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「スペック高ければいいものでもない」
「……時おり思います、神になりたいと」
御門が言った言葉に龍麻が「はぁ」とあきれた声で返します。
「もう少し真面目に聞きなさい」
叩こうとする扇をいなして、
「いや、どう考えてもつまらん理由やろ」
という龍麻の言葉に、如月と壬生もうんうんと頷きました。
「つまらない理由とは失礼な」
「じゃあ、言うてみい」
「神になれば、人の肉体は滅びますね」
「滅ぶちゅーか、吸収されるというか……」
「人の殻を捨て、神になった暁には睡眠不要、食事不要、生理現象一切なし」
「まあな」
龍麻が食べたり寝たりするのは人間としての癖を忘れないようにしているだけで、本来ならば不要な行為です。
「食や睡眠を必要としなければ、一日の大半は趣味に生きられる」
「……そうね」
「それだけあれば、どれけ積みアニメ＆ゲームが消費できるか……」
「……一日25時間欲しいとか言ってるアホの学生か、お前は」
「思った通りくだらない理由だったな」
「御門さんは本気なんでしょう」
如月と壬生の目線の先には、録画でパンパンのレコーダー＆外付けハードと、積まれたゲームソフトの塔が見えます。
「しかし、普通に働いてる人間よりは時間あるだろ」
「あればあるだけ詰め込んでしまうタイプなんだと思います」
壬生が正解です。ちなみに壬生もそうです。
「そら、神様なったら色々便利は便利やけど……」
目をつむって、開いた後には金色の目。
「娯楽のほとんどは人間向けに作られてるやろ？神様スペックになるとイマイチやぞ」
「どういう事です？」
「簡単に言うと、人間の目の錯覚にたよって作られてるアニメとか、神様アイズで見たらカックカクで見てられんよ」
「…………」
「どれだけヌルヌル動くと言われてる動画でも、パラパラ漫画にも劣る動きになるぞ。それでもいいんやったら、期間限定で体貸すけど？」
「……忘れなさい」
「へいへい」
「そう考えるとテレビ番組も」
「斜めに書き込まれるのが見えとるよ」
「神様って大変だね」
「なるもんじゃないな」
「そこまで言わんでええやろ！！」
神様ボディは高性能すぎて人間には使いにくいよって話
実際、鼻がききすぎる人とかちょっとの悪臭でも大変そう
「ヘルボーイに出てくるクロエネンが色々HITだったという話」
トウヤが夢見る乙女の顔をしております。
「どうしましょう、クダリさん。凄く素敵な人を見つけてしまいました」
「え？なにまたパソコンゲームのキャラ？あの目死んでたやつ？」
「違います。と言うか目の死に具合ではクダリさんもいい勝負ですよ？」
獄都事変のキャラも素敵ですね。
「あれも、今までダサいと思っていた陸軍の軍服の魅力に目覚めたゲームで素敵なのですが、それとは別に素敵な人を発見してしまったんです」
「だれ？」
「ヘルボーイに出てくる「クロエネン」です」
画像検索で見せてあげます。
「……トウヤってさ、軍服好き？」
「スーツも好きですし、コートも好きです。警官も執事も医者もどんと来いです。要はピシッとした格好をした男はだいたいどれも好きです」
ちなみに男限定。女の顔は区別がつかない模様（母親とベルのぞく）。
「……弟がホモだった」
「と言うより男女どっちにも恋愛感情あんまありません。ただ、愛でたい。出来れば餌付けして飼いたい」
「……より変態だった」
「成人男性を飼うことが小さい頃からの夢なんですよ」
「そんな夢もっちゃダメ！」
「でもこういう性癖なので、こうしてクダリさんとノボリさんのお世話してるわけですよ」
「……そのままの変態でいてください」
「変態ちゃいますて」
「とにかく、クロエネンがカッコイイ。軍服で仮面で黒くてドM。素敵すぎる」
「黒くてドMなら家にいるから！」
「ウチの子もいいですが、よそのドMも気になるんですよ」
「このキャラ、素顔怖いけど⁉」
「いいですか、眼鏡が顔の一部なように、仮面をつけてる人間に素顔などありません！」
仮面＝顔
中の人など居ない。
「ノボリ。トウヤの心をつかみたかったら何も言わず軍服着て」
「……クダリ。どうしました」
「あと、手からシャキン！てシャキンて刃物だして！いいから！」
「落ち着いてくださいまし！！」
「着たら、ゆっくり螺旋階段下りてきてくださいねー」
「トウヤ様も！」
たまたま画像検索した時に出てきた、ヘルボーイに出てくるクロエネンが素敵すぎる
仮面は最高です。偉い人にはそれがわからんのですよ
「軍服と言えばナチ親衛隊みたいな風習もありますが、日本海軍もいい。最近はダサイと思ってた陸軍もあれはあれで良いと思うようになりました。もちろん将校さんは素晴らしいの一言」
「陸軍を参考に作られたと言う学ランもよし。ブレザーよし。現実にはなかなか見かけない白ランもまたよし。知ってます？学ランの正式名称は学生ランダ服なんですよ。ちなみにランダ服はオランダの服＝洋服の事です」
「サラリーマンで言うなら、ダブルのスーツは最高。普通のスーツもグッド。上着がなくて袖まくり＆ネクタイゆるめた姿も素敵」
「和装でいくなら、着流し最高。紋付きよりは神主とか宗教色強いのが好きです」
「もちろん。サブマスコートが一番好きです。白手袋最高！顔と手首しか露出してないとか素敵すぎて死にそうになる」
「なるほど」
「ようするに露出してないかっちりしたのが好きなんでしょ」
「そうなんです。だから、風呂上がりのお二人はホントにガッカリ」
クダリの頭をバスタオルでガシガシしながら長いため息。
「ガッカリ!?」
「そんな風にお思いでしたか！」
「実は部屋着のTシャツもあんまり許したくないです」
「そこは許してよ！」
「家ではくつろがしてくださいまし！」
「せめて前ボタン。半袖を着るならいっそ全裸で居てください」
「なにその0か100」
「Tシャツとトレーナーは美形を殺す服装ですよ。憎い」
「「憎い⁉」」
パトレイバーの黒崎さんがトレーナー着てた時はガッカリした
彼には一生スーツでいて欲しい
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