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 ワールドカップ サッカー大会の開幕まで、あと5ヶ月とちょっとになった。日本が入った予選H組は、ベルギー、ロシア、チュニジアというなんとも予想しにくいグループです。決勝トーナメントに残れるかもしれないという期待を抱かせつつも、よーく考えるまでも無く、4年前の前回の初出場では、一勝も出来ませんでしたから、急に多くを期待し過ぎてはいけないのではないでしょうか。その前の予選すら突破できなかったあの「ドーハの悲劇」からさえまだ8年しか経っていないのです。
 しかし、その後のプロ化から今日までの、日本サッカー及び代表の目覚しい発展強化振りはすさまじく、ついつい期待で胸膨らましてしまうのは私一人ではないはずです。
 ところがサッカーの進展の早さに比べて、今回の共同開催のパートナーである韓国との関係(日韓関係)は、どうでしょうか?近くて遠く、知っているようで知らない。とても遅れているように思われる。
 ここに一冊の本がある。
 「ソウルの練習問題」著:関川夏央 1984年の出版
 著者のほとんど処女作であるこの本は、「異文化への透視ノート」というサブタイトルが無ければ内容を勘違いするかもしれない。
 この本のあとから多くのこの種のルポルタージュ物が続いたが、この本のスタイルと方法は先駆的であった。18年前に書かれたこの本が知る「日韓の事情」は、確かに変化した様にも思えるが、それは多様な情報が入ることによる錯覚のようにも思われ、ここに取り上げられている在日を含む「日韓の事情」はむしろ、今日なお続く問題であると思えてならない。
 ワールドカップを見る前に、この本を是非読んで欲しい。
 文庫版のあとがきでは宮村優子さんが「天下無敵の恋愛小説」とまで絶賛しています。

          ソウルの練習問題  関川夏央 著    新潮文庫 
高 知 ニ キ