「江戸歯車番外編・弐―とあるバートタイマーの1日―」

 どうも!緋勇龍斗です。
 僕は只今鬼道衆とかいう所でパートタイマーとして働いてます。
 いやー何て言うの、やっぱ定期収入はいいよね☆って毎日です。
 しかもこの職場、殆どが夜の仕事なんで昼間はゴロゴロできるし。
 いい職場だよ本当。
 まー・・・・問題が無いわけじゃないけどね。
 それはそれとして今日も今日とて座布団の上で日向ぼっことしゃれ込んでいるのです。

 「はぁー、今日もいいお天気だーねー」
 ここ(天戒家)は実家のボロ寺と違って日が当たり放題なので日向ぼっこにはもってこいなのだね。
 「にゃーーーーーー」
 うーん極楽。
 (暇なパートである。我ながら)

 「・・・龍斗。龍斗」
 ん?誰か呼んでいらっさるね。
 見ればそこの角から泰山さんが手招きしておりました。
 「泰山さん。何か用っすか?」
 この人泰山さん。お山の木こりさんだったらしい。
 何か色々あって幕府に恨みがあんだって。
 (というかココはそんな奴のたまり場だけどさ)
 普段は気のいいおじちゃんで僕的には好きな人。
 (お山の匂いがするしね)
 「お館様には内緒にな」
 そう言って僕に何か握らして、どっか行ってしまった。
 手を開いたら木彫りの狼が入っておりました。
 「前に好きだって言ったの覚えててくれたんだー」
 ニャー嬉しいなー。

 お父さんに帰ったら見してあげようと思ってニコニコしてたら向こうから今度は御神槌さんがやって来た。
 「おハロー御神槌さん」
 「やあ、ご機嫌だね」
 御神槌さんはキリシタンなんだわ。
 まー言うまでもないけど幕府に恨みありんすの人ね。
 「?どうかしたかい。龍斗くん」
 「いえいえ何にも」
 「あ、そうそういいものあげるよ」
 そう言ってくれたのは卵。
 でも絵が描いてあった。
 (鳥とか花とか)
 「これはイースターエッグっていうんだよ。すぐ壊れるから大切にね」
 「へー」
 キリスト教には色々行事があるとは聞いてたけど、これは綺麗だなー。
 「ありがとう」
 「いえいえ、どういたしまして」
 で、そのまま行ってしまった。

 「イースターねー」
 とりあえず割らないように少し離して置いておく。
 自慢じゃないが僕はよく物を壊すからね。
 「ーって!踏むなーーーー!!!!」
 いきなり部屋から出てきた男が卵を踏みそうになったので、思わず掌底・発勁をぶちかましてしまいました☆
 「あー良かった卵が無事で」
 「・・・・・俺の無事は無視か?」
 ギロッとコッチを睨んでいらっしゃるのは火邑さん。
 ハッキリ言って凶暴な方です。
 「ハハハ、まあ気になさらずに」
 「手前ェなあ」
 なんか手のカギ爪で威嚇されてるけど無視。
 あ、この人両手がカギ爪なんだわ。
 ちょっと面白いと思う。
 「いやいや、だって火邑さん。卵踏みそうになるんですもん」
 「卵?」
 「コレ」
 見してあげたけど興味は無さそう。
 「つまんねー」
 うわっ非道い。
 「そんなつまんねー物に喜ぶなよ。っとコレやるよ」
 そう言ってくれたのは小型の爆弾。
 いいんすか?
 「お館様には黙っとけよ。うるせーからな」
 そう言ってドタドタとどっかに行っちゃいました。

 「爆弾もろてもなー」
 ハッキリ言って物騒だっちゅーの。
 魚採りにでも使うか。
 とか思ってたら向こうから今度は弥勒さんがやって来た。
 「弥勒さん。こんちわ。いい天気っすね」
 弥勒さんは片手で面打ち師で、無口でちっと雰囲気がお父さんに似てるのだ。
 そして頭のバンダナがどうやって巻いてるのか謎の人。
 「・・・・・・」
 「弥勒さんも日向ぼっこですか?」
 黙って僕の横に座ったのでそうかな?って思ったのだ。
 そのまま二人で黙って日光浴していた。
 あーポカポカ。
 目を閉じてぼーっとしてたらいきなり真っ暗になった。
 「わー!何だー!」
 って慌てたけど、原因は何て事なく弥勒さんが僕にお面を被せただけでした。
 「あっ、面。新作ですか?」
 どうやら龍の面らしい。
 僕が作るのと違って格好いい。
 いいなー。
 って弥勒さん去りかけてますがな。
 「弥勒さん。面、面忘れてます」
 「・・・・・やる」
 ・・・・プレゼントでしたか。

 「弥勒さん。もう少し喋って欲しいなー」
 どうも何を考えてはるのか解りにくい。
 まーお父さんもそうだけど・・・
 「何おもしろい顔してるのさ?」
 香の香りをさせながら桔梗さんがやって来た。
 「何でもねーっす」
 桔梗さんは鬼道衆の数少ない女性の一人。
 噂では天戒に惚れとるらしい。
 「暇ならおにぎり作るの手伝って頂戴。今夜仕事が有るみたいなのよ」
 「了解」
 てな事でポカポカ縁側から薄暗い炊事場へと向かいます。
 ニギニギニギニギ・・・二人で山のように握り飯を作ります。
 「相変わらずいい手つきね」
 「まーお父さんが何もせんからね」
 本当動かない親を持つと小技が増えるよ。
 「はい、もういいわ。これはお駄賃ね」
 そう言って小さい握り飯を一個貰いました。
 「天戒様に見つからないようにしなさいね」
 そのまま桔梗さんは夕飯の用意を始めたので僕は炊事場を後にしました。

 「んーやっぱ握り飯は美味い。」
 ムシャムシャ食べながら歩いていたら、横の障子がスーッと開いて、
 「・・・龍斗くん」
 引き込まれました。
 「ギャーーーーーーー!壬生ーーーー!!!!」
 「何か私だけ扱いが違うよね」
 「当たり前だ!離せ!!!!」
 僕を羽交い締めにしてるのは壬生霧葉。
 元新撰組の見た目クールガイ。
 でも中身が変!それはもー変!
 はっきり言って苦手っつーか恐い。
 「まあまあ、龍斗くんに似合う首輪を買ったんだ」
 「ー何がまあまあだ!離せーーーー」
 ちなみに犬フェチ。どうも僕が犬に見えるらしい。
 眼科を進めたが無視された。
 「君からは犬電波が出てるんだよ」
 スイマセン!意味が解りません。
 つーか解りたくありません。
 「とーにーかーくーはーなーせー!!!!」
 「(ボソ)ワラビ餅」
 ピクッ
 「・・・・今何て?」
 「(ニッコリと)龍斗くん。ワラビ餅食べる?」
 「・・・・・・・・(撃沈)」

 拝啓、お父さん。
 貧乏故に僕は堕落しております。
 すべてはお父さんの所為です(涙)

 思いっきりトボトボと歩いております。
 ええ、ワラビ餅は大変美味しゅうございました。
 あの餅と黄粉のハーモニーが・・・・
 ・・・駄目だ、堕落している・・・・
 そう僕はこの瞬間から心を入れ替えるんだ。
 もう食べ物に釣られて色々される人生からは足を洗うんだ。
 うん!決めたぞ!

 「おー龍斗。和菓子食うかー?」
 スイマセン思いっきり出戻りそうです。
 あーくそこの們天丸めー!
 よりにもよって今かい!
 でも們ちゃんの持ってる和菓子は高価そうだ・・・・
 きっとまた花街で貰って来たんだ。
 この目の前のデーハーな男は自称「們ちゃん」こと們天丸。
 暇さえあったら遊郭周辺を彷徨いている両刀の遊び人。(一度この男にキスされた)
 遊郭は僕も一回連れて行ってもらったけど、綺麗なお姉さんにお化粧してもらって綺麗な着物を着せてもらって大変楽しい所でした。あと、お菓子ももらいました。
 (あとで聞くとそれは遊郭での遊びでは無いらしい。ハテ?)
 「どうした?いらねーのか?ホレ」
 ・・・ああ、何時の間にやら目の前に和菓子が・・・・
 食べたい!
 もの凄く食べたい!
 でも們ちゃんと壬生は食べ物で釣った後は絶対色々するから油断は禁物なのだ。
 「食べねーんなら俺が食っちまうぜ」
 「ぬぁー!!!食べるーーー!!!」
 スイマセン、堕落しました。
 ああでも黄味餡が・・・・・・(悦)
 ・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・
 ・・・・・・
 ・・・・
 ・・
 ・

 解ってますがな、僕に隙が有るのが悪いって。
 もー早く座布団に帰って日光消毒しよー・・・・(すでに日光浴では無い)
 ギッシュギッシュ・・・
 ギギギギ・・・・
 この変とこりんな音は・・・
 「雹さん?」
 「・・・・・」
 この人雹さん。
 足が悪いらしくて、いっつもガンリュウと言う自動人形に乗ってはる。
 一回乗せてって言ったけど乗せてくれなかった。悲しい。
 ちなみに結構美人さんなんだけどすっごい無口。
 多分、会話した事あるのって天戒くらいだと思う。
 「雹さんこんちわ。ガンリュウも元気(?)そうだーねー。散歩?」
 「・・・・・・・・」
 やっぱり無口さんです。
 で、今僕は前から来た雹さん&ガンリュウに通せんぼされた形になってたりする。
 ちょっと通して欲しいなー、なんて。
 「・・・雹さん、何か用ですか?」
 「・・・・・・・」
 聞いたら黙って手鏡を渡された。
 くれるのか?
 と思ったけど、どうも僕の口(というか顔)に何か付いてるらしい。
 見ろって事だね。
 で、のぞき込んだら・・・・
 「・・・・紅・・・・」
 クハー!さっき們ちゃんに付けられたやつだ!
 くそーあの場で全部取ったと思ったのにー。
 口が真っ赤だ!イヤー!
 袖口で拭こうとしたら、雹さんがチリ紙をくれた。
 「・・・ありがとうございます」
 ちょっと笑ったように見えたのは気のせいか?
 お礼を言って鏡を返したら人形をくれた。
 ちなみに首が無かった・・・・
 失敗作?
 背中に「首モゲラー弐号」と書いてあるのがスンゲー気になった。
 雹さんのこーゆー所嫌いじゃないです・・・・
 でも弐号?

 「あーやっと座布団到着ーってのけぇー!!!!!」
 やっと安住の地(座布団)に戻って来たらそこにハゲが!
 「ハゲー!ハゲー!僕のおザブがーーーー」
 「おいおい人の事をハゲハゲ言うなよ」
 「うっさいわ!ハゲ!」
 このハゲは九桐尚雲。天戒の従兄弟で僕をココにスカウトした奴。
 得意技は槍らしいけど、僕に負けるんだから大したこと無いと思う。
 「・・・お前が人並み外れて強いんだ。人聞きの悪い事言うなよ」
 「・・・人の心を読むんじゃねー。とにかくのけよ、長い道中帰ってきたんだから」
 ・・・なんか急にハゲがニヤニヤし始めたんですけど。
 つーかのけ!
 蹴りをかましたらやっとのいた。
 「また們天丸と壬生に遊ばれたのか?」
 ギク!
 その通りだよ。悪かったな。
 「龍斗は単純だからな」
 あー座布団が温まってて気持ち悪い。
 「遊ばれないですむ方法を教えてやろうか?」
 ・・・何?
 「・・・・マジ?」
 「教えて欲しいか?」
 「・・・・・・・・・・・・教えて」
 九桐がにこーっと笑って懐から何か取り出した。
 「あっ、ヒヨコ饅頭。」
 「ホーーーレ」
 ポーンと饅頭を庭へ。
 「あーーーー!もったいねーーーー!!!!!」
 思わずダッシュしてキャッチ。
 あー良かった饅頭無事でって裸足ですがな僕。
 「・・・・・・あーはははははは」
 ん?後ろでハゲが大笑いしておりますな。
 「遊ばれたくなかったら、その性格を直しな。出家するなら手ェ貸すよ
  あーはははははははははは・・・・・・」
 ・・・・もしかしてまた遊ばれましたか?
 ・・・遊ばれましたね・・・・
 ・・・・・・・・・・・
 ・・・・ガッデム!
 あのボケハゲ!
 ・・・・でも美味い。

 スネ。
 あーもー座布団から動きたくねー。
 夕飯まで寝とくー。
 ぐーーーー。
 ぐーーー。
 ぐーー。
 ぐっ。
 ・・・・・・重い。
 「のきやがれ!クリス!」
 「HAHAHAHA。バレましたか」
 背中熱い!つーか重い!
 「こーゆーナチュラルに鬱陶しい事すんのはお前だけだ!」
 「HAHAHA。サスガは龍斗。ボクのコトよく理解してくれるネ」
 ・・・してねーぞ理解なんか。
 「何でもいいから降りろーーー」
 今背中に乗ってんのは、異国のガンマン・クリス。
 なんつーか暑苦しい奴。
 外人てミンナこんなんか?
 「ヤッパリ龍斗とのスキンシップが一番楽しいネ♪」
 ・・・僕は楽しくねーっての。
 もーいいや、このまま寝ちまお・・・
 おやすみー・・・・・
 ぐー・・・・・
 「・・・龍斗?もう眠ったんですか?龍斗?」
 ぐーーーー
 「・・・・グッドドリーム見て下さいネ」
 チュッ
 ・・・・むー、なんかかゆい・・・
 ぐー・・・・

 ・・・・何か風が冷たくなってきたなー
 そろそろ起きようかなー・・・・
 って殺気!!!!!!!!

 ガバッ!!!!

 慌てて起きたらまぁ不思議、今まで寝ていた所に大きな鎌が。
 「って澳継!!!!!!!」
 「はい」
 うぉう!真横におりましたか。
 「これは何の真似かにゃー?」
 「いやー死んだように寝てたんで」
 あーやな予感。
 「そのまま死んで頂こうかなって☆」
 コイツは風祭澳継。
 おぼこい顔に似合わず性格はとってもブラック。
 つーかなんでか僕の命を狙ってるんだよねー。
 「いやー龍斗さんが来てから僕の立場が微妙なんですよ。だから死んで欲しいなー」
 なんでそこで満面の笑みを作るかなー・・・・
 「僕が死ぬ時はお前も道ずれにしてあ・げ・る。」
 負けじとニッコリしてやったら嫌な顔してどっか行った。
 まだまだ子供だーねー澳継は。
 で、この鎌はもろといてええんか?

 鎌は手に入ったけど、座布団が無くなってしまった。
 ・・・風も冷たくなったし、中に入るか。
 「・・・・良く寝てたな」
 障子開けたら天戒が居た。
 九角天戒。
 一応この鬼道衆の頭。
 で、僕の上司。
 「・・・おかげさんで。ここは寝やすくてねー」
 にこやかに答えてやったら険しい顔された。
 「本当にお前は何を考えているのか解らん奴だな」
 ・・・・それって、けなしてます?
 もしかして僕馬鹿にされてる?
 ヤっちまうか?コイツ。
 「・・・・・馬鹿にしてる訳じゃねーよ」
 本当かー?
 もう今日は朝から色々あったから疑心暗鬼だよ。
 「・・・・ただお前はいつも楽しそうだと思ってな」
 はぁ、まあいつも楽しいですよ?
 ご飯も食べれるし、お父さんにお酒も買ってあげれるし、ココは日当たりもいいし、皆良い奴だし(若干名除く)。
 「毎日イイ事ばっかりだぞ」
 そう言い切ってやったら天戒は驚きやがった。
 僕何か変な事言ったか?
 嘘は言ってないぞ?
 「つーか天戒はイイ事無いのか?」
 「・・・・・良い事か・・・」
 悩まないと出てこないとは不憫な奴。
 イイ事ってのはパーンと出てくる物だぞフツー。
 「よし!天戒寝よう!」
 「はぁ?」
 「お前頭疲れてんだ。だからイイ事も出てこねーんだ。だから寝よう!」
 どうせもうすぐ夕飯で桔梗さんが起こしてくれるだろうし。
 そうと決まればさっさと布団を引くべし。
 「ホレとっとと寝るぞ」
 布団の中から手招きしてやったら、しばらく悩んでから、諦めて帯を弛めて入ってきた。
 「・・・・布団一つに二人はキツイな」
 「・・・引いたのはテメーだ」
 だって二組引くの面倒じゃん。
 「いいから寝ろって」
 「解ったよ」
 そう言ってちょっと笑うと僕に背を向けて寝てしまった。
 僕もそのまま寝てしまった。
 

 そんな感じの一日でした。 
 


 


 江戸歯車番外編です。ストーリー的には「江戸歯車弐」から数ヶ月後って所です。

 本当は鬼道衆全員出したかったんですけど、時間無くてここまで。

 というかいきなり2名も追加すんなよ!って感じですか?(まさか比良坂が出てくるとは・・・)

 なんか如月2も・・・女だったらキャラ人気取れないと思ったから出した感が・・・・

 あと電プレ、龍斗シルエットに澳継使わないで下さい・・・イメージ変わってまいます・・・

 でもまあもうすぐですね(期待したいような・・・したくないような・・・)

 シュミレーションが前よりぬるいらしくてガッカリです(もっと難しくしてくれ)

 でも一番ガッカリしたのが・・・龍斗・・・円空和尚に育てられたん・・・そう(涙)・・・

 嫌いなんだよー!あの手のジジイ!!!!!(前回でいう龍山タイプですね)

 て、事で原作がどうだろうとウチの龍斗の父は犬神!それ以外は認めん!

 ともわれ久々のSS大変でした・・・・

 次からは早くしたいな・・・と・・思うのはいつもの事なんですが・・・・

 ミスフルも1本書いちゃったし・・・・しかも痛い話を・・・・・(その内心の準備が出来たらUP)

 だれかドリームの作り方教えて下さい(・・・・ちょっと待て)

 では!

 

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