直線上に配置
聞
高 知 ニ キ
 さて、タクシーの後部座席で繰り広げられる会話です。何かの集会に出かけるらしい4人のおばさんたちの会話。「こんなに凶悪な事件が沢山起こるのは、子供の病気をちゃんとさせないからよ。」と、年長のおばさん。この人の説は、「麻疹」などの子供の病気はそれなりに体内に出来る「悪いもの」を外へ出す作用があって、予防接種などで抑えてはいけない。昔の子は、ちゃんと子供の病気をして「悪いもの」を排出していたけど、今の子は、予防接種で抑えるために「悪いもの」が体内に残り今日の凶悪事件の原因となっているというものである。私の耳はダンボとなるものの「へーぇ、ふうーん」というのが本音である。「そういう考え方もあるのか」という感想です。
 今、「狂牛病」がみなの関心を集めている。スカトロジーを話題としてカレーライスを食すのが好きな悪趣味の私は、大衆ステーキハウスに「狂牛病」の話をしに行く事にした。 兎に角空いている。100席はあろうかと思われるその座席のほとんどが無人である。愛想のいいウエイトレスさんに肉の焼き加減を聞かれて、仲間の一人が「レアー」といった時、彼女は悲しそうな顔をした。「うちは、レアーでお出しできません。レアーとミディアムの中間ぐらいになりますが。」「プリオンは熱では死なないんじゃないですか?」と言う仲間に、「プリオンじゃなく、O−157だよ。」と耳打ちする私。肉料理を提供するのも、いただくのも大変な事になってきたものだ。それもこれも最初の牛に狂牛病が出たときの、役所のドジが大きすぎたと思われる。そもそも日本でこの病気の牛を出してはいけない。この病疫対策そのものがお粗末であったろうと思われる。HIVに汚染された非加熱の血液製剤の輸入を危険と知りながら許可し続けた当時の厚生省の体質(業界保護、無気力、無責任)と変わりないように思われる。英国で18万頭の牛にその発病が確認された時点で人間の発病は100人確認されたと聞いている。O−157と違って発病までの潜伏期間が6〜8年もあり、その事が問題をさらに複雑にしている。何が安全で、何が安全でないかを、一日も早く宣言する事が大事と思われる。役所の「マスコミが煽って、今日の風評被害が出ている」発言は本末転倒である。レストランで口にほおばった肉汁はうまいが、まったく不安がないわけではない。みんなが、安心してお肉が食べられる日の一日も早い事を祈っています。