坂庭省悟さんからのメッセージ

 

詩が先にあってそれに曲をつける場合、逆に曲を先に創る場合と、大きくわけると二通りのやり方がある。
もちろん、詩と曲同時進行という場合もあるが、どちらかというと僕は前者の方が圧倒的に多い。
詩から受けるイメージで曲を創るタイプだ。
屋久島の友達、長井三朗くんから詩が送られて来た「一本の樹」だ。
とてもわかりやすく、言葉がうまくまとめられている。一回、目を通しただけですごく気に入ってしまった。

詩を気に入るかどうかでずいぶん曲を創る気分も違ってくる。
この「一本の樹」は、十曲ぐらい一度に並行して曲創りをしている時のひとつだった。
ある曲を創り終えたのが夜中の二時すぎ、その日はもう寝よう、明日にまわそうと思っていたのだが、少しぐらい先行しようとギターを取り出し「春 緑の雨が降る・・・」と創り出したら止まらない。
どんどん詩が勝手にメロディを引き出してくれる感覚で「樹は空をめざす」まで一気に、不思議なくらいあっという間に出来てしまった。
15分もかかっただろうか? 何時間も何日もかかってしまう時もあるのに・・・。 

僕は、この歌を歌うとき、毎回歌い方が少しずつ違う。こう歌わなければならないという決まりはまったくない。

一本一本の樹がそれぞれ違うように、僕らひとりずつの歌い方で、それぞれの思いで歌ってくれたら、どんなにかうれしい。

「一本の樹」はこうして誕生した

坂庭省悟

坂庭省悟さん(右)と進藤了彦さん


坂庭省悟さんは昭和40年代からシンガー・ソングライターとして活躍され、はしだのりひこ&クライマックスやザ・ナターシャセブンのメンバーでもありました。「花嫁」という大ヒット曲もあります。

あるとき、省悟さんの「一本の樹」(作詞:長井三朗さん)を聴いた「私の好きな木」の中心人物牧野先生が、この曲をテーマソングとして使わせてほしいと、省悟さんにお願いしたことから、「好きな木」と「一本の樹」がつながりました。省悟さんは快く承知してくださって、私たちの活動のために、レコーディングもして下さったのです。そのとき一緒に演奏してくれたのが、進藤さんです。