ANSYS/EDの活用

  設計者が自分の机の上でCAEを活用できる時代がやってきた。私は1967年に三菱電機に入社して、重電場所で電力機器の耐震設計や評価をやるのに大型のコンピュータを使い、専門家として解析をやってきた。当時のコンピュータの能力よりはるかに大きい能力を今のパソコンは持っている。モデルの作成や計算結果の表示のプリポスト処理も格段に便利になった。ANSYS/EDは汎用解析ソフトANSYSの教育用(練習・試用などを目的)ソフトで、5万円で入手できる。自分で使ってみているうちに、これを使えば設計段階での検討に十分使えることが分かり、これまでいろいろな問題に適用してきた。このソフトについての詳しい情報は下記ホームページを参照されたい。このソフトを利用するとき、要素数(500)や自由度数(2000)に制限がある。このためモデルを簡略化して作成する必要があるが、このことが、かえってモデル作成時間が短く、計算時間も早いことになる。
                 
http://www.cybernet.co.jp/ansys/

 ここでは解析例についてモデルと計算内容について簡単に紹介する。
適用製品 モデル例 解析内容と結果

1.冷凍空調機器配管振動解析
   冷熱機器で圧縮機配管の振動問題で使用。配管要素を使うとモデル化が簡単。振動応答計算まで可能である。
  圧縮機や熱交換器を質点とし、剛体要素で形状を表現する。

   複雑なエアコンの配管でも解析が可能である。

1.固有振動数と振動モード
2.
圧縮機加振力により振動応答


3. 振動入力に対する配管応力

2.ファンモータの振動解析
 冷熱機器ではファン騒音が問題になることが多い。 送風音でなく、ファンの共振による騒音問題の解決にはファンとモータを一体化したモデルで振動解析を行う必要がある。

 
このモデルではハネとモータ及び軸回りのモデル化がポイントである。

1.固有振動数と振動モード
   
2.振動応答計算他

3.圧縮機防振ゴムの剛性計算
 複雑な構造をして立体でも対象性などを使うと容易に解析できる。     

軸対称モデル
圧縮荷重に対

するモデル

 

1/2モデルで
水平荷重の
計算
を行った例

 

4.モータの内部剛性計算
 ファンモータの振動でモータのロータ、軸、ファンの質量とステ−タ側の質量の間のエンドブラケットの剛性による固有振動数が問題になりことがある。この計算では軸対象モデルで計算できる。

エンドブラケット、軸受けのモデル化がポイント 軸端にはファンに質量を置く

固有振動数と振動モード表示の例

5.ファンモータ支持構造体の固有振動数計算
 
板金のはりに2つのファンが取り付けられている構造体の固有振動数を計算する

6.ファンモータ支持構造体その2
 
板金の構造体からパイプ構造でファン及びモータが支持されている構造について構造体の固有振動数を計算する。

 

7.圧縮機フットシェルの構造解析
 
板金で若干複雑な構造であるが対象モデルでモデル化して計算。フルのANSYSで計算した例と比較しても十分使用できる範囲の結果を得た。

8.風呂ふたの強度解析
 
積層された板の周囲にアルミのリブがある風呂ふたの強度解析。積層板およびアルミの補強を個別に材料定数を求めてモデルを作成することがポイントである。

9.プラスチック成形品強度解析
 
ペットボトルの再生プラスチックで成形した道路に使うエコブロックの強度を比較する。 荷重条件は上下と水平荷重があり水平荷重では1/2モデルが必要である。 上下荷重では1/4モデルでも計算できる。

 

変形図

10.PC板の強度解析
 
自動車の凹みをPC板で真空引きして直す道具であるが、必要な強度を得るための構造を検討した。 荷重条件は真空引きと中央集中荷重で計算した。

PC板の1/4モデル。真空引き条件での計算

変形図

 

付各種ファンのモデル化例

このモデルはフルのANSYSを使用