「0214」

 ザクザクザク・・・
 ん?
 不審な音をたどって校舎裏へ行くと緋勇が居た。
 (どこにでも居るなコイツは)
 緋勇は俺に気づいていないのか背を向けたまま何かしている。
 ザクザクザク・・・・・
 やはり不審な音はコイツが立ててたようだ。
 「・・・何をしている?」
 声を掛けると別段驚きもせず俺の方を見た。
 そしてスグに先程の作業に戻った。
 「緋勇」
 「・・・チョコレートの埋葬」
 「埋葬?埋蔵の待違いだろう?」
 「いいえ、埋葬ですよ。犬神先生」
 そう言って手に持っていた物を渡してきた。
 「・・・・チョコレートだな」
 「ピンポンです。でも少し違います。正確にはT手作りチョコレートUです」
 言われて見れば確かにどことなくぎこちなさが漂っている。
 「コレが手作りなのは解った。・・・なぜ埋める?」
 緋勇にチョコを返すと掘ったばかりの穴の中にソレを入れた。
 「・・・昔こんな感じのチョコから爪と髪の毛が出てきたんです」
 ザザザ・・・・
 土を落す。
 「おまじないってヤツらしいですけど・・・・」
 ベシベシと足で上を踏み固める。
 「あん時の気持ち先生に解りますか?」
 さらにその上に箸を突き刺した。
 墓標の代わりか?
 「だから、手作りチョコは食べないんです。でもねぇ、自他共に認めるフェミなんで捨てるのは忍びない」
 「それで埋葬か」
 「ピンポン♪」
 「・・・・・」
 ざっと見て墓は20数個。
 「ウチの学校は暇人が多いらしいな」
 「ヒドイ・・・」
 ヒドイのはお前だ。
 「あーヒドイお言葉だ・・・・・っと僕も暇人なんで先生にチョコ作って来たんですよ。ハイ」
 出されたのは箱に入った1口大のチョコ複数。
 「まさかとは思うが・・」
 爪入なんぞ嫌だぞ。
 「爪も髪も唾液も入ってませんよ。失礼な」
 どこまで信用できるか謎だが・・・・
 「まー1個どうぞ」
 とりあえず1つ抓む。
 「あーでも・・・」
 甘い・・・
 「毒は入れましたがね」
 ・・・・・・その言葉と飲み込むのがほぼ同時だった。


 
 「先生って学習能力低いんですか?」
 哀れむような言葉が癪に触る。
 「とりあえず、先生のそのお姿は写真におさめておきましょう」
 目の前に緋勇の靴が見える・・・・
 体が動かん・・・
 「駄目ですよ。野生動物が簡単に人を信用したら」
 やかましい!
 「さて、帰ってチョコでも食うか」
 そう言ってカバンの上に乗っていたチョコを持って帰ろうとする。
 「あっ、コレですか?」
 それはどう見ても緋勇の嫌っていた手作りチョコだ。
 「コレは恋人が作ったんです。だから」
 ドアップで緋勇が寄って来た。
 「毒入りでも食べます」
 そのまま俺の口に何か押し込んだ。
 「解毒剤入りチョコです。置いて行きますからさっきのと交互に食べて下さい」
 目の前に箱が2つ。
 「それでレポートの提出お願いします。タイトルはTサンプル品MEG―205を捕食した場合の人狼の体内異常U。できればコクヨのA4ルーズリーフで18枚以上お願いします。ワープロ不可。提出は明日まで。書いていただけない場合、先程の写真が真神新聞に載る事になると思いますので。よろしくお願いしますね、犬神先生。」
 言いたい事だけ言うと緋勇は軽やかに去っていった。
 ・・・・・・・・・
 ・・・・・
 ・・・購買部はまだ開いているのか・・・・

 「―という訳でお前のタイトルはTサンプル品MEG―205を捕食した場合の人体の体内異常U仕事もあるだろうから提出は18日まででいいや」
 「・・・・聞いてんのか?壬生」
 ・・・スリッパで頭を小突かないでくれ・・・
 ・・・・・・・・体重い・・・
 ・・・・・・なんで毒入り・・・・
 「ラブラブだからに決ってるじゃん。」
 ・・・・・そうなのかな・・・・
 「そうそう♪納得したか?」
 ・・・・・納得できない・・・

 「あっトルーマン♪お前には無毒のチョコだよー・」
 Tアリガトウゴザイマス龍麻様U

 ・・・・だから納得できないって・・・

 ・・・・まったくだ・・・・・


 バレンタインってもうすぐホワイトデーじゃん
 ウチの子は毒を盛るのが好きみたいですな。嫌な奴だ・・・・
 どーでもいいマメ知識(バレンタイン編)
 モ「チョコレートにポリフェノールは入っていない」本当に入ってないらしい
 モ「バレンタインを最初に広めたのは神戸のモロゾフ」モロゾフのパッケージはオシャレでええっす
 モ「アメリカでは男の人が女の人に花を贈る」やっぱり3月には女の人が返すのだろうか?
 モ「芸能人とかに来たチョコはそのまま業社が買い取るらしい」マジか?
 春になって来たので更新を早くします(希望)

 
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