「厄日」（犬神先生と僕４に続き）
スカートがヒラヒラヒラ・・
「ねーそこの彼女、お茶でも・・」
「掌打！」
ドゴ！
またしても罪なき一般人が餌食となった。
犬神先生の家からの帰り道、どごぞのトイレででも着替えようと思っていたのだが、女の恰好で男トイレに入るわけにもいかず、だからといって女トイレから男の恰好で出てくるわけにもいかず、しかたなく女装したまま街を歩いている。
そして龍麻の機嫌は最悪だった。
原因は先ほどからの・・・ナンパ
�Tなんなんだ！このナンパの数はぁぁぁ！ああーうっとーしー！！！！�U
というわけでさっきからナンパされる度に掌打をかましているのである。
かわいそうなのはナンパ男達。なんの因果で街中で掌打なんぞを食らわないといけないのか。この後の人生、女性恐怖症にならないよう祈っておこう。
�Tあーもう！さっさと帰るぞ！�U
ショーウインドウの前を通りかかる。
そこに写るワンピース姿の少女。
�T・・我ながら美人だ・・・って落ち着け！僕！�U
どうやらナルシストの気も有るらしい。
「なーそこのネエちゃん。お茶しばけへん？」
またもナンパ。
�T・・・このエセ関西弁は�U
振り向いた先に居たのは・・・
�T・・・劉�U
「おお！美人！やったじゃねーか劉！」
�Tサル・・もとい京一�U
「おいおい、テメーらお嬢ちゃんがビビってるじゃねーか」
�Tオヤジ・・じゃなかった村雨�U
「まったく君達は何をしてるんだい」
�T亀・・イヤイヤ如月�U
麻雀メンバーである。おそらく雀荘帰りであろう。
�Tくくくくくくく・・・この僕をナンパするたあ、いい度胸だ�U
龍麻の心に住んでる鬼が目覚めた。
「なあ、ネェちゃんお茶行こうや」
「そーだぜ、怖くねーからよ」
美人と解ってマジになる二人。
�Tお前らなんざ怖い事あるかい。しっかし女の目で見ると濃いなコイツら�U
「どうした？お嬢ちゃん」
�T黙りなフケ顔�U
ニッコリ�｡
龍麻、満面の笑み。まさに聖母の頬笑み。
『おっ！』
可愛いく頬笑まれていけると思った四人。
しかし・・・
「八雲！」
ドゴス！
劉の脇腹にヒット！
「あかん、目の前暗うなってきた」
バタッ（劉リタイヤ）
『なっ！』
驚いてる三人を尻目に龍麻は次の動作に移っている。
ショウウインドーを足掛りにバック転。
村雨の頭を飛び越えて背後に着地。
「雪蓮掌！」
バキッ！
背骨にヒット！
「チッ・・赤短・舞炎！」
瀕死の村雨、反撃。
「水裂斬！」
ヤバイと感じたのか如月も攻撃に移る。
左右からの攻撃。逃げ道は・・上！
その場からジャンプ！足の下で二人の技が相殺される。
「チャンス！剣掌・旋！」
京一が空中の龍麻に技をしかけた。
どうでもいいがナンパした女に凄い仕打ちだな。
�T空中では避けられないなっと�U
とりあえず防御。
ビシッ！
ノックバックで３ブロック後ろへ着地。
�Tくそ、袖が破れたじゃねーか。しかし、チャーンス�U
「秘拳・鳳凰！」
ちょうど一直線に並んでいる三人に技炸裂。
「ちっ、しくじったぜ」
「不覚・・」
「やれやれ・・ああツイてねぇ」
あわれ麻雀メンバー全員リタイヤ。
パチパチパチ・・
いつのまにやら集まっていたギャラリーから拍手が上る。
龍麻はツイっとスカートの両端をもって優雅に一礼して去って行った。
ちなみにこの後パトカーが来て四人共連行されて行った。�Tあースッキリした♪�U
御機嫌でマンションに帰って来た龍麻。
人間幸せな時ほどスキができるのです。
ガチャ
「おかえり・・・龍麻？」
「・・・・・・部屋まちがえましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！」
またもがっしりと捕まえられました。今度は腰。
「（コイツの存在を忘れてた）離せぇぇ変質者ぁぁぁぁ！」
ドアにしがみついて抵抗する。
「嬉しいよ龍麻。僕の趣味を解ってくれて」
�Tまて�U
恐る恐る壬生の顔を見ると、多分人生で一番輝いてる顔をしていた。
�Tいやぁぁぁぁ！モノホンの変態だぁぁぁぁぁ！義父さーーん！！�U
「龍麻、おおじょうぎわが悪いよ」
「うるさい！死んでもこの姿ではヤらん！」
女装してても男としてのプライドはあるらしい。
「・・メイド服作ってあげるから」
思いきり腰の所にしがみついて引ぱっている。
ピク
�Tメイド服・・ロングスカート、白エプロン、膨らんだ袖、ああ！着てみたい！しかし・・�U
所詮はコイツも変態。
「なんならチャイナドレスも作るよ」
「ってお前のヤりたい恰好だろう！それ！そんなにこの姿としたいのかー！」
「したい！」
キッパリ言われて力が抜ける。
�Tなんでコイツはこうなんだぁぁぁぁ�U
「今夜は人生で最高の夜だね」
龍麻をベットルームまで引きずって行く。
�Tお前だけじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ�U
とりあえず皆の厄日。（壬生除く）