「飼い犬が手を噛むので2」

 龍麻は犬を1匹飼っている。
 名前は「ハリー・フランシス・トルーマン」(龍麻命名)
 仔牛ほどもある巨大な犬だ。目付も三白眼で色もドス黒い。真っ黒ではなく灰色が交っていてドス黒い。
 お世話にも可愛いとは言えない犬だ。
 でも、龍麻はカワイイ×100とよく叫んでいる。
 「トルーマンは可愛いぞー♪あの目も毛なみもー♪ソレに賢いしー♪あああーかわーいいーーーー!!!!」
 で、だいたい締めだ。
 たしかに毛なみは良い。(毎日ブラッシングしているらしい)
 それに賢い。(前に紅茶を出してもらった。器用なものだ)
 でも、目付きは悪いし、口元は・・・いつも不敵に笑っているように見える。(犬ってあんな口元だったか?)
 僕も犬は好きだが・・あの犬は可愛いとは思わない。

 「えっ?だってマジで可愛いし。何か変な事言ってるか?」
 犬の写真を蓬莱寺君に押しつけながら龍麻が聞いてくる。
 ちなみに写真に犬は龍麻のカメラの腕により怖さが1.5倍(当社比)になっている。
 「アニキー♪ワイも犬は好きやで♪」
 劉君が会話にまざってくる。
 「食うとウマイしな♪」
 「秘拳・黄龍♪」
 ああ、今日の黄龍はよく飛んでるね・・・
 (しばらくお待ち下さい・・・)
 「フー♪」
 劉君をミンチ状にした龍麻がさわやかに帰ってきた。
 手甲に付いた血が鮮やかだ。
 「さては壬生クンやきもちを焼いているね?」
 「・・・・違うよ」
 「ふーん」
 ・・・なにをニヤニヤしているんだい。
 「よーっし。おい!そこのミンチ肉!コンビニ行ってカメラ買ってこい・・・・3分で。」
 「アニキー、それは殺生やー」
 「うるせー!弟なら行け!今度はハンバーグにすっぞ」
 かわいそうに・・・旧校舎237階からコンビニまで3分か。
 「hh〜アニキお金は・・・」
 「ん?ホレ」
 100円か・・・
 「うわー!!!!」
 泣きながら猛ダッシュする劉君・・・悲惨だな・・
 「ええっと、コレで写真はオッケーっと・・・おい!そこのテメェ」
 蓬莱寺君を指さす。
 「・・・・ナンダ?ひーちゃん」
 「クシと首輪と鎖買ってこい。色は濃紺か黒な、もちろん革製。5分で戻らなかったら親友の縁切るから♪」
 50円を渡しながらそんな事を言うかね君は・・
 ・・・・・・・・・
 血の涙を流しつつ蓬莱寺君が走る。頑張れ。
 「ところで龍麻何をする気だい?」
 「あっ?決ってるだろテメーの写真をとるんだよ」
 何か嫌な予感が・・
 「で?」
 「自慢する。トルーマンみたいにT僕の恋人だぞーUって・・・嬉しい?」
 「・・・・悲しい」
 恋人という言葉に喜んでいる自分も含めてね。
 「それにしてもアノ2人おせーな、殺すか?なあ、壬生」
 ああ、好きにしてくれ。
 でも、首輪と鎖はゴメンだよ・・・・


 トルーマン出てないね・・・ま、いいか
 私はあんまりペットかわいがらんけど、自分とこの犬と猫が世界で一番かわいいと思っている。兄はもっと重症・・・・でも、ペット飼ってる人って皆そう思ってないかい?
 とりあえず龍麻の中では壬生とトルーマンは同等らしい。
 犬以下じゃないだけマシだと思う。
 

 
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