「懐中時計」
えー天気やなー
正に晴天!ちゅー感じや・・・こーやってなーんも考えんと空見てると・・思い出してまうな・・
客家の事・・・皆と遊んどる時や
学校行っとる時や
戦ってる時は思い出さへんのに一人でこーやってぼんやりしとると思いだしてまう
重いもん背おてるとは思いたないけど・・・
ちょっとしんどいわ・・・
あと、もひとつ重いもんが背中にあるアニキ達や・・・
この戦いはワイの個人的な復讐や
それやのにアニキ達をまきこんでしもた
はよ離れな、はよ離れな思てんのに、あっこは、アニキの側は居心地よーて。どんどん離れられへんようになってる
今、ワイはアニキ達を利用してるんや・・・・
復讐はワイ一人でせんとあかんのや・・・「やほろ〜♪こんちまたまたお日がらも良く♪」
「うわぁぁあ!アニキ!」
あービックリしたー
「・・?ナニをそんなにびびっとんねん。まーそれはさておきタコ焼き食えへん?」
「・・・タコ焼き?」
「そこの屋台でこーたん。しょう油とソース。どっちがええ?はよ言わんとテメーを食っちまうぞ。ガァー!」
「わー食べます食べます!食べさしていただきます!」
「よっしゃ」
にっかり笑うアニキの笑顔が眩しいわ・・・「うまうま。やっぱタコ焼きはしょう油やなー。ソース&マヨネーズはお好み焼きっぽいよな」
「モグモグ・・・ん、そやな」
「モゴモゴ・・」
あったかい日なたでアニキとおやつ・・・
幸せっちゅーのはこんな感じなんかなー・・・
ってあかんやん、自分。アニキから離れなあかんのにナニなごんでんねん!
「そーや、劉よ。さっき何か悩んどったやろ?」
「ギクッ・・・え?なんでもなんでアニキ」
「フーン・・」
あーアニキの目が怖い・・・
また、殺されるんかワイ・・
短い命やったな・・・
「劉」
「・・・・はい」
hh・・あんまり痛ないとええな・・・
アニキの手がワイの頭に近づいてくる
ぎゅーーーーーーーーーーーーーー!
はい?
ワイの頭がアニキの胸に・・
これはもしかして・・
抱っこちゅーやつか?
「・・・アニキ?」
「昔はこれでもけっこー悩める子羊やってな。そんな時は爺ちゃんとか義父とかがようこーして抱っこしてくれたんや。安心するやろ?何となく」
ドクドクドク・・・
アニキの心臓の音が聞こえる
「僕も爺ちゃんくらい胸板あったらもっと良かったんやけどなーニャハハハ」
ドクドクドク・・・・
「どーや?ちっとは悩み軽なったか?」
ドクドクドク・・・
アニキ・・
悩み重なってしもたよ日は上からジリジリ照らすし
初夏ゆーても今日みたいな日はめっちゃ暑いし
公園で男二人で抱き合ってるなんてめちゃめちゃ変態さんやけど
今、めっちゃ幸せやねんやっぱり離れたないわアニキや皆と・・・
それでも、ワイは離れなあかんねん・・・ちょっと(というかだいぶ)残念やけどアニキの胸から頭を離す
「どーや?」
「おおきにアニキ。なんかすっきりしたわ」
ウソやけど
「さよか」
「おおきに」「そうや、アニキこんな話知ってるか?親から離されたヒヨちゃんて寂しがるやろ?そんな時は時計を巣箱に入れたんねん」
「時計?」
「そーや。時計の秒針きざむ音が心臓の音に似てるから安心すんねん」
「なーるほど・・・それやったらお前にコレやるわ」
そう言ってアニキがズボンのポケットからとり出したんは懐中時計。
「ってソレアニキがめっちゃ大事にそとるヤツやんか」
たしか誰かの形見の品やって聞いたで。
「まーそーやな」
「しかもソレめっちゃ高価そうやん。もらわれへん。絶対あかん」
ヒュンッ
ボコ
アニキの掌打で後ろの街灯が折れたんが解った。
でも、コレはうけとられへん。
そんな大事なもん貰う資格ワイにはあれへん。
「・・・それやったら貸しとく」
「は?」
「だからお前に貸したる。ホレ」
放りなげられたソレを思わずキャッチしてまう。
近くで見るとマジでキレイや・・・
「貸してんねんから壊すなや」
「アニキ・・・せやから」
ヒュンッ
目の前にアニキの拳
「劉。目的があって周りを利用すんのは悪い事か?一人ででけへんかったら助けてもらうのは当り前やろが。自分一人でしようとすんな。頼れ、利用せえ、僕はお前の兄貴やろが」
「・・・アニキ」
「とりあえず、なんか悩んだら時計の音聞いとけ。それでも離れる時はソレ返しに僕の所来い。力づくで引き止めちゃる」
「あと、カリパクすんなよ。何があっても返しに来いよ。返しに来んかったら地面の底まで追いかけてって取り返すからな」
「解っとんのか?コラ」
あかん泣けてきた・・
「ん?」
「アニキ。よーわかったで、この時計大事に預からさせてもらうわ」
「よし、それでこそ僕の弟や」
おおきにアニキ。「さて、それでは行こか」
「?どこへや?」
「決っとろーが、テメーに時計貸したから新しいのん買いに行くんやん。もちろん可愛い弟のおごりで」
「はぁ?」
ワイ今めっちゃ金欠なんやけど・・・
「さーちゃっちゃと行くぞ」
「ちょい待ってーなーーアニキー!」
あわてて後を追っかけるワイのポケットの中でアニキの懐中時計がチクタク言ってた。
はい、すんません。ハンパです・・・・
とりあえず第20話前っちゅー事で。どうもウチの龍麻は弱った奴には優しいらしい。
龍麻が懐中時計派なのは腕時計は手甲に当って痛いからだそーです。
劉って私の中ではけっこう考えてるタイプ(悩めるタイプ?)に分類されてます。
だって第20話見たらそう思いますよね?ちなみに龍麻は何も考えてません。
まーたまにはこんな感じで・・・