「すべてはウソでホントです」
葉佩九龍と言う人物について、前から気になっていた事がある。
初めて顔を会わしたグランドでは、皆守くんの目線くらい。
夜会で双樹さんと踊っていた時は、双樹さんが目線くらい。
自己申告171cm。
それでは、今僕の背中に抱きついてる小さい子はどのくらいの大きさなんでしょう。
制服の袖も余ってますしね。
「九龍くん。つかぬ事を聞きますが、貴方伸びたり縮んだりしてませんか?」
「な・・・・何のことですかい?」
(相変わらず嘘が下手な人だ)
「今朝お会いした時はこんなに袖長くなかったでしょう」
首筋に巻き付いてる腕を掴ぷらぷらしてみる。
今朝はきちんと手首までだった袖が今は指の第二関節まで、制服が伸びたのでなければ、中身が縮んだ、
「としか思えないのですよ」
「そんな、人が伸びたり縮んだりなど・・・・」
「何か後ろからパキパキ音が聞こえるんですが・・・・伸ばしてます?」
「いや、いやいやいや」
伸ばしてますね。
「九龍くんは嘘ばっかりですよね」
「嘘なんてついてないがね。ただちょーっと。名前と出身地と身長体重と視力と血液型と誕生日に真実と違うこと書いただけです」
「それを世間では嘘と言います
「違っ、名字!名字はちゃんと実家で使ってる偽名ですよ」
「偽名じゃないですか」
「あー・・・・あうー」
情けない声を上げてしがみついてくるその手はやっぱり小さくて。
「嘘だとおっしゃるなら、僕が18でない証拠を見せてくださいな」
開き直ったのかそう聞いてきた九龍くんににっこり笑って言ってやる。
「僕は人の体の年輪が見えるんです。君のは他の人より少ないんですよ」
「ウソ!そんな方法あったんや!」
嘘に決まってますよ。人間に年輪があるわけないでしょうに。
九龍くんは普段は冷静な癖にこんな所では簡単に騙される。
(そんな所も小さい子ですね)
と思って少し楽しくなる。
「そんな事言われましても・・・・実家忍者ですし。職業トレジャーハンターですし。嘘をつくのは職業病なんですよ。女子校の教師が生徒に手を出すようなものですよ」
「・・・・それは職業病ですか?」
「もちろんで御座います。怪獣モチロンでございます」
どんな職業病ですか。
「別に僕は九龍くんが葉佩九龍でなくても、名古屋出身でなくても、171cmなくても、体重がもっと重くても軽くても、視力がもっと良くても悪くても、血液がとりあえず流れてて、僕の事が好きならば。男でも女でも、大人でもお子さまでも何でも良いんですよ」
「本当ですかい?」
「ええ」
「神鳳くんの事は好きです。困ったことに」
困った事ですか。
それは少し腹が立ちますね。
「特定の人を好きになるのはいかんのですよ」
ああ、成る程。
「好きになるとウソも上手い事つけませんし」
僕にだけでしたか。
「すいませんです」
「いいえ」
許してあげましょう。
また後ろでパキパキ音がして。
小さい子は小さい姿に。
「そう言えば、九龍くんはどうして年齢をいつわって入ってきたんです?」
「んー。僕、高校生初めてやから、協会の人達にアドバイスをお願いしたんですがね。そしたら皆が皆口をそろえて「学生だったら最高学年が良いぞ。下に威張れるし」って言うから・・・」
あー・・・何となくわかりますね。その理屈は。
「でも高三になったのは正解やったね。たかが一年でこんなにヒエラルスキーが違うとは」
「確かに夷澤より下だと威張られたでしょうね。あの小物に」
「はっはっは。本当だーねー。実際来年入学したら威張られたやろなー」
・・・・・来年入学。
「・・・・・九龍くん」
「・・・・・・えーーーーーオフレコでお願いしやす」
何となく藪蛇な会話をしてしまったな。
と思うのはきっと僕だけでなく。
「牛乳飲んで早く大きくなって下さい」
「いや、一年に一歳ですから・・・」
そして、この会話すら嘘か本当かもわからず。
「やっかいな人を好きになってしまいましたよ」
「まったくですよい」
君と僕のお互いに思う事は違えども、溜息だけはそろって本当に憎たらしい。
九龍の身長は某黄龍が使うような小技じゃなくて、ちゃんと自力で関節とか伸ばしてます(それもどうだろう)
実際は160cmちょっと。気をぬくと縮む
歳に関しては、14〜15くらい。本人もはっきりとは知らない。誕生日も知らない。元旦にとりあえず+1歳してる
学生は一年の違いでえらい権力に差が出てくるから、とりあえず最高学年に入っておく
卒業まで間がないから、むしろ不利だと気付くのは入ってから
九龍は嘘で出来てますが、神鳳の事は本気で好き。それがとても困る事
神鳳は嘘で出来てる九龍が面白くて好き
仲間内では白岐だけ九龍が年下と気付いてる。でも言わない
瑞麗先生と鴉室もロゼッタの資料で知ってる。もちろん言わない
そして最年少ハンター