・・・・・・?」
 何だ?どうした?
 「・・・・カメラ買って来てもいいかな・・・」
 「はあ?」
 「・・・・・・・」
 「・・・・・・・」
 もしかして・・・
 「壬生って・・・サド・・?」
 「・・・・・・・」
 図星?縛りとか好き?
 「いや、その縛られてる君もいいけど・・このシチュエーションも・・・」
 それって、縛られて座敷牢のフトンの上に転がってるこの姿の事か?
 「壬生・・・お前ってオヤジ入ってんだな・・」
 こんなB級ポルノなシチュエーションに燃えるなよ・・・
 「・・・とにかくカメラ買って来るよ」
 「まてー!ほどけーーー!」
 タタタタタタタ
 ・・・マジで行きやがった。別れるぞコラァ。しかもその写真をどうする気だ・・
 しかし・・如月・・死ぬんじゃねーか?
 自業自得だが。まだこの店使うんだよなー。
 ああー僕はいつになったら自由になれんだ?
 ・・まさか壬生がこんなの好きとは・・・オヤジ系のイメクラ好み・・・・
 ・・・・如月・・・息してるか?・・・
 おーい
 マトモな誰か助けにこーい
 おーい

 

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