「いぬせんせとぼく3」
「じゃあ、みんなー首輪の無いわんちゃんには近づいちゃ駄目だよー」
『はーーーい』
東京新宿の某幼稚園。
最近この近所で野犬に子供が襲われる事件が有り。
注意を呼びかけている。
とはいえ4歳児がどこまで理解してるかは謎である。
そしてその中で一人、別の心配をしている園児が居た。「せんせ」
「はい。何かな〜?龍麻くん」
緋勇龍麻(4歳)。現在、親と離れて某犬神杜人氏の家に居候中。「くびわのないイヌはどーなるん?」
「首輪の無いわんちゃんは保健所って所にいくのよ」
「そいで?」
「それでそこで新しく飼ってくれる人を探すの」
「さがされへんかったら?」
「えーっと・・・」
「コロされんの?」
「わんちゃんはわんちゃんの天国に行くからかわいそうじゃないのよ」
・・・・・
「龍麻くんはわんちゃん飼ってたの?」
「かってないけどいるよ」
「それじゃあ、ちゃんと首輪付けて鑑札付けてれば大丈夫よ」
「かんさつ?」
「【これは誰のどこのわんちゃんです】って札よ」
「それつけてたらだいじょぶ?」
「そう、大丈夫よ・・・って龍麻くん!どこ行くのーーー!」
(最近ちゃんと幼稚園来てるから油断したわー)
新人保母は今日も大変である。くびわ、かんさつ、くびわ、かんさつ、くびわ、かんさつ、くびわ、かんさつ、
たしかおもちゃばこに、くびわあったはず・・・・・
ガサガサガサガサ・・
あった!
あとは、いぬせんせ、いぬせんせ。
「・・・龍麻。また、幼稚園から連絡があったぞ。ちゃんと行け・・何を焦ってるんだ?」
「あっ、せんせはやくコレつけて」
・・・首輪・・・
・・・これを付けろと?
「・・・龍麻。ふざけるんじゃない」
「せんせ、はやくつけないとほけんじょがーつれにくんのー」
保健所?
「そいで、でんきでビッってされんのー」
ビッ?
「くびわないとしんじゃうよー。せんせしんじゃヤー」
・・・・・・
「でも、くびわとかんさつあればだいじょぶ。はい」
にっこり笑う龍麻に裏は無く。
コイツが心から心配して言ってるのは解る。
解るのだが・・・・
「龍麻。ちょっとこっちに来い」
「ん」
素直にやって来た龍麻を胡床をかいた上に座らせる。
「いいか、龍麻。俺は犬じゃない」
「せんせ、いぬちゃうの?」
「お前の母親が何を言ったのかは知らんが俺は犬じゃない」
「でも、せんせヒトじゃないよね?」
「ああ、俺は・・・狼だ」
「オオカミはくびわなくてもだいじょぶ?」
「大丈夫だ」
「かんさつなくてだいじょぶ?」
「戸籍があるから大丈夫だ」
偽造ではあるが一応持っている。
「・・・しんだりせーへん?」
「死なん」
「じゃ、だいじょぶだ」
「良かったな」
「よかたー」
ぎゅーっとしがみついてくる。
方向性はまちがっているが優しい子だな、お前は。
「せんせ、ながいきしてね」
「わかったわかった」
言われなくても俺の種族は長命だ。
「せめて、おとさんとおかさんがかえってくるまでいきててね」
・・・お前、さらっと酷い事を言うな・・・そういえば・・・
「お前この首輪はどーした?」
「ん?おかさんがT杜人ちゃんと暮してたら絶対に必要になるからねUってここくるまえにくれたん」
「そーか」
加代、弦麻・・・楽しんでるだろお前ら・・・「くしゅん」
「どした?加代ちゃん。風邪か?」
「んー誰かが噂してるみたいね」
「杜人くんか?」
「多分。どの嫌がらせの件かしら」
「どれだろーね」
「もー杜人ちゃんはイジメがいがあるから。」
「まったくだね。加代ちゃん」
「フフフフフフフフフフフ」
「ククククククククククク」
「・・・どーでもいいが戦闘してくれ・・二人共・・」
ゾクッ
「!」
「せんせ?どした」
「いや、なんでもない」
今もの凄い悪感が・・・・そして、次の日。
「せんせ、おはよー」
「おはよう龍麻くん(今日は脱走しないでよ・・)」
「そういえば、昨日のわんちゃんの話はどうなったの?」
「ん?いぬせんせはコセキあるからだいじょぶだって」
・・・・戸籍?
「そいじゃね。せんせ」
「あー!どこに行くの龍麻くん!幼稚園はこっちよー!」
そして今日も新人保母は大変なのである。ちなみに問題の野犬は犬神先生に恐れをなしてこの付近からは居なくなりました。
なんだかんだで、仲良く暮してる二人です。
犬神先生は絶対に偽造戸籍だと思うのですがどうでしょう?
あと、加代と弦麻に話かけてるのは神夷くんです。