『愛だろ愛』

 IN・旧校舎
 「hhhhhhh、シ〜ボ〜ズゥ〜怪獣墓場には帰れたのか〜」
 龍麻はさわやかに混乱していた。(ちなみにシーボーズはウルトラマンの怪獣)
 「あーアニキが混乱しとる、よっしゃワイにまかせとき」
 はりきる劉だが、いかんせん行動力62ふぜいが行動力97の龍麻に追いつけるはずもない。
 「ジャミラはフランス人・・・個人的にはイギリスだと思っていたのに・・・」
 (同じくウルトラマン)
 マニアックな事をしゃべりつつ龍麻はさすらっていた。
 「だから混乱対性の装備をつけとけと言ったのに」
 「龍麻は魯班尺マニアですから」
 如月(行動力86)と壬生(行動力99)
 「私に行動力が残っていれば良かったのですが」
 「ま、しゃーねーわな」
 御門(行動力95)と村雨(行動力99)
 「しかし、ひーちゃんどこまで行く気だ?」
 「うむ、あのままだと毒沼につっこむな」
 京一(行動力58)と醍醐(行動力32)
 「うーん、ひーちゃん大丈夫かなーねえ葵・・・ってなにしてんの?」
 「あら、見て解からない?」
 小蒔(行動力28)と美里(行動力89)
 〔作者注・この行動力はマジで私のデーターの物です。愛と利用度に比例してます。〕
 ・・・・それはさておき、美里が何をしているのかというと・・・
 「それ、ひーちゃんのカバンじゃねーか。なに開けてんだ」
 「そうだぞ美里。いくら友人だとは言ってもかってに持ち物を覗くのはどうかと思う
  ぞ」
 「あら、だって未来のダンナ様の持ち物をチェックして何が悪いの?
 (菩薩スマイル・)」
 はっきりと言いはなつ美里さすがは菩薩ガン・・・比良坂がいなくて良かった。
 ガサガサ、ドサドサドサ・・・盛大にカバンの中味をまきちらす美里。かわいそうな龍麻(混乱中)。
 「これは、また」
 優雅に扇子をあおぎながら御門。
 「龍麻らしいと言えばらしいが・・・」
 ややアキレ顔の如月。
 「彼の部屋もこんな感じですね」
 そして壬生。
 足元にはガラクタ・・もとい龍麻のカバンの中味が散乱している・・・
 メンズポッキー・ウルトラ怪獣大事典全3巻・謎の瓶(中味入り)・携帯電話・ミニパソコン・ピアノの楽譜・手カガミマーブルチョコの箱(中はシャーペンとケシゴムとさし)・飼犬のミニアルバム・ビニール怪獣(バルタン星人)など、
 「・・・・これは、高校生のカバンか?」
 「醍醐、これは高校生のカバンじゃない・・・龍麻のカバンなんだ・・・」
 「そうか・・・そうだったな・・スマン京一・・」
 なぜかブルーな二人。
 「うふふふふふ、あったわ・・・・」
 美里が手に何かを持って笑っている。
 「それは・・・・」
 「ラブレターよ、うふふふふふふふ」
 確かに美里の手には封筒が5通握られている。
 「龍麻ったらモテるから・こうして私がチェックしてあげないと・うふふふふふふ・」
 ビリビリ・・・・
 遠慮なく手紙の封を開けていく美里さすがは菩薩眼。
 他のメンバーは美里が恐ろしいのと興味があるのとで見守っている。
 
 「ふにゅ〜ケムール人〜〜」(ウルトラQ)
 何にも知らない龍麻。(混乱中)
 「アニキ〜待ってぇなぁ」
 まったく追いつけない劉。

[1枚目・かわいいサンリオの封筒]
 「あら、これうちのクラスの子じゃない」
 うふふふふ、と乾いた笑いをもらす美里。
 「あ、ホントだ。やっぱ、ひーちゃんモテるねー♪ねっ葵・・・」
 ノーテンキな小蒔。しかし、振り向いた先には・・・
 草人形に名前を堀り付ける美里の姿があった。
 「葵!何してんのさ」
 「うふふふふふふふ、何でも無いわ・ただ、ちょっと・・・」
 ちょっと、って何〜〜〜
 「身の程知らずに制裁をね・うふふふふふふふ」
 「だめだよ、クラスメイトなのに」
 いい奴だな小蒔。でも、相手は菩薩だぞ。墓殺・・・
 「あら、何もしないわよ・」
 ホッとする小蒔。だが、話は続く。
 「ただ、たまたま彼女の頭上の灯りが落ちたり。成積表がローカに張られてたり。いきなり窓硝子が割れたり。階段にオイルが塗ってあったり。いきなり燃え上ったりしてもそれは私のせいじゃないわ・うふふふふふふふ・」
 「・・・・あ〜お〜い〜【涙】」
 「悪い虫は早めに駆除しないと・ねっ・」
 「ねっじゃねぇぇ」
 叫ぶ京一だが、京一と醍醐以外は皆ウンウンとうなづいている。
 「そのとうりだ、さすがは美里さん」
 「では、他のも開けてしまいましょうか」
 「うふふふふふ・さすがね、如月くんに壬生くん・龍麻のコレの事はあるわ・」
 さわやかに親指を立てる美里。どこが聖母?
 「お前らな〜〜〜【怒】」
 「うるさいぜ、蓬莱寺の旦那」
 「そうですよ、さっ次にいきましょう」
 残るホモ二匹。手紙はあと4通。
[2枚目・ブルーのイルカ柄の封筒]
 「おや、これは僕の学校の生徒だ。確か、水泳部・・・」
 で、手紙を開けているのは如月。
 「如月さん、それは好都合ですね」
 なにか嬉しそうな壬生。
 「なにが好都合なんだぁ」
 「ふっ、水は僕の十八番(オハコ)だ。もう忘れたのか?蓬莱寺?」
 「そういうコトじゃねーよ。テメーその子に何する気だーーー」
 「何もしないさ。ただ・・」
 またも、「ただ」がつく。
 「水はおもわぬ事故が起るからね」
 「テメーが起こすんじゃねえかぁぁぁーーーー」
 京一の正論つっこみ。

[3枚目・ピンクのレース柄の封筒]
 「これは、また少女趣味な」
 「どれどれ、こりゃ中学生ってとこだな」
 手紙を開封しているのは陰陽師とギャンブラー。
 「しっかし、長い手紙だな。名前はわかるとして、星座に血液型、誕生日に家族構成まで書いてあるぜ」
 恋する乙女によくある「私を知ってほしい」ラブレターである。
 「しかし、これは好都合ですね」
 セッセとメモする御門。
 「なぜ、メモをとるんだ?」
 京一は如月の所に居るので醍醐がつっこむ。
 「ふっ、呪いを掛ける時には相手の情報は多い方が良いのですよ」
 そんな事も解らないのですか、と言わんばかりの御門。村雨は横で笑っている。
 「そ、そうか」
 京一に比べると、つっこみ甘いね醍醐。
[4枚目・シックな紫の封筒]
 「今度はOLですか」
 手紙を読む壬生。
 「先生も手広いねぇ」
 「しかし、物好きですね。この人も」
 「テメーらも、そうだろ」
 つっこむ京一、でも御門が睨んでるぞ。醍醐は先ほどのショックから抜けきれていない。
 「・・・新宿区の・・・商事・・総務部・・・」
 今度は壬生がメモる。
 「何メモってんだ!壬生!」
 「いえ、今度この近くで仕事が・・・」
 「・・・・で?」
 「OL真昼の惨劇・・・かわいそうに・・」
 ・・・・さすがは嫉妬大王。一番ヤバイ。

[最後・普通の茶封筒]
 「こ、これは・・・」
 封筒を開けていた如月の手が止まる。
 「どうしました。如月さん」
 横から覗きこむ壬生。
 「おや、これは・・・」
 「こいつはやべぇな」
 顔を曇らす御門と村雨。
 「なんだよ?いったい」
 如月が無言で京一に手紙を渡す。
 「・・・・これは・・・」
 「どうした?京一?」
 京一は手紙を持って止まっている。
 その、手紙の差し出し人は・・・・岩山先生だった。
 「一応は、健康診断という事らしいですが・・・」
 「じゃあ、ナンでこんな深夜を指定してんだーー」
 「壬生に怒ってもしかたがないだろ」
 そう、壬生に怒ってもしかたがないのである。
 「じゃあ、どうすんだ?ひーちゃんの貞操の危機だぞ」
 「京一、龍麻は男だぞ・・」
 「だから危ねーんじゃねーか」
 「うむ・・・」
 相手は、あの岩山先生である。
 「龍麻は行くでしょうね」
 「ああ、フェミニストだからな」
 そう、龍麻は美人にのみやさしい京一と違い、女であればだれにでもやさしいのだ。
 もちろん、岩山先生にも【愛】を使う強者である。
 「ヤベエってマジで!」
 hーん、皆で頭を悩ませる。
 「ひとつだけいい手があるわ」
 にっこりと美里。
 「ナンだよ、いい手って」
 「イケニエよ・」
 「イッイケニエ・・」
 ちょっと、ビビリぎみの醍醐。
 「そうよ・龍麻より先に男の子が入院すれば先生の目はその子に向くわ・」
 「それはいいけどよ。そんなにうまくいくのか?」
 「いくのよ・京一くん・」
 満面の笑みの美里。心なしか目が光っている。
 「げっ、ま・・さ・・か・・」
 「うふふふふふふふふふふふふふ・」
 逃げようとする京一の腕がムンズと掴まれた。
 「どこに行くんだ?蓬莱寺」
 「そうですよ。蓬莱寺君」
 「まっ、かわいがってもらいな蓬莱寺の旦那」
 右に如月、左に壬生、後ろに村雨。
 「せーの、紫龍黎光方陣」もちろん村雨発動。
 ドォォォン
 「うふふふふふ・」
 美里の手には携帯電話。かけるのは、モチロン・・・
 「もしもし、あっ高見沢さん?先生は・・それじゃ、これからそちらに暗闇にかかったサルが行くってお伝え願えるかしら・うふふふふふ・」
 「ついでに、毒と混乱もですよ」
 「あら・御門くんたら・ええ、それじゃ・先生によろしく・」
 足元に倒れているサルを見卸しながら楽しげな美里。
 他のメンバーは各自手紙を片手になにか相談している。
 唯一マトモな醍醐は混乱している龍麻を見てタメ息をついた。
 「龍麻、混乱している方が幸せかもしれんな・・・」

 「だから〜アンヌ隊員の後ろに居たのはペガッサ星人なんだ〜」(まだセブン)
 「アニキィ〜〜まってぇ〜な〜」(涙声)

 後日、3―Cで天使の襲来があったり、水泳部のプールに水柱が立ったり、中学生が突然カエルになって車にひかれたりOLが真昼間に通り魔に襲われたり、桜ヶ丘から夜な夜な男の叫び声が聞こえたりしたとか、しないとか・・・
 まだ、龍麻が旧校舎で混乱してるとか劉が半泣きで追っかけているとか色々あったりするのである・・
                                               【おしまい】

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