「……のメロディ」
「―で、せっかくのデートもおじゃんよ。ああ、もうムカつくったら!あの、おサル私のファンなら気をつかえっての!なんで 3人で、デートしなくちゃいけないのよ!せっかくのオフだってのに―って聞いてんの?沙夜!」
「ああ、ゴメンね☆さやか」
東京都内某カラオケBOX。話しているのは国際的アイドル舞園さやかとその友人比良坂沙夜の二人である。
「ところで、蓬莱寺さんてそんなに邪魔してくるの?」
「もー邪魔も何も、私が霧島君とちょっとでも歩こうもんなら『よ、諸羽。さやかちゃんとデートか?』って出てくんのよ。ス トーカーじゃないのアンタ?って感じよ」
ちなみにそれは、先輩思いの霧島が情報を流しているからである。
「でも、そっちは一人だからいいじゃない・・・・」
フッと笑を漏らす比良坂。心なしか目が座っている。
「こっちなんて仲間のほとんどが邪魔してくるのよ!新宿に行ってもどこ行ってもワラワラワラワ・・・・もーーーーー頼むか ら、ふたりっきりにしてぇぇぇぇぇぇ!」
魂の叫び。
「・・・・大変なのね、沙夜・・」
「いいのよ」
しばしの沈黙。声なしカラオケが虚しく響く。ピピピピピピピピピ♪
沈黙を破ったのは比良坂の掲帯。
「はい、あっ。龍麻さん。。いえ、今はさやかちゃんとカラオケに・・。えへへ、そんな。ええ。えっ、明日ですか。はい。空 いてます。。はい、それじゃあ、10時に。楽しみだな。えへへへ。」プツ
どうやら龍麻からのデートの誘いらしい。
ホワワワワワン。。
「・・・・沙夜」
ホワワ〜〜ン。。
「・・・・沙夜!」
ホワ〜〜〜ン。。
「・・・・(ボソ)ブラコン」
ピク!
「ちょっと浮れるのはいいけど、また邪魔が入るわよ」
「・・・そうだったわね・・」
さっきまでの幸せ顔はどこえやら苦虫を噛んだような顔になっっている。
(よっぽど邪魔されているらしい)
「「なんとかしないと」」
このままでは二人きりのデートなど夢のまた夢。希跡でも起ないかぎりムリである。
またも沈黙。ツッと比良坂がリモコンをいじる。
「ねぇ・・さやかちゃん・・歌わない。」
「え?・・・・・ええ。いいわよ、沙夜ちゃん。」
画面に写っているのは、ザ・ブルーハーツ。『皆殺しのメロディ』
Tヤる?U
Tヤろうか?U
くすくすくすくす・・・
楽しげな笑い声がBOX内にこだました。◇次の日◇
「なんか今日は静かだねー、まさにデート日和?」
「もう。龍麻さんたら。でも、やっぱり希跡は自分で起さないとダメなんですね」
「?」
「さっ、早く行きましょう。今日はずっと二人きりなんですから。」
―って言うか明日も明後日もずっと・・・・
「ねえ、さやかちゃん。京一先輩が昨日から見あたらないんだ」
「あら?忙しいのよ、きっと。」
土の中でね・・・・Tくすくすくすくすくす・・・U
げに恐ろしきは女の愛・・・・
【おしまい】