「ほしをください」
「例えば・・・・お前は俺を信用してるのか?」
「んー?」
皆守にこう聞かれ九龍は口に人差し指を当てて暫く考え言いました。
「信用してない」
「っな」
「あーその顔は傷ついたね。信用してる言うたら言うたで「単純」だの「そう言うと思ってた」だの言うクセにいやーねー甲ちゃんたら」
キャーとブリッ子する九龍に皆守は頭をかきました。
「・・・・・お前なー」
「んー。でもホンマに甲ちゃんを信用してないしー」
先程と同じ顔で九龍が言いました。
「・・・・・・九ちゃん」
「ウソウソ。信用してるよ。でもこれもウソ。さてどうでしょう?」
「・・・・・・・解った。真面目に答える気がないんだな」
「OH!YES!そうその通り」
嬉しそうに言う九龍に皆守は頭痛を覚えました。
「・・・・・聞いた俺がバカだった」
「確かに甲ちゃんはおバカだよなー」
「・・・・・・お前な」
「逃げ道作って聞くのは反則でせうが?」
「・・・・・・・逃げ道」
ええ、逃げ道と小首をかしげて可愛らしく九龍は言いました。
「本当に答えが聞きたいならば、まずは言わないと。甲ちゃんは僕をどう思ってるのか?僕を信用してる?してない?それでは答えはあげれません」
「・・・・・・・・」
「こんな廊下の真ん中で、聞いた答えを信用すんの?しないやん?どんな答えを返したって、甲ちゃんに届いてないなら意味が無い。真面目に何て答えれへんわな」
にこにこと笑う九龍のその目だけはあの遺跡で見る目で。
皆守は何も言えず、ただくわえたアロマがジジッと音を立てました。
「おや、お二人さん」
救いの声は黒塚でした。
「おー、石田くん。お久しい」
「ふっふっふ。その石田って名前も良いんだけど。僕は黒塚だよ九龍博士」
「にゃー気にするな」
言って九龍は黒塚の持ってる石を取り上げました。
「キレー」
「うん。その子は一番のお気に入りなんだ」
「なーなー石塚くんよ」
「・・・・まーいいか。何?」
「いきなりやけど、僕の事信用してる?」
先程の皆守からの質問をそのまま黒塚に投げかけました。
皆守は一瞬肩がピクっとなりましたが、そのまま何も言わず聞いてました。
「本当いきなりだね」
「まーねー」
「九龍博士を信用か・・・・」
「例えばこの可愛い石」
持ってる石を高く上げます。
「預けてくれたけど。僕はコレを窓からほるかもしれんやん?」
「ああ、そんな事もあるかもね」
「でも言った今も取り替えさないねー。それは僕を信じてるから?」
九龍の言葉に黒塚はアゴに手を当てて言いました。
「それが信用かどうかは知らないけど。九龍博士はそんな事しないと思うよ」
「何故ゆえに?」
「僕がそう君に対して思うから」
「成る程。それはまた正論だがね」
黒塚の答えに満足したのは九龍は持ってた石を返しました。
「満足してくれた?」
「黒ちゃんらしくて大満足」
「それは良かった。それで用件なんだけど隕鉄って知ってるかい?・・・・」
そこから始まった黒塚の隕石話を皆守は聞いてませんでした。
夜。阿門家で行われる夜会に行く九龍に皆守は声をかけました。
「九ちゃん」
「んー?なに?」
振り向いた九龍に皆守は昼と同じ質問を投げかけました。
「九ちゃん、俺を信用してるか?」
「・・・・昼と同じやん」
皆守の問に眉をしかめるとそのまま踵を返して行こうとしました。
その後ろから皆守の小さい声が聞こえました。
「・・・・・俺は」
「・・・俺はお前を信じたいと思ってる。それはウソじゃない」
その言葉を聞いて九龍はクルッと踵を中心に回転しました。
そしてにっこり笑って言いました。
「甲ちゃんは時々横っ面をはり倒したい時と、両手を広げて抱きしめたい時があるよ」
「何だその両極端な答えは」
「バカだな大好きって事じゃにゃーかー」
言って腹を抱えてゲラゲラ笑いました。
「そうか、そうか、甲ちゃんは昔の僕に似てるんか」
そのまま笑って去ろうとする九龍に慌てて皆守が言いました。
「九ちゃん。答えは」
「えー?」
笑いすぎたのか苦しそうに振り向いた九龍は楽しそうに言いました。
「昔の自分を信用するもしないもあるきゃー」
そして大きく手を振りながら一目散に走って行きました。
皆守は、
何だその答えは
と思いましたが。
何だか可笑しかったので、まーいいかと納得しました。
皆守の質問の仕方はセコイと思うのですよ
「信用してるか?」「大事な人を無くした事があるか?」
人から聞くクセに自分の事は言いませんのでね
皆守のセコイ所もうひとつ
どんな言葉を言っても聞いていない、届いていない
(自分が一番不幸だと思っている)
九龍の言葉はいつも上を滑ってるだけ
九龍が可哀想だ
なーに、悲劇のヒロインぶってんだーと横っ面殴りたくなる男
いつか九龍はやると思う
私の中で「男前ランキング」1位に輝くのは黒塚です
最近の「ヘタレランキング」1位は取手を抜かして皆守が1位になりました
嫉妬深くてへたれ、そんで甘ったれ
私の惚れる攻でしたよ、コイツも
タイトルの「ほしをください」はブルーハーツの曲です(正しくは「ほし」は漢字)
良い曲ですよ
T願いをかける星さえ見えず。そんな気持ちなんですU
ヘタレ皆守ソング