「与える男」

 龍麻は夜に弱い。
 12時が彼にとってのタイムリミットらしい。
 初めて会った時もねむそうだった。
 Tなー、京一はあきらめて帰ろうぜU
 そんな事を言っては仲間に窘められていた。
 そんな彼が・・・

 「おかえり・・・寝る・・電気消しとけな・・」
 「ああ、おやすみ・・・」
 ベットルームへと消えていく彼の背中を見送る。
 壁の時計は午前3時45分・・・・
 何で起きていたんだろう・・・・

 また別の日
 また起きている。
 「・・・ああ、おかえり・・んじゃ」
 「龍麻」
 ベットルームへと行こうとする彼を引き止める。
 「ん?」
 龍麻がゆっくり左右に揺れている。
 ねむいのは解るが今聞かないと朝になればきっとはぐらかされる。
 「どうして起きてるんだい?」
 「・・・珍らしくストレートだな、いつもは回って回って外れた質問すんのに、珍しい」
 「一応真面目に聞いてるんだけど?」
 ゆらゆらしている龍麻をソファーに座らせる。
 「ど・う・し・て起きてるんだい?セミより朝型の君が」
 「うるせーよ。ゴキブリみたいに夜型のテメエには言われたくない」
 座りながらもゆらゆらしている。
 本当にねむそうだ。
 「・・・何か目が冴えるんだよ、意味はねーよ。だー!もーいいだろ!寝る!」
 そのままソファーに倒れて寝てしまった。
 ここまで夜に弱い人間がそんなに目が冴える晩なんてあるんだろうか・・

 それも僕の仕事のある晩だけ・・・

 「・・・双龍だからじゃねーのか?」 
 村雨さんはそう言うが納得できない。
 「いいじゃねーか。起きててくれて嬉しいんだろ?素直に喜こんどけよ」
 嬉しい?
 ああ、確かに仕事をした晩に彼が待っていてくれるのは嬉しい。
 光りの付いた部屋がむかえてくれるのが嬉しい。
 ・・・彼はそれが解ってて起きててくれるのだろうか・・・・
 「あんま難かしく考えんなよ」
 ・・・こういう性分なんです。
 

 「甘いですね貴方も」
 「そー思う我ながら」
 所変わって御門宅。
 二人の目の前にディスプレイには拳武館の極秘ファイルが写っている。
 「ダウンロードは壬生さんの所だけでいいんですね?」
 「スマンねぇ。ハッキングの手伝いまでさせて」
 みのお名物もみじ天ぷらを食べつつ龍麻。
 「たまにはこんなのも構いませんよ。それに今日は暇ですし」
 壬生のデータをフロッピーに落す。
 「来月は・・3日と16日と29日ですね。まあ、せいぜいがんばって下さい」
 「三日か・・まだましだな・・」
 んーっと伸びをする龍麻。
 たまたま目が冴えた、などと言いながら裏でしっかり壬生の予定を調べていた龍麻。
 「しかし、こんな事までして待つなんて理解しがたいですね」
 「いいの僕のポジションはイソジンのかばなんだから」
 とすると壬生のポジションはOLらしい。
 「・・・?よく解りませんが楽しいんですね」
 「まあね、ってお前も楽しそうだな」
 「ええ、あなたと居ると退屈だけはしませんから。はい、どうぞ」
 フロッピーを渡す。
 「壬生さんにはこの事を言わないんですか?」
 「言わん。壬生は言っても言わんでも悩むし。だったら秘密にしといて悩んでるのを見た方が楽しい♪それに、いつまでするか解らんし・・まあ、あきるまでだな」
 「・・・貴方は優しいのか冷たいのか解りませんね・・」
 「いいじゃないの、蜜月なんて短かいもんだし。その間夢の一つも見せてやるのも」
 ・・・・蜜月って・・・
 「まあ、またいつでもいらっしゃい。手伝ってあげますよ」
 「サンクス♪」
 結局は御門も甘い。

 
 「・・・・ただいま・・」
 「おかえり」
 今夜も起きている龍麻とそこに帰ってくる壬生。
 与える男と与えられる男。
 
  
 

 



 一応ラブラブな二人です。
 イソジンのCM好きだったんですけどもうしてないな・・・
 タイトルはユニコーンの曲名から・・
Tあんまり暗い顔して悩んでいるみたいだから、僕ならきっと力になれる♪不思議な力で〜♪僕の愛している人よ〜君はきっと生まれ変わる〜神も仏も引き連て君を幸せにしてあげる〜♪U
 この歌詩が好きです。(ちょっと略してますが)
 壬生主っちゅーか主比良だと思いますが・・
 暇なら探して聞いてみて下さい。アゲマンの歌ですが・・・
 
 
 
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