「水域」
サラサラサラ・・・・・
ふーむ、川の水って本当にサラサラ流れんだ・・・
って、そーでなく!
なして僕は川の上に立っているんでしょう・・・・
水の上に立ってるなんて・・・
まるでアメンボのやう・・・
いや、だからそうではなくて!(自分ツッコミ)・・・・落ついて考えよう
確か僕は・・・・
T柳生に切られましたU
駄目じゃん☆
ってマジで駄目だっちゅーの!
・・・んじゃココは死後の世界か?
何てこったい
まだ読んでない本もいっぱいあったのに・・
見てないビデオ・・・テレビ・・・
ってゆーか東京は?世界は?
仲間はどうなったのよ?
無茶して突込んでねーだろーな
京一とか劉とか心配だなー
止めてくれそうな奴も多いから大丈夫か?
大丈夫と思おう、ウン
っていうか壬生が心配・・・・・
しっかし、これからどーすべーか
左右・・・川
上・・・・なんか白い空(くもり?)
下・・・・川
遠く・・・モヤってて解らんとりあえず・・・・川上?
ペタペタペタ・・・・
水の上歩くのって何か変な気分・・・
ゼリーの上歩いてるみてー
・・・指紋付きそペタペタペタ・・・・ピタ
ん?
んー?
なーんか水の中光ったもんが泳いでる
さっきは気づかんかったなー
なんじゃありゃ?
ギッギッギ・・・
ん?・・・何か来る
ギッギッギッギ・・・・
何だ?
ギッギッギッギ・・・・・・
前から・・・・『舟』
ギィ・・・・
うっわー古そうな舟・・・・
手こぎだ・・・
船頭さん(居るんだよ)笠かぶってて顔見えねーな
「こんちは」
通じるか?
「・・・・乗るか?」
おっ通じた
「乗るとどこに行くんですか?」
「・・・さぁ?」
ガクッ
さぁってアンタ・・・
「適当に漕いでるからな」
テキトーっすか・・・
「適当に行ったら死後の世界にノンストップとかってないですか?」
それはちょっと困るんだわ
「どーだろ?ここで船乗りしてまだ18年だしな・・・・おい、お前は知ってるか?」
船頭さんが後ろの方に声を掛けた
どうやら後ろに誰か乗ってるらしい
・・・ところで18年て少ないのか?
「・・・・知ってる訳ないでしょ。アンタと同じだけ乗ってるんだから」
声からすると女の人らしい
「―だそうだ。乗るか?」
さてどーっすか
悩まない僕としては・・・
「乗ります」
【舟の上】
「18年も乗っててどこにも着かないですか?」
舟の後ろの方に乗ってる着物の女の人に声を掛ける
さっきはあんま思わなかったけど、この2人若いな
20代?
20代で18年も乗ってんのか?
「18年てのはアンタを見て解ったのよ」
「・・・・は?」
今何かおっしゃいました?
「・・・・ここに時間の流れは無いの」
「・・・ああ、なるほど」
その前も何か言ってたような・・・・
ギィギィ・・・
「エンヤートット。エンヤートット」
うーんどこに向ってんのかなー
ヤバイかなーフゥーーー
ん?なんか懐かしい臭い
なんだ?
「ん、どうかした?・・・煙草欲しい?」
いえ、そーではなくて・・・
「お姉さんの吸ってはるのは・・」
もしやそれは・・
『しんせい』
あ、声がダブった
「よく知ってるわね、若いのに・・・早くフケるわよ」
失礼な・・・フケてんのは某ギャンブラーで十分っす
「いえ、吸ってる人が身近におったもんですから」
そーいやー先生に会いたいなー
「・・・ふーん
これはね私の大事な友達がくれたの。結婚祝いだってね」
しみったれてるわよね、って女の人が笑った
「・・・そうなんですか」
なんかイメージが先生とダブるなー
その前にこの人結婚してたんだー・・・・そんな感じしないですよ、悪いけど「おっ、魚だ。見てみろよ二人共」
(今の今まで存在を忘れてた)船頭さんがそう言ったので舟の下を見ると水かさが満して魚がいっぱい居た
どうやら、さっきのキラキラはこの魚になったみたいだ
(なんでかっていうと腹の中がキラキラしてるから)
「ちょい」
はい?なんですかお姉さん
「1匹取ってみて」
・・・・取れるんか?
そーっと手を入れて・・・・掴む!
・・・・激!カンタンでした
ピチピチもせんなーこの魚・・・・寒天ちっくだし・・・
「ふーん。綺麗じゃない」
「そーいや、そーですね」
見方を変えりゃーね
「食べてみたらどーだ?」
「は?」
またも存在を忘れてた船頭さんがサラっととんでもない事をほざいた
まてまて、食うてもいけるんか?
「そうね。食べてごらん。毒じゃなし(多分)」
お姉さん・・・あなたも結構無責任・・・
しかしまぁ、このまま逃がすってのも芸の無い話やし
いただきますっと
ズルッ
ゴックン
「どうだ?」
「どうどう?」
2人共興味津津ですな
「無味」
『・・・・・』
そのなーんだって顔やめて下さいよー・・僕が悪いんじゃないのにー
のにー
「でも、お前少し濃くなったな」
「・・・は?」
言われて手を見ると確かにさっきよりは濃い気がする
逆をかえせばさっきまでは薄かったのか?
自分では解らんからなー
「ああ、それじゃあたくさん食べたらいいわね。アナタ、釣ってあげたら?」
「そうだな釣るか」
「そうしてあげて」
・・・・なに?この2人夫婦なんか?
いや、いいんだけどさいつのまにやら船頭さん釣り具出して釣り大会
それがまた次から次へと釣れるんだわ、入れ食いってやつ?
で、僕はそれを片っぱしから食べていく「おいしい?」
「だから無味ですってば、気になるなら食べたらどうですか?」
こんなに居るんだし
「アラ、それは私達が食べても意味無いの」
「俺達が食べても無意味なんだ」
『だって死んでるから』
2人の声がハモった
「・・・・やっぱり死後なんだ・・・」
死んでるんじゃん!って僕は黄龍だから死なない筈
いやまだ黄龍の器段階だから死ぬったら死ぬか?
って言うか死んでんだったらトルーマンが来てる筈
トルーマンカムバーック
「落ち着きなさい」
お姉さんが僕の頭を掴んで座らせる
・・・痛いっす
「私達が死んでようと生きてようと貴方には関係無いの。解る?
ついでに貴方はまだ死んでないわ。ねぇアナタ」
「ああ」
あー死んでないんだ・・・良かった・・・
「で、今貴方が食べてるのはT願いUなのよ。解る?」
願い?
この寒天魚が?
「貴方に助かって欲しいっていう願い。だから食べる度に体が現世に近づくの」
あー濃くなるのってそういう事ね
「こんなに思われて幸せ者ね・・・・・私の時なんて・・・チッ」
怖いです・・お姉さん
「とにかく、これで私達が食べても無駄って解ったでしょ?
―さてと、そんだけ濃くなりゃ沈むでしょ・・・・ア・ナ・タ・」
「よっしゃ」
お姉さんの合図で船頭さんがオールを水から出して・・・・
思いっきり振りかぶった!パッコーーーーン!!
「いったぁぁぁぁーーーガボガボガボ・・・・」
水!水!水の中ーーーーー!!!
僕は泳げねー!!
ガボガボもがいて沈んで行く水中からにこにこ笑って手を振ってる2人が見えた
「龍麻。頑張りなさい。ここでお父さんと見守っててあげるから」
「頑張れよー我息子」
―って僕の両親かい!
ガボガボガボ・・・・
あかん・・・ブラックアウト・・・・次に目ぇ覚めたら病院で皆にもみくちゃにされた
傷が開きます(涙)
しかし・・・なんつー両親だ・・・
あんなに大雑把だったとは・・・
「劉。あんまり僕の父ちゃんを尊敬しとったらあかんぞ」
「・・・・なんでやアニキ」
「えーからアニキの言う事聞いとけ
人の思い出は美化されんだ」
「・・・・???」
あーオールで殴られたトコ痛む・・・
おしまい
最近無駄に両親Sが好き、特に加代さん(俺屍にも居ます。槍使い)
できれば親世代の話も書いてみたいやーね
ところでここの壁紙、前にどこからか取って来たやつなんですけど「俺の所のだよ勝手に使うな」って方がおられましたら申告お願いします・・・・どこから取ってきたのか解らないんです・・・使っては良かったような・・・
死後の世界に川を連想するのは日本人だそうです。川の無い国の人は砂漠とかトンネルなんだそうな・・・・
タイトルは椎名誠の「水域」。かなり好きな作品です