「白昼夢（別バージョン）」
「壬生。この本おもろいぞー」
と言って龍麻が漫画本を貨してくれた。
僕は不断漫画なんてまず読まない。
でも、その時は何となく読んでもいいかなという気になって読んでみた。その本はエイリアンと少女の話で。
エイリアンに共生された少女の手がドリルみたいになったり。
髪の毛がコイルみたいだったり。
絵は可愛いのに結構血生ぐさかった。「おもしろかったよ。はい」
「そうか。それは良かった・・・・」
「漫画はあんまり読まないけどね」
「おもしろかったか？」
「うん。結構ね」
「でさ、もしもな・・・」
「ん？」
「もしも僕が※※※※※だったらどうする？」
「え？」そう言って龍麻は自分の腕をもぎとった。
その下には・・・・・・・・・
ガバッ！
「うわぁぁぁぁぁぁ・・・・・ぁぁ・・・ハーハー」夢だった。
横では龍麻がいつものようにスヤスヤ寝てた。
「・・・・夢・・・・」
そこから朝まで１睡もできず、しかたなく隣りで寝てる龍麻を監視していた。しかし、予想通り何も起きず朝が来た。
「壬生。眠そうだなー」
「まーね」
眠くて朝御飯が喉を通らない。
「無理せずに学校サボれば？」
「そういう訳にはいかないよ」
朝御飯はあきらめて流しに捨てる。
ちょっともったいない。
「しかし、なんで一緒に寝たのに寝不足になるかな」
「・・・・イヤな夢を見てね・・・」
イヤというか怖い夢だけど。
「夢ねぇ・・・」ジャー・・・・・・
背中に龍麻の声を聞きながらお皿を洗う。
少しでも手を動かしておかないと寝てしまいそうだ。
「なーどんな夢？」
「言いたくない」
ジャージャー・・・・・
「僕に関係あるか？」
「・・・少し」
「フーン」ジャー・・・ジャバジャバ・・・・
「龍麻」
「ん？」
「多分・・・・ゆっくりとだったら驚かないでいられると思うんだ・・・急にだったら驚くけど・・・少しずつなら」
「大丈夫？」
「・・・・・・多分ね」
「フーン」
ジャー・・・ジャブジャブ・・・・・「じゃあさ」
ザー・・・・
「今は？」
ザーザー・・・・・
「ゆっくり振り向いてみれば？」
ザーザーザー・・・・・・
「驚かないでいけるかな？ククク・・・・」
ザーザーザーザーザー・・・・・
水がシンクにドバドバ流れて、お箸とかが流されて行った。
それを見るともなく見ながら、さっきの龍麻の言葉と自分の言葉を考えた。―ゆっくりだったら多分大丈夫―
―なら振り向いて見れば？――大丈夫―
僕は確かにそう言った。
だから証明しないといけない。ゆっくりと・・・深呼吸して・・・・・
３・２・１・・・・・・ゼロ！バッと振り返った先にはトーストを囓っている龍麻が居て、僕の方を見てニコニコしていた。
普通の龍麻だった。「・・・・・龍麻、変ってないよ」
「ククク。結構ビビッてたな」おかしそうにしてる龍麻に少なからず腹を立てた。
初めて殺しに行った時より緊張した自分が馬鹿みたいだった。「・・・・やっぱり夢は夢だね」
キュキュッ
ザーーーーーー
苛立ったまま皿洗いを再開する。
本当にあんな夢を本気にして馬鹿だ。「現世は夢、夜見る夢こそ真実。ｂｙ江戸川乱歩」
カチャカチャ・・・・
ザー・・・・
「龍麻。何か言ったかい？」
「んにゃ。でもお前はもう少し目の前の事を疑った方がいいぞ。
例えば・・・・今の僕がさっきまでの僕とは限らない」「・・・・・・え？」
ザーザー・・・・・
ザーーーーーーーーーー・・・・・僕は龍麻に背を向けて皿を洗っている。
正確には洗っているフリをしている。
でないとこの僕の両側から不自然に伸びている龍麻の影が気になって振り向いてしまいそうになるからだ。やっぱりゆっくりとでも大丈夫じゃないらしい。
「壬生。ファイトー」
龍麻の呑気な声が少し怖い・・・・・・
上のに比べると少し前向き？・・・・でもないんですが・・・・
上のにも書きましたが、イメージがドリル族なんでウニョウニョした影
この２本を書く前に見たのが、映画「パラサイト」漫画「エイリアン９」小説「陰陽師」
コレでだいたいのイメージはお解りになりましたでしょうか
とりあえず壬生は博雅にはなれないという事で・・・・
どっちが好きだとか掲示板に書いていただけると嬉しいです・・・・最近本当にカキコが無いもんで・・・・