国産の松茸を食す。 

外国産のマツタケはこの秋幾度となくいただいてはいたが、

ジクの色も悪く香りも不確かでいまいち何かしら胸につかえるものがあった。

それがどうだろうか 

 [どうだろうか、といわれてみても、

まだ、あるいはこれからも国産松茸を決して金輪際、

食し得ぬ人には答え様もない(失礼なΧ)話だが]  

こうばしい芳醇な香りとみずみずしさの中にある歯ごたえ、

後口のよさ、

かすかな塩分が酢橘の優しい香りの中で、

ぬる燗の[越の寒梅]をさらに旨口の酒に変えてくれる。

これは、言わずと知れた焼き松茸であるが、

もう一品、土瓶蒸にて食してみた。

さいわい小ぶりだが活け鱧が入手できたので、

他のものは一切いれず丁寧にとった薄味のおだしにこの二品のみ、

ただ新鮮な三つ葉と酢橘をのみ薬味としただけのシンプルなものであった。

食卓に乗せられても、まだぐつぐつと沸いていそうな土瓶のふたを取る。湯気とともに…    

反感を買うのでこの辺でやめておきますが由緒正しい、美山産の松茸3本でした。

 嵐山にある[竹むら]で湯豆腐コースを食しました。

もちろんお会計は観光のお客様。

そんなことよりここで出される柚子釜豆腐が絶品です。

何度食べても大好きです。

柚子のへた側1センチぐらいで切り、蓋にして、

残った側の中身をくりぬいて適当な大きさの豆腐を入れ

蒸して暖めた後、柚子味噌をかけて供します。

優しいお味をご想像あれ。

 この柚子味噌[竹むら]の自家製と思われますが、

京都にはこの柚子味噌のみを何百年も商いしている店があるのには驚かされますし、

観光のお客様を驚かせるねたに使っています。

烏丸道り姉小路東入ルにある「八百三」(やおさん)です。

八百屋さんのような店名ですが柚子味噌以外何も販売せず、

日曜日はきっちり休まはります。お試しサイズ八百円一度ご賞味あれ。

揚げナス、湯豆腐はもちろん、好きな人はトーストにぬって食べやはります。

 今回は食べ物に終始してしまい面目ないのですが、

字数の関係上前回予告しました浪曲「壷阪霊験記」は次の機会にご期待ください。

なお、次回は紅葉情報とともに[『金色夜叉』のお宮と寛一における

トラウマの洞察]を御送りします。             


00/11/02