「江戸歯車・番外編―時々交鎖する時もある―」
何かが起きる時はいつでも突然です。
「どこですかーーーここはぁぁぁーーー」
はい今日も今日とてクルクル回る江戸歯車・・・・なんですけど・・・・
今日は少しいつもと違いますね・・・・「ああ、ナレーションさん。君も来てたのね(喜)」
はい、私も飛ばされたみたいです。
あ、御紹介が遅れました。
私は「フライング外法帖・江戸歯車」のナレーションを担当しているモノです。
こちらは同小説の主人公・緋勇龍斗さんです。
「・・・・で、ココはどこなのさ」
どうも今私達は「剣風帖」の世界に来ているようですね。
西歴に直しますと、1998年です。
「せんきゅうひゃくきゅうじゅうはちねん・・・?」
はい、私達の時代の300年後ですね。
「・・・また訳わかんない事に・・・・・」
とりあえず私は仕事をしますので、龍斗さんは好きに行動していて下さい。
「へいへい。フォローはよろしく」
了解しました。「・・・・・なんか視線が痛いんすけど・・・」
時代が時代なだけに着物姿の龍斗さんは非常に悪目立ちしております。
しかも龍斗さんの着物は着流しとかではなく、まるでマタギのような恰好だった為さらに人目を集めてしまっていました。
「だってさー山だとコッチの方が便利なんだぞー。動きやすいし」
・・・・・私としゃべらないで下さい。
もっと視線を集めてるじゃないですか。
「・・・・だったら何とかしてくれよー」
はいはい、それではソコの角を曲って下さい。
「へい」
次にそこを右です。
「へいへい」
もう少し歩いて・・・・・はい、着きましたよ。
「・・・・何ココ?」
ここは真神学園です。
この時代の寺小屋といった所でしょうか。
とにかくココにこの時代の貴方が居る筈ですから助けて貰って下さい。
「ヘーイ」「ふーんココがガッコウかぁ・・・・」
あのー人目を引くんですからもう少し静かに移動して下さい。
「解ってるけどさー。珍しくて☆しかし変な建物だなー。城みたい」
土地が狭くなったのでこの時代の建物は皆上へ上へと伸びたのですよ。
「へー、300年で日本も狭くなったもんだ」
人口が倍々ゲームしていった結果ですね。
「大変だね、そりゃ」
あ、そこの部屋です。
無駄とは思いますがなるべく目立たないように入って下さい。
「ほいほい、ではそーっと」
と言って後ろの戸をソロソロ開けますが、案の上人に見つかりました。
「あっれー?ひーちゃん、さっき京一と屋上に行かなかった?それにその服どうしたのさ?」
見つけたのは茶髪の少女、桜井小蒔さんでした。
(なんか知ってるぞこの子)
彼女は小鈴さんの御子孫ですよ。
(なーるほど)
それより龍麻さんは屋上に居らっしゃるそですから急ぎましょう。
「どうしたの?ひーちゃん」
「あーいやいや何でもないって☆それよりちょっと急いでるからまた後でな」
「もーすぐ授業始まるから早くね」
「了解」
それにしても着物姿でもあまりツッコまれない貴方って何なんでしょうね。
「いや、そんな真面で聞かれても・・・」
この場合助かりますが・・・・・
あ、そこの扉ですね屋上は。ガチャッ
「むー風が強いー」
屋上ですから。
「ウワー!!!!!何だ????ひーちゃんが2人!!!!!」
「黙れ京一」
ゴス!
今沈められたのが蓬莱寺京悟さんの御子孫、京一さんです。
「皆顔一緒だねー」
それは言ってはいけません・・・・・・
「よっ、300年後の僕」
「よっ、300年前の僕。どしたんよ、急に」
「いやーそれが何が何やら訳わかめで」
「ホウホウ」「・・・・ウ・・・・ウウン」
お2人共、京一さんが目を覚ましそうです。
「んじゃ、場所かえるか」
「あーじゃあ、お父さんに会いたい」
「よっし」
そしてそのまま屋上から飛び降りました。「・・・・久しぶりだなと言うか・・・何と言うか・・・・」
思いっきり仏頂面の犬神杜人さん。
何というかイメチェンされましたね。
「300年たってるからな」
「あーお父さん。ナレーションさんとしゃべってる」
「仕事しろーナレーション」
――しますよ失礼な。
「で、龍斗。お前どうやってココに来たんだ?」
とりあえず2人にコーヒーを入れてやって話を聞きます。
「・・・・っていうかお父さん。コレ何?」
「おー昔人的発言。これはコーヒーといって、その昔アラブの偉い坊さんが刺激を求めて娼婦とカフェインパーチーを開いた事が始まりとされる淫乱剤だね」
ゴス!
「人の息子に間違った知識を植えつけるな!」
「・・・・お父さん。息子に淫乱剤を!」
「お前も真に受けるな!」
「ぎゃはははは、楽しー」
あのー話戻して下さいませんか・・・・
私達早く帰らないといけないんです・・・・しくしくしく・・・・
「しまったナレーションさんを泣かしてしまった」
「あーなんかコレ甘いぞー。苦みの入ったお汁粉っぽいなー」
「・・・・・お前はコーヒーから離れろ」それでは真面目に帰る方法を考えましょうね。
「「はーい」」
「そもそもの原因は何なんだ?」
「んー原因かー。何があったっけ?飛ばされる前って」
確か、幕府側と交戦中でした。
貴方に京悟さんが斬りかかって、それで・・・・
「ああ、そういえばそうだった。でもそこから後がどうも思い出せん・・」
「・・・とりあえず原因は京一か、後でシメとこう」
・・・・彼は関係無いと思いますが。
「で、斬られたのか?」
「そこの所もよく解らんです。斬られたような・・・手甲で弾いたような・・・」
「・・・・ていうか僕よ、お前手甲付けてへんで」
「あり?」
そういえば、いつも付けている手甲がありませんね。
「戦闘中に手甲付けてへん訳がないんやけど・・ありー?」
やっぱり早く元の時代に戻りましょう。
戻ればすべてがはっきりしますよ・・・・多分。
「戻るのはかまわんが、そもそも戻り方が解らないからこうやって話してるんじゃないのか?」
犬神さん鋭いです・・・・・
「その事なんすけど、考えてみれば今ココには2匹の黄龍が居る訳でしょ?」
ええ、そうですね。
「2匹も黄龍が居たら何でもできると思うんだけど・・・・」
・・・言われてみれば・・・・っていうかそういう事はもっと早くに・・・
「あーそういやそうだーねー、まったく考えんかったわ、はははは」
・・・・・龍斗さん貴方も・・・・・・それでは何とかしていただけますか?お二人共。
「何か怒ってないですか?まーいいか、それでは!技の1号緋勇龍麻!」
「力の2号っって僕が2号?順番だと僕が1号だろ?」
「いやだ!僕は1号がいい!」
「セコイぞ!」
「五月蠅い!!!!!さっさとしろ!!!!!!!」
・・・・・ありがとうございます。犬神さん。
「・・・かまわん」「・・・・そんでは、1999・黄龍」
「・・・え?えーっと、1699・黄龍」
「「せーの」」
『ダブル黄龍螺旋』ギュルルルルル・・・・・フォン
・・・・・これはワームホールですね。
「そ、お別れの時間も欲しいだろうからこの形にしました。それにコレを開けるの2回目だし」
「流石は僕!恩にきるぞ」「それではお父さん。帰ります」
「ああ、気をつけてな」
「・・・・お父さん」
「何だ?」
「・・・・・・僕が死んだ時・・・・・泣いた?」
「・・・・・さあな」・・・・頭がしがし撫でてますね。
「先生の照れ隠しっす。いいなー僕」
その辺ややこしいですよね。
「まあ、アレは僕であって僕じゃないからね。その点、先生は先生だし」
どっちが良いかなんて私には解りませんけどね。
「それは僕にも解らんて・・・あ、やっと来たぞ」
そういえば、私すっかり仕事忘れてました・・・・。
説明しておきますと、今ココは旧校舎地下5階です。
「生物室じゃ、ワームホール開けれんからね」
「おまたーって何?何の話?」
「何でもねー。それよりも、もういいんか?」
「いいよ?帰ってもお父さん居るし。んじゃ帰ろっか?」
はいはい、待ちくたびれましたよ。「んじゃ、元気でな僕」
「そっちもな、貧乏なんだろ?頑張れよ」
「うるせーバカ」
それではお二人共、また300年後にお会いしましょう。ヴヴヴヴヴ・・・・・・ヒュンッ
「あーあー帰っちゃったか」
「なんだ、寂しいのか?」
「・・・・・それは先生でしょうが」
「・・・・・・・何で俺が」
「でも大丈夫です!先生には僕がおりますから!」
「・・・・・・居なくていい」
「うわ、冷た」
「フン、さっさと戻るぞ」
「へいへい」「いやー、まさか斬られてたとはね☆」
「ね☆じゃないですよ。どれだけ皆心配と思ってるんですか」
「そうよ、3日も昏睡状態だし。死ぬかと思ったじゃない」驚きました・・・まさか元の世界に戻ったら3日もたってたなんて・・・その間、ナレーションはどうなってたんでしょうね?
「うーん解らんけど、いいやん楽しかったし♪」
「こっちは楽しくねぇぇぇぇぇー!!!!!!!!!!」
天戒さんの怒りも解らなくはないですが・・・・・・大変だったんですよ・・ねぇ?「あははははははは」
「笑ってんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇー!!!!!!!!!!」ハァ、疲れました。
それでは今日の歯車はこのへんで・・・・・・・・
江戸歯車番外編です。本編読んでても解りにくかもしれません・・・・
とりあえず、ウチの龍斗と犬神は養子と養父の関係です。
本編もまだですが、龍斗は最終的に鬼道衆に入隊します。
その頃の話です。
「剣風帖」で柳生に斬られて「符咒」の世界に行ったじゃないですか、だから「外法帖」で斬られたら「剣風帖」の世界に飛ぶのかなーと思って書いてみました。
まあ、書きたかったのは、「犬神先生」と「息子だった龍斗」ですけどね。
良いのです!楽しかったから!
っていうか書いてる時に4回もフリーズして泣きそうになりました!あーガッデム!