「6月13日・けっこう晴れ」

 今日は僕の誕生日です。
 ついでに母の命日です。
 さらについでに父の命日でもあります。(母の死からきっかり1年後なのだ)
 もひとつついでに柳生君の封印された日でもあります。

 まーそんな事はおいといて・・・・・
 今目の前に犬神先生がおります。
 おりますっていうか・・・血をバンバンに出して倒れてます。
 しかも意識無いみたいです。

 「先生。道路で寝ると風邪引きますよー?」

 完全に意識無ッシングみたいです。
 血は肩からバンバン出てます。
 多分撃たれたか何かでしょう。


 
 「先生。せんせー。せーんせーーー」

 ゆさゆさしてみますがやっぱり駄目なようです。

 しょうがないので襟首つかんで家まで引きずって帰ります。
 お空を見上げると真っ暗でした。

 「とうちゃーく」
 家には今日誰もおりません。
 壬生は急な仕事でもの凄くすまなそうな顔をして行きました。
 多分今日は帰って来ないでしょう。
 (あの落ち込みようは凄かったな)
 トルーマンはなぜか僕の実家に呼ばれて帰ってます。
 (養父さんは何の用なんだろう?)

 さて、それはそれとしてベットの上に新聞紙をひいて先生の寝床を作ります。
 あのまま寝かすと血でベタベタになるからです。
 とりあえず3〜4枚重ねてひいて・・・これで良しです。

 「先生。寝床できましたのでどうぞ」
 マンションのローカにほっておいた先生を回収します。
 またズリズリと引きずってベットまで運んできます。
 「よっと」
 ボスンッ
 ベットのスプリングがギシギシ悲鳴を上げました。
 「先生デカイからなー」
 身長的には壬生と変らないのにこの体格の良さってなに?って感じです。
 「さてと」
 傷口からバンバン出てた血は止まったみたいでシャツが赤黒く肌に張り付いてました。
 それを鋏でジャキジャキ切ります。
 下の肌着もジャキジャキ切ります。
 「いやーん。先生ったらいい体。」
 ちょとボケてみましたが虚しいだけでした。
 傷はやっぱり銃で撃たれたようでした。
 「しかも弾が出てないじゃん」
 傷口をエンピツでこじあけて見てみます。
 「こりゃ出さんと駄目だね」
 メスを探します。
 ガサガサガサガサ・・・・・
 ありませんでした。
 しかたないので台所から包丁を持ってきます。
 「先生。ちょっと痛いですよー」
 一応申告してから刃を入れます。
 「グァッ・・・ヴヴヴヴ・・・・」
 当り前ですが痛いので先生が暴れます。
 でも意識はまだ戻ってません。
 それを片腕で押えてグリグリ傷口をこじ開けていきます。
 「新月の先生が僕にかなう訳ないじゃん」
 そのままかまわずグチャグチャしていくと奥から銀の弾が出てきました。
 カチン
 長さ5cm程のソレはなかなか綺麗だったので後日ペンダントトップにしようと思いその辺に置いておきます。
 そして荒い息をしている先生の傷の縫合の為にソーイングセットを探しました。
 これは壬生がよく使うのですぐに見つかりました。
 「フンフーン♪やっぱり糸はピンクかなー」
 ピンクの糸で縫われた自分の傷口を見たら先生は眉をひそめるでしょう。
 それを考えると楽しくてしかたがないです。
 「しかし・・傷の縫合ってやっぱりクロスステッチかなー?」
 多分なみ縫いではないだろうと思ってソレでいく事にしました。
 チクチクチク・・・・・
 先程ではないですが、やっぱり痛くて先生が暴れるのでまたも押えつけて縫います。
 「暴れられると縫いにくいー・・・・で、コレの終りは玉結びでええのか?」
 素朴な疑問。

 後はタオルで傷口の血を拭って。ホウタイをまいておしまいです。
 なんとか傷口の処理が終りました。
 「あー疲れた」
 そう言って手近なコンビニの袋から缶コーヒーを取り出して飲みます。
 そもそも先生を見つけたのはこのコンビニに買い出しに行った帰りでした。
 「しっかし、なんで撃たれてんだか」
 先生は狼男なので敵は多そうですがどことなく不自然です。
 「・・・・まーいいか」
 狼男には狼男の事情があるんだろうと思い考えるのはヤメました。


 
 チクタクチクタク・・・・・
 先生はまったく目を覚ましません。
  「・・・・・ヒマ」

 だいたい今日は誕生日だというのに一緒に居るのが意識ナッシングな狼男だけってどないな事ですか。
 去年まではまだ家族が祝ってくれたのになー・・・・・
 ちょっとホームシックです。

 チクタクチクタク・・・・・
 チクタクチクタク・・・・タク・・・タ・・・

 1週間程前の会話
 『龍麻さん今年のお誕生日はどうしましょうか?』
 うーん今年は帰れんと思う・・・・
 『それは残念ですね・・・ケーキも焼きましたのに・・』
 ごめんねーお父さん
 『いえいえ、龍麻さんの一番大変な時期ですから。ケーキは郵送してあげましょうね』
 やったーありがとー・・・今年はお母ちゃんとお父ちゃんの墓まいりできんね
 『大丈夫です。弦麻兄さん達だって解ってくれますよ』
 そーだねー(つーかこの2人の所為だよ!今忙しいのは・・・)
 『そうそう、それと龍麻さん』
 ん?
 『今年は頑張ってる龍麻さんの為に特別なプレゼントを用意しましたから。楽しみにしてて下さいね』
 特別?
 『ええ。大変ですが龍麻さんの為ですものね。お父さんも頑張りますよ』
 ??????
 『フフフ・・・・龍麻さん誕生日の晩を楽しみにしてて下さいね』

 ガバッ
 とはね起きて犬神先生を見る。


 
 ・・・・・まさか・・・・

 そーっと先生の体を探してみると・・・・・・あった・・・・・
 右のポケットから1本のリボン・・・・・
 リボンにはマジックで

 【Hppy Birthday TATUMA】


 
 ヒィィィィィィィィィィィ・・・・・・・・・!!!!!!!!
 お父さんですかー!!!!!コレをしたのはーーー!!!!!!

 ヤバイ!激ヤバイ!
 犬神先生にバレたら殺される☆
 って星を飛ばしとる場合か!
 しっかりしろ僕!

 ささささっきの弾・・・・・やっぱりケツの所に緋勇の家紋が・・・
 これは始末・・・業界用語でいう所のポケットないないってやつだ
 えええーと後ヤバ気な物はーーーーナイ☆
 よーし
 とりあえずはコレで首はつながったと

 しかしナゼにパパンはこげな事を?

 1ヵ月程前の会話
 『龍麻さん。最近どうですか?』
 あーお父さん。お久しぶりー
 最近?まーぼちぼちやってるよー
 でも先生が冷たいのだ
 『先生というと犬神さんですか?』
 そうそう、心のパパンの犬神先生です
 冷たくてねー。この前また毒を盛ったのが原因かもしれんが・・・・
 『大変ですね』
 うん。主に先生がね
 でも1度くらい先生に頼られたりしたいなー
 でも無理だろうなーあの性格じゃー・・・ハフー
 重症にでもなったらいいのに・・・
 そしたら寝ずに看病!ナイチンゲール!
 『・・・・そうですか・・・』

 うーん、とっても原因が解ったね☆
 それではまた来週・・・・・って違うがな!
 教育テレビのお兄さんか僕は
 でもお兄さんというには皆年くってるよなー、昔は解らんかったが・・・・

 「う・・・・うん・・・」
 ビク!
 犬神先生・・・・よし目は覚めてませんな・・・


 
 すいませんなー犬神先生・・・僕があんな事を言ったばかりに・・・

 あーでも寝てる先生はいい!
 とてもいい!


 
 ハフー・・・満足ですじゃー。

 せっかくのプレゼントだしねー楽しもーっと。

 朝。
 「ふー無情にも朝は来る」

 「・・・・・緋勇・・・何でお前がココに・・・?」
 どうやら先生お目覚めのようです。
 さようなら楽しかった夕べ。
 「・・・・誰に手を振ってるんだお前は・・・」
 昨日の僕。
 まーそれはそれとして・・・
 先生には適当にごまかしましょう。

 「・・・つまりお前が偶然俺を見つけて連れてきたと・・・」
 「そーです。良かったですよねー僕で」
 「・・・・・・」

 イマイチ納得していないようですが助けたのは事実なので強気に出ます。
 「とにかく僕は先生の命の恩人で、しかもせっかくの誕生日を無駄にしてまで看病したんですから・・・・感謝して下さい。」

 恩人でもあり犯人でもあるんですけどねー・・・・コレは秘密。

 「・・・・・すまなかった」

 あー先生が謝っている・・・今日は朝からええもん見ました。
 神と父に感謝。

 「とりあえず桜ヶ丘に行きますか?そっから後は先生の感謝の心を態度で示して下さいませ。」
 あーもの凄くイヤそうだよ先生。
 でも、狼が恩を返さないとは思わんし。

 「お前なんか異常に楽しそうだな・・・」
 「そんな事ないですって!(漢らしく)
  さー御飯食べて病院へレッツラゴー」

 今年の誕生日は良い物貰ったなー♪ 

 「オイ緋勇・・・・今何か変な事言わなかったか?」
 「気のせい♪気のせい♪」

 今日も楽しめそうだ。


 

 
 
 【おまけ】

 壬生「・・・館長。この仕事は別に今日でなくても良かったのでは?」
 鳴滝「・・・・・ああ、そうだな・・・・」
 壬生「・・・・・・・(不満気)」
 鳴滝(スマン壬生。先生に言われると逆らえんのだ)
 もくもくと2人で書類整理。
 注)先生=緋勇孤空―ヒユウコクウ―龍麻の祖父であり弦麻&鳴滝の師匠。

 トルーマン「・・・・・砥石様・・・・何用デ私ヲ呼バレタノデスカ?」
 砥石「ああ、トルーマンさんにこのチェリーパイの試食がしていただきたくて」
 トルーマン「・・・・・(嘘臭イ)」
 砥石「あと、まなかさんも久しぶりに会いたがってますから」
 まなか「あら、お兄ぃさま。お久しぶりですねー。私の新しいワンピース見て下さい」
 トルーマン「・・・・・(思イキリ嘘臭イ)」
 まなか「お兄さま、オニイサマ。砥石様は何か企んでたんですよー。でも、龍麻ちゃんの為らしいです」
 トルーマン「・・・・・ヴヴヴ・・・」
 まなか「がまんガマン☆それよりコレを着たらお母さんに見えますかー?」
 トルーマン「我妹ヨ・・・服ダケデハ母ニハナレヌゾ・・・」
 まなか「それは残念ですー」
 注)砥石=龍麻の養父。ちょっと変な人。
   まなか=龍麻の養母でありトルーマンの妹。さて正体は?
   トルーマン=龍麻の友犬。正体はフェン●ル。




 思いっきり趣味に走ったら・・・犬主!いいのか!壬生主じゃなくて!とか思ったり・・・

 下の方は主にオリキャラでしめられてるし・・・・いつか出してーなー爺さん

 お母さんのまなかさんの方は小説あんだけどね・・・・誰も喜ばんだろうし・・・お蔵入りになってます

 正体はフェ●リルの妹だからすぐ解るでしょう。ちなみにこの下に弟がおります。順番は合ってんのだろうか・・・

 誕生日とか言って何日たってるよ!とかは自分に言いたい・・・・・

 ちなみに更新の早い時は何かから逃げてる時です・・・そうトーン張りとかね・・・・二葉・・・・・

 

 

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