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河原町通に「江戸裁判所」と言うショウパブみたいなものがある。訪ねたことが無いので詳しくは知らないが、U.S.Aの古いT,V番組であるところの「エド・サリバンショー」のもじりである事はすぐ分った。このショー番組を、あなたも白黒でご覧になったことがあろうかと思われますが、私の話の種は「江戸裁判所」のほうにあります。
 さて、今回、私がお勧めする本は、佐藤雅美さんの「恵比寿屋喜兵衛手控え」(えびすやきへいてびかえ)です。この小説の内容というものが、「江戸裁判所」に関係があるのです。
 テレビや映画、あるいは小説などで、江戸時代の刑事裁判の進め方といったものは、捕物帳、犯科帳などを通じて、かなりの人がご存知かと思われます。しかし、江戸時代のお白州における、あるいはお白州にいたる民事裁判及び民事訴訟方法といったものはご存知無いのではないでしょうか。この分野のエンタテイメント小説としては、初めてのものと思われます。それだけでも興味深いところですが、この小説は、並みのエンタテイメントの水準をはるかに越えていると思われます。
 この作品は推理小説的要素ももっているため、ストーリーには言及しませんが、公事宿(くじやど)などという初耳の、現代で言うところの、弁護士、司法書士みたいな世話人が経営する宿泊施設「恵比寿屋」の主人、喜兵衛のもとに、依頼人である百姓六助が、訪ねて来るところから始まります。面白いこと請け合いです。是非一度ご愛読を。
                        第110回直木賞受賞作品
高 知 ニ キ