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「今夜の料理」

ある日御門が言いました。
「今晩はチーズフォンデュが食べたいです」
龍麻が(なに面倒な料理名出しとんねん)という顔をしました。
「チーズを鍋で溶かすだけでしょう」
「後で洗うのが大変やん」
「そこは頑張りなさい。壬生が」
「え!僕ですか⁉」
とばっちりを受けました。

で、夕飯。
卓上コンロの上でぐつぐつを音を立ててるのは鍋。
鍋の横に用意されているのは、薄切りの豚肉と野菜、うどん。
「…………」
「御門のリクエストで、本日はウォーターフォンデュです。肉をしゃぶしゃぶして食え」
「私はチーズと言いましたが」
「水でもたいしてかわらんわ。さっさと食え」
「フォンデュは」
「フォンデュは鍋料理の意味やろ。ええから食べろ」

結局夕飯はしゃぶしゃぶでした。

後ほど如月が、
「フォンデュは「溶ける」のフランス語らしいぞ」
とネットで調べました。

「あの鍋はなにか溶けてましたか」
「出汁が溶けてんだよ」
「龍麻も御門さんも落ち着いて……」

御門は用意も後片付けもしませんが、リクエストだけはします。




「はだかエプロンな」

「トウヤこれ着て」「着てくださいまし」
と言ってノボリとクダリに渡されたのは、タンクトップ(白)と短パン(黒)。
(…………)
何かしら不穏なものは感じますが、まあ普通の服なので着ます。
着替えたついでにお八つでも作ろうかとエプロン装着、
「ノボリさん、クダリさん、今日のおやつは……」
振り向いた先には、あおりでカメラを構えた白黒兄弟。

「スゴイ!ホントに裸エプロンに見える!」
「前々から思っていたのです!布面積の少ない服を中に着れば簡易裸エプロンになるのではないかと!やはり思った通りでした!」
「ノボリ天才!裸エプロン最高!」
「最高です!ブラボー!スーパーブラボー!」

「………………」
目の前でシャッターを切り続ける兄たちに、
(まずはフライパンで殴ろう)
とトウヤは思いました。


裸エプロンの神髄は後姿だと思いますが、生尻はまぬけだと思うので、私は前派です。


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