Spring has come.
「春はきっと来るはずやから…」
英語の先生が鼻膨らませながら語ってくれたその授業から
もう何十回という『春』が私たちの目の前を通り過ぎて行きました。
あるいは、私たち自身が跳ねるようにくぐり抜けてきました。
そして今年も春はもうすぐ。
嵯峨清涼寺の白梅、紅梅が満開で、
その香りたるやウグイスになりそうです。
これ、梅に鴬とは言うものの、
実際は渡り鳥である鴬が京の野山に来るのは一ケ月ほど先の事らしく、
あのメジロを見間違えたものと思われます。
あるいは、鳴き声も良く似ていますから、声で間違えたのかもしれません。
奈良東大寺二月堂のお水取りももうすぐです。
何よりも、出町柳より北の高野川畔
川端通りに連なる桜の古木並み木の枝一本一本に無数の新芽がついており、
色目はまだ出ずとも開花を目指して確実に膨らんでいます。
梅にしても、桜にしても見事な「花」に接した人間はあたかも、
われわれの目を楽しませる為に咲いてくれたように思ってしまいがちですが、
その実をつける頃にいつも思うことは、
「子孫を残す為の一年がかりの営みの、
命のほとばしりが『開花』と言う行為だったんだなぁ」ということです。
この接、人間を困らせる花粉症の原因といわれる[スギ花粉]の飛散だって
杉の木の側から見れば、まさに命のほとばしりそのものなのだと思います。
[極楽いぶかしくば、宇治の御寺をうやまえ](後拾遺往生伝)
十円玉で知られる宇治の平等院に、
この3月1日にオープンしたばかりの鳳翔殿(宝物館)を昨日訪ねた。
鳳凰堂(阿弥陀堂)内にあった雲中供養菩薩像をはじめ
十一面観音像、梵鐘、屋上の一対の鳳凰像など間近に詳しく見ることが出来た。
何よりも圧巻であったのは、
コンピューターグラフィックスによる創建当時の
復元映像や堂内彩色再現映像の大型画面による紹介であった。
是非とも御一訪を。
更なるお勧めは、
本年より公開の奈良薬師寺三蔵院の
平山郁夫画伯の手になる「大唐西域壁画」である。
「西遊記」を通じて私たちに今も伝えられる三蔵法師の西域紀行をモチーフにした、
氏の30年に及ぶライフワークとも呼ぶべき大作であります。
公開は本年限り。