「サボテンとバントライン」
「・・・どーしても行くのかい?」
「しつこい」
姿見の前で熱心に服装チェック中の龍麻と思いっきり不機嫌な壬生。
「・・せっかくの日曜なのに・・」
「うーん、ネクタイはこっちか?でもタイピンと合わんし・・」
「僕をほって行くんだね」
クッションにしがみついてブチブチも壬生。
「えーっと髪型良し。服良し。顔良し。オールオッケイ」
聞いちゃいない龍麻。
「結局の所、君ってそーゆう奴なんだよね」
「・・・・うるせー!!!前から言ってあったろーが!」
「・・・・言ってたよ」2日前
「うーん・・まーいいかコレで」
まきちらした写真の中からてきとうに1枚選ぶ。
「龍麻、何だい?それ」
「んー?見合い写真」
ガッチャンッ
「・・・お前それ、マイセンのカップ」
そして今日。お見合い当日。
「・・・・それでも、お見合いするなんて・・・」
「しゃーないだろ。おじきに強引に頼まれたんだからよ」
「・・・その割には気合い入ってるじゃないか」
そう、龍麻はばっちりスーツできめていた。
「そりゃまーせっかくだし?タダ飯食えるし」
ちなみに前髪も上にあげている。
「とにかく僕は今日は一日見合いなの。ヒマなら粘ってねーで如月の所にでも行てろよ。じゃーな」
軽く手を上げてさっさと出かけてしまった。
「・・・・・」
「・・・・ハァー」
・・・寂しい
・・・・昔は一人でも平気だったのに・・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・如月さんの所に行こう「こんにちは」
何となく一人だと小声になる壬生。
「やあ、いらっしゃい。やっぱり来たね」
売り物の招き猫を片手にさわやかな如月。
「・・・・やっぱり?」
「ああ、龍麻がさっき『壬生がスネて来るだろうから相手してやってくれ』って言いに来たんだよ」
「・・・・・」
ガラガラガラ・・・ガッシャン
盛大な音を立ててやって来たのは村雨。
「戸は静かに開けてくれ、古いんだ。っと村雨、お前もか?」
「あーさっき先生と会って『如月の所に壬生が居るからなぐさめてやってくれ』ってな」
「・・・・・」
「愛されてるな壬生」
如月さん、本当に愛されてたら見合いになんて行かないでしょう?「・・・と言うわけなんです」
三人で酒を飲みつつ語り合う。
ちなみに今は夕方。
昼間は恐怖の倉掃除をさせられていました。
「あーははは、見合いとは先生もやるねぇ」
「まあ、龍麻の事だどうせ食事にでもつられたんだろう」
さすがは如月鋭い。
「・・・僕は本当は龍麻に好かれてなんていないのかも・・・」
ボソッと壬生がつぶやく。
「それは違うぞ壬生」
「・・・そうでしょうか?」
「そうだ」
「そうだぜ、安心しろよ先生はお前が好きだ」
いやにキッパリと二人が言う。
「君からは見えなくても、周りからは見える事もある」
「・・・?」
「とにかく君は龍麻に好かれている。それは自信を持ちたまえ」
「それでも・・・」
それでも不安なんですよ・・・「やっほー、壬生来てるー?」
それから2時間後。お土産龍麻ご帰館。
「よー先生。御機嫌だな」
こっちも酒が入って御機嫌な村雨。
「聞いてくれよー。いいホテルだったんだー。久しぶりに食べたよフォアグラ」
「へえ、それは良かった。じゃあ、この夜食はいらないかい?」
茶づけを持って如月があらわれた。
「いりますー。茶づけー食べる。ああ、これそこのホテルのケーキと銀座のすし」
ケーキとすしを机に置いてキョロキョロと見周す。
目当ての者は部屋のスミで毛布にくるまって寝むっていた。
「おや、壬生寝てるじゃん」
にじにじと近よる。
「スネてた?」
「ああ」
「ムッフフフフ。可愛い奴め」
よしよしと頭をなでてやる。
「あいかわらず壬生には甘ぇな」
「そりゃまー(一応)恋人だし(一応)愛してるし」
一応が付かなきゃいいセリフなのですが・・・・
「・・・・壬生が不安になるわけだ」
「なにぃ。コイツ不安なんか?こんなに可愛いがってやってんのに。我ままな奴だ」
「我ままなのは君も同じだよ。さっ、茶づけがさめるよ」
「ウィッス」
壬生から茶づけに移動する。っで茶づけを持ってまた壬生の所に戻る。
「先生何してんだ?」
「ん?オカズがわり。ズズズズーーーーッ。あーうめ♪如月の作る茶づけはうまいなぁ・・・嫁に来ん?茶づけ用に」
スパンッ
如月が龍麻の頭を新聞ではたいた。
「痛っ」
「そういう事を言うから壬生が不安になるんだ」
「・・・・イイ男は緊張を忘れちゃいかんよズズズー」
スパンッ
もっかい如月。
「だから痛いって。・・・不安にさせてんのは知ってけどさ。僕はこんな性格だし。惚れたコイツにも責任はあると思うけどな」
「まーそりゃそうだ・・それより、うまそうなすしだな」
土産のすしを開けている村雨。それを見て如月は台所に消える。
「高かったからな。・・・ところでサボテンの魅力は棘々の所だと思ってんだ僕は」
茶づけが無くなったので村雨と一緒にすしをつまむ。
「?」
「棘が無くなってツンツルテンのサボテンなんて願い下げだね」
「なるほど、それで壬生にきつく当るのか」
如月が台所から小皿と新しい酒を持って帰ったきた。
「おっ、すまねえな。っでサボテンの棘がどーのって何の話だ?」
「龍麻にとって壬生はサボテンで。サボテンは優しくすると棘が無くなるんだ」
「そー、そういう事。それではお二人さん、おやすみー」
壬生の毛布に潜り込み、最後にも一回頭をなでで寝てしまった。
「・・・甘いんだかきついんだか」
「・・・まあ、龍麻に惚れている限り壬生は耐えていくしかないな」
寝てる二人にさらに毛布を掛けてやりつつ如月。
「・・・しかし僕からすれば贅沢な悩みだ」
「お前もしょうがねぇな」
「村雨。お前には言われたくない」
岡惚れ二人。
「ムニャ・・・龍麻・・酷い・・」
「・・・ムー・・サボテン・・・ムニャムニャ・・」
私の中での壬生イメージはサボテン。
勝手に棘を生やして誰も近づいてくれないと悲しんでるような感じです。
とりあえずはラブラブですかね?
ところで龍麻の見合い相手ってどんな人だったのだろう。
って言うか女か?
タイトルは筋肉少女帯から。