【邪見 暗殺者】
「二枚貝というのを知っているだろう?二枚の貝殻が、互いにぴったりと合わさるごく普通の貝だ。だが、もし、その一方だけが大きくなってしまったらどうなる?貝は閉じられなくなり、外敵に殺られるのを待つだけだ。一方の欲の為に、もう一方は死んでしまう。それは、許されるべき事ではないだろう?」
《悲》
「壬生ー。貝のメインは中身であって、殻じゃないぞう。何で各貝殻に意志があるねんな。よく考えてみ?
あと、アメフラシとかウミウシって貝の仲間なわけだが、アイツ等進化の過程で貝殻捨てたのな。その代わり目隠しの霧とか毒の触手とか手に入れた訳だ。ディフェンスをオフェンスに変えたんだよ自力で。貝殻の片方がデカクなるのも進化の過程かもしれんやん?それは確かに欲かもしれんけど、悪い事ではなかろう?のこるは創意と工夫。大丈夫!もしお前の殻が片方デカクなっても助けてやるから」
「・・・・・・」
「貝と言えば、サザエの壺焼きが食べたい。あれ店だと2個で千円くらいするけど、デパ地下だと生が6個で五百円なのな。でも家で焼くとコンロがボロボロになるしなー」
「貝殻ははぜるからね」
「そうそう、あー今度如月の庭でバーベキュウしよう。外なら汚れまいて」
「いいね」
「・・・・で、お前の話の趣旨って何だっけ?」
「・・・・・何・・・だろうね・・・」
「貝は美味しい?」
「・・・違うと思う・・・」
「進化は美しい?」
「・・・・それも違う気が・・・」
「何でもかんでもやってみよう?」
「・・・・離れた気がする」
「ま、いいか。符くれ」
「あ、はい」
壬生の可笑しいくらいの自虐性が好きです
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